ユニコーンに懐かれたのでダンジョン配信します……女装しないと言うこと聞いてくれないので、女装して。   作:あずももも

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523話 【休めるときに休みましょう  相手はちょうちょだぞ】

「魔王様。浮遊ダンジョンの7割が何処かへ転移済みです」

 

「未だ支配は奪還できない……か」

「はい……恐らくは魔王様の権能以外では不可能かと」

 

「済まない。心労がたたった様子で、あなたたちの魔王――幼い彼女は、まだ戻ってこられない」

 

「承知しております、勇者様」

「先代が認めし御方――私共の魔王様を支えてくださっているのです」

 

玉座で報告を聞く魔王――その横にはちゃっかりと柚乃がくっついて座っている――がメイドたちと話し込むも、事態の深刻さが浮かび上がるだけ。

 

しかし時間はある程度、諦めと覚悟を持たせるもの……銀髪少女の姿で話をする柚希の父も、銀髪少女になってしまった夫にへびりつく柚乃も――働くメイドたちも、魔王の元へもたらされる情報の整理に忙しい。

 

【七稜郭タワーからのライブ映像でも、次々と光に包まれて消えていく浮遊ダンジョンたちが】

 

【おろろろろ】

【見えないのに着実に事態が動いている恐怖感】

【こわいよー】

【百鬼夜行の最後尾も、とうとう全部同じような光の渦に吸い込まれたしなぁ】

 

【あはは! ちょうちょ! ちょうちょちょうちょちょうちょ!!】

 

【かわいそうに……】

【錯乱できた方が楽なんだよな】

【現在救護班では治癒魔法を使える方を緊急で召集しています】

【草】

【おお、もう……】

 

【ああ  これがユズちゃんの精神攻撃か】

 

【ユズちゃんは得意だもんね、精神攻撃】

【最初からおかしいと思っていたんだ、あのユニコーンロリ】

【草】

【まんま! まんまぁ!】

【きゃっきゃ!】

【おろろろろろろ】

 

【そうだよな……あの子はちょうちょかリリスかの極端な2択を強いてくるからな……】

 

【強いてくるっていうか気分でひらっひらしたりサバト起こしたりしてくるんだけどね】

【それが怖いんだが?】

【知ってるが?】

【子供が超未来の兵器をおもちゃとして振り回して遊んでるのを眺める恐ろしさがあるよね】

 

【この度はうちの学校のユズちゃんが誠にごめんなさい】

【草】

【親衛隊はむしろ被害者側では?】

【それはそう】

【あんなナチュラルボーンサキュバス、制御しろって方がムリだし……】

 

【今この瞬間にも1秒ごとに例のちょうちょが手の届かないところで確実に何かをやらかしている恐怖よ】

 

【いっそのこと近くで観察できたなら】

【行くな、死ぬぞ】

【<URL>へ電話でもチャットでも良いので、せめて一言でも相談してください】

【ちがうちがうそうじゃないそうじゃない】

【草】

【あんのサキュバスユニコーンちょうちょ聖女ロリ……ほんとなにやってんだか】

 

エリー、ひなたと、阿鼻叫喚を二度も経験した玉座の間は、疲労しきった面々でお通夜モード。

 

長期戦になると踏んだ魔王側と人類側の相談の結果、改めての共闘態勢が確認され――ついでに「どんな結末になろうとも人類側の責任は追及しない」という太っ腹すぎる条約まで結ばれ、ひとまず人類の指導者たちは安心感から数日ぶりに崩れ落ちて救急搬送された――魔王城の中は閑散としている。

 

魔王側は大半の魔王たち――魔王へ自主的に隷属しているそれぞれの魔界の王たちが、人類への圧力軽減のためもあり、それぞれの世界の管理と即応体制を敷くために帰還。

 

人類側も教官や優、理央やあや――柚乃はどちらに属すか不明だから放置された――が玉座に残り、現在はメイドたちによる食事――炊き出しで栄養補給をしている。

 

内容は前日に柚希が振る舞われたもので、そのどれもが人類にとって未知ながらも美味な食事ばかりだったが……「こんな状況」では、味わうものも味わえず、ただ香りと味でわずかに食事の意欲をかきたてる程度にしかならなかった。

 

「下で待機してもらっていましたダンジョン潜りの方たちに軍関係者は、現在七稜郭ダンジョン入り口――だった場所の横の七稜郭タワーで休息を摂ってもらっています。……明日以降もこの状況が続く場合は、私たちも一時地上に降りて精神面での休養を……と」

 

「ええ、このままではこちらが参ってしまいますから」

「ですから理央さんも、そろそろ横になった方が……」

 

「……大丈夫です」

 

豪華なテーブルやイスから何までが大広間に持ち込まれ、急遽夕食の歓待を受ける形になっている中、理央は変わらずに真っ青な表情のままでいて――治癒魔法はメンタルのダメージまでは完全に治せない――柚乃のいろいろで抜けていた魂も、今やふたたびに浮いていきそうな様子。

 

「……食後、少ししたら私たちを眠らせてもらいましょう、優さん。私たち、みんな気が昂ぶって疲れていますから……ほんの2、3時間でもありがたいので。理央さんも含めて」

「そうですね、あやさん。お願いできるでしょうか」

 

「畏まりました。後ほど睡眠魔法をお掛けします」

「皆様は私共の魔王様の客人――いかなるご命令も」

 

思い詰めている理央へ、気配りとしての強制的な睡眠という安楽を与えようと話し合う優とあや、メイドたち。

 

魔王城にある客室のうちのひとつで、昨夜柚希がぐっすりと眠ってわずかに匂いの残るベッドと着替えも、理央のためにと――そういう話になっているようだ。

 

【優ちゃん……】

【さすがはリーダー】

【あやちゃんも、さすがの年長者っぷり】

【あのおっぱ母性の塊だからな】

【草】

 

【とにかく休もう  休めばこのあと何が起きようともなんとか脳が開いていく……】

 

【草】

【草】

【間に合わなかったか……】

【みんなも休もうね  マジでちょうちょのひっらっひらっぷり次第ではいつ叩き起こされるか分からないからな】

 

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