ユニコーンに懐かれたのでダンジョン配信します……女装しないと言うこと聞いてくれないので、女装して。   作:あずももも

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519話 【犠牲者が増える配信】

【!?】

【えっ】

【え?】

【!?!?】

【えっ  えっ】

【今、ひなたちゃんが】

 

「――ひなたさん!?」

 

「いやぁぁ!? ひなたさぁぁん!?」

 

慌てて駆けよる、あやと優――しかし、ひなたの居た場所には足跡の他には、ぱらぱらと降る光の粒子のみが立ち上る。

 

【悲報・ひなたちゃん、灰になる】

 

【ああああああ】

【ああああああ】

【もうだめだぁ……】

【え? これ、ホラー?】

【だってちょうちょだもん……】

【ユズちゃん……まさか、お友達を手にかけて……】

 

「――急げ! 本体を持たぬ人間たちの魂は、すぐに輪廻の輪に取り込まれる!」

 

「至急、この世界の管理人へ問い合わせを!」

 

「こんなときこそ、女神に……いや、今はともかく時間との勝負だ!」

 

次々とどこかへと走り出す魔王たち。

彼らは――ひなたの魂を救う決意とともに姿を消していく。

 

【輪廻の輪、管理人……】

【もしかして:閻魔様】

【まーた学者さんどころか宗教界まで巻き込んだちょうちょが】

【草】

【もうなんでもちょうちょってことでいいや……】

 

【けど、え……なんで魔王サイドがこんなことを】

【なんでも良い……ひなたちゃんを、ひなたちゃんをちょうちょから助けて……!】

 

何も知らされない彼らは、絶望に叩きつけられていく。

 

――1つ、また1つと、出海道の浮遊ダンジョンが消滅していくのを気にも留めずに。

 

 

 

 

「んー……こっちかな」

 

「思ったよりも奥なんですね」

「うん、優しく触るの。いきなりだと、びっくりしちゃうから」

 

僕たちは体を密着させ、息を荒くする。

 

「はーっ……緊張するね」

「僕も。こういうの、初めてだから」

 

「私は2回目……3回目? だけど、それでもどきどきするんだ」

「そういえばそうだった……だから慣れているんですね」

 

「うん。お姉さんに任せて」

「はいはい、お姉さんがんばって」

 

久しぶりに会ったひなたちゃんは、何かものすごい経験をしてきたらしく、妙に大人びていて。

だから着てきた装備もできるだけ脱いでエリーさんに預けて――薄い布しか身につけていなくって。

 

「……ここ。いれるよ」

「はい。僕も合わせます」

 

そんな彼女の手に導かれて、僕はゆっくりと穴へ目がけて。

 

――――――かちっ。

 

足を、踏み入れた。

彼女の足と同時に。

 

【警告】

 

【「大部屋の罠」が発動します】

 

「――ひなたちゃん!」

「うん! すぐに着てくるね!」

 

ひなたちゃんの足が――「重い装備を身につけていたら兆候が分からないから」って理由で装備を脱いでいたつま先が、かちりと四角く凹んだ床から離れる。

 

僕もそれに合わせて外し、急いでエリーさんたちのところへ走り出す。

 

――罠。

 

そうだ、ここはダンジョンなんだ。

だから。

 

「けれど……まさか、以前に罠を踏んでいた彼女の感覚を頼って……とは」

「はい。僕にはこのUI情報で、この部屋のどこかに、この罠があるって知っていましたから。肝心の場所と、何キロの重さで起動するかだけが分からなくって」

 

ダンジョン――その床には低確率で、罠が張ってある。

 

それはときには爆発してリストバンドで一発帰還のものだったり、そうじゃなくても矢が飛んできたりブレスが舞ってきたり――落とし穴で下のフロアに落ちたり、足首をがっちりとつかまれて動けなくなったりしたりと、種類は豊富だ。

 

僕みたいに――あやさんもそうだね――ぜんぜんダンジョン適性が発現しなかった組は、適性があって嬉しそうなみんなが先生に引率されてのダンジョン遠足とかに行ってるあいだ、ダンジョン関係の授業を受けていたんだ。

 

だから、実地じゃなくても知識で知っている。

 

「大部屋の罠」――そのフロアの壁が最外周以外は取り払われて、全方位のモンスター討伐が寄ってたかって襲ってくる、リストバンドを即起動推奨な罠。

 

――けどもそれは、狭い通路からえんえんとミサイルを飛ばしてくる機械化モンスターに対して迎撃はできるけども、体とHPの大きさっていうアドバンテージのある巨人さんたちを有効活用するのに、適している。

 

あと――

 

「みぃつけた」

 

「はなび、とばしてくるやつら」

「きんぞくのきゅるきゅるにのってる、どわーふ」

「たってあるくわんころもいる」

「にゃんころもいる」

 

――どすどすどすっ。

 

事前に出して置いた指示通り、巨人さんたちが通路だった場所で一方的に撃ってきていた魔王軍へと突撃していく。

 

「ギューッ!?」

「バオンッ!?」

 

そこには――二足歩行をして鎧を身につけていて、ジープ……?みたいな車両の上に細長い筒を乗せた、モンスターたち。

 

「――ユズ様! 遠方から多数の気配が!」

 

「はい、当然、こっちより広い部屋からはこっちより多くのモンスターが居ますよね」

 

僕の視界の隅っこでは、真っ赤なモンスターたちのアイコンがわらわらと向かってきているのが確認できる。

けども、大丈夫。

 

「UIさん、召喚ポイントを全部使ってください」

 

【ストック済みのテイムモンスターを召喚します】

 

「「「――わおにゃこけぐぎゃこんこけこっこー!!」」」

 

「……なんか増えてる気がする」

 

【テイムモンスター101匹が支配権を獲得したダンジョンのモンスター3500匹は、テイムモンスターの召喚コストで召喚されます】

 

「それってつまり……あの子たちがどっかで仲間を増やしたってことですか」

「ゆずきちゃん、あの子たちは百鬼夜行だよね」

 

「百鬼夜行?」

「うん、百鬼夜行」

 

「………………………………」

「………………………………」

 

「?」

「?」

 

こてん。

 

なんだか久しぶりに、ひなたちゃんと首をかしげ合う。

僕たちはときどきこういうふうになるんだ。

 




今年も柚希くんの配信を追ってくださり、ありがとうございました。
平日毎日投稿は本日で今年はおしまい、次回は1月5日月曜日からの見込みです。

来年の柚希くんも、どうぞよろしくお願いします。
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