ユニコーンに懐かれたのでダンジョン配信します……女装しないと言うこと聞いてくれないので、女装して。   作:あずももも

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521話 不毛な戦いらしい

【経験値が貯まりました】

【レベルアップしますか?】

 

【スキルツリーが解放されました】

【確認しますか?】

 

【「テイマー」のレベルが上がりました】

【指揮可能モンスターの数または種類を選択できます】

 

【待機中】

 

【保留している選択が666件あります】

 

「……むぅ」

 

「? どうしたの? ゆずきちゃん」

 

「めがみさまからのこえ、きいてる」

「わ、おっきな子、かわいい声!」

 

ぴこぴこぴこぴこ。

 

……UIさんのメッセージがいろいろと教えてくれるのはすっごくありがたいんだけども……正直いちいち伝えて聞いてくるもんだから気が散ってしょうがない。

 

や、途中で減らしてはもらったよ?

減らしてもらってもぴこぴこくるのは、ちょっとね……。

 

【人工精霊による補佐でテイマー:ユズに最適な選択を推測提案実行しますか?】

 

「つまり?」

 

【検索中】

 

【:】

 

【良い感じで処理します】

 

「あ、はい、じゃあそれでお願いします」

 

そうお願いしたとたんに放置してたウィンドウが数十個――半透明とはいえ、視界の半分くらいを埋めてきて、実は周りが見えなくなってきていよいよまずかったんだ――こぴこぴこぴこぴと消えていく。

 

「ふぅ、静かになったぁ」

 

「……ゆずきちゃん、見えちゃいけないものが見えてるの……?」

「むふん。しんぞくのかご」

 

いつの間にか仲良くなってるひなたちゃんと巨人の子に挟まれる形で、僕は安堵のため息をつく。

 

僕はじっと考えるのは得意でも、その場その場でああしてこうしてって言われるととたんにだめだめになるんだ。

 

「よく分からないけども……偉い人って決めることがいっぱいで大変だなぁって思ってたんだ」

 

「ふぅん?」

「おいそがしい」

 

【伝達:個体名エリー】

 

【判断の基礎情報を提出】

 

「うひゃああっ!? ……し、ししし神族様方の念話通信が直接脳にぃぃぃ!?」

 

なにもないところを見上げてびくんと跳ね、汗がだくだく出ているエリーさんにびっくり。

 

……エリーさん、疲れちゃったのかな。

 

この戦いが終わったらゆっくり休ませたげよう。

なんだかちょっぴりかわいそうな気がしてきたもん。

 

 

 

 

「ね、ゆずきちゃん……そろそろ前、見て?」

「?」

 

しばらくのあいだ、1人でいろんな表情をしながらぺこぺこしたりふらっとしたりしていてなんだかおもしろかったエリーさんを眺めていた僕は、袖を引っ張られてひなたちゃんに向き直る。

 

「………………………………」

「?」

 

「……えっと、ううん。わたしじゃなくって、前……」

 

やっぱりおとなびていて――なぜかどきどきしてくるひなたちゃんの顔を眺めていたら、ふいっと逸そらされる。

 

僕はちょっぴり傷ついた――けども。

 

「? 前?」

 

UIさんに丸投げしてから楽になっていた戦闘は……見える限りだと僕たちに有利な様子。

 

だけども、ひなたちゃんはそれが不安らしい。

 

「……なんか敵のモンスター……魔王軍、倒したそばから増えてくるんだけど……」

 

「だってここ、魔力が濃いもん」

 

「それが濃いと、どうなるの……?」

「えーっと」

 

ひと呼吸考えて――うん。

 

「エリーさんとかおやびんさんのレベルでちょっとずつ使い切れなくなるけども、大半のモンスターとか僕たちにとっては息をしてるだけで魔力が使い切れないくらいにもりもり回復する。だから治癒魔法持ちの仲間がいれば、一撃でやられない限りみんな回復できて、その治癒魔法を使った子もすぐに魔力が回復して――」

 

「――互いに、回復しながら最大級の攻撃を休みなく与え続けることになります」

「あ、エリーさん」

 

なぜだか遠い目をしているエリーさんが――あ、今のエリーさんも、汗の匂いと合わさってなんだかどきってする顔だ――僕たちの横に立ち、僕たちより頭ひとつ分高いところにあるお口を開く。

 

「ゆえに、一般的な魔界では強者同士の戦いほど長引きます――かつての神族と魔王の最終決戦では、それこそ死力を尽くした戦いが魔界をいくつも破壊しながら数千年続いたとも」

 

「はぇー」

「すうせんねん……人類の歴史と同じくらい、それ以上かかるんだ……」

 

「その結末は――かの決戦でなくとも、全てを酷使し尽くしての両陣営の激しい損耗になりがちです。ですので、今のユズ様と目の前の大部屋からのポップという大軍同士の戦いも……最低でも数ヶ月は掛かるかと」

 

数ヶ月。

そんなにかかるんだ、これ。

 

「……戦力は拮抗……いえ、わずかにこちらの方が。ですが、途中で撤退すべきかと進言します」

「なんでですか? 勝てそうなんですよね?」

 

エリーさんは――僕が好きだった相手が理央ちゃんだからって理由で、こっちに来るときに理央ちゃんに近い顔と体つきになったらしいけども、やっぱり理央ちゃんとは違ってもっと大人の女の人だ――彼女が、言う。

 

「ユズ様は人間様――厳密にはワタシたち魔の血が混じっているために人間様の寿命よりはずっと長く生きられるでしょう。けれども、精神――心の方は限りなく人間様よりのはず」

 

「うん、たぶん」

「そうかなぁ……ちょうちょしてるときはかわいいけどこわいけどなぁ」

 

「え? 僕、怖いの?」

「うん。何をするのか分からないから」

 

「………………………………」

「………………………………」

 

僕はしばし、驚愕の事実を受け止めるためにひなたちゃんの顔を見続ける。

 

「………………………………」

「………………………………」

 

「……僕、もうちょっとおしゃべりになるよ」

「うん。せめて何をするのか教えてくれたら、エリーちゃんも灰にならなくって済むから」

 

「灰に?」

「うん、灰に」

 

「? 灰……? ……ああ、以前インキュバスに変身し、当時は女性と思い込んでいましたユズ様を籠絡しようとして失敗した、あのときの……?」

 

こてん、こてん、こてん。

 

僕たちはしばらく首をかしげながら、必死に戦っているみんなを眺めていた。

 

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