ユニコーンに懐かれたのでダンジョン配信します……女装しないと言うこと聞いてくれないので、女装して。   作:あずももも

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524話 【速報・ユズワールド】

「聖女様の伴侶であらせられる理央様」

「どうか、栄養の補給を」

「お顔、失礼します」

 

「………………………………」

 

1口、2口。

もそ、もそ。

 

メイドたちに甲斐甲斐しく介護され――口元へ運ばれた分は口にするものの、それ以外はただ下を向いてうつむく理央。

 

ストレスの余りになにもできなくなっているその姿は、皆の心を痛めていた。

 

【理央様……】

【ユズちゃんの安否――は確実に安全側だろうけど、こんなに長期で離れたこともなかったっていうしなぁ】

【しかもこの事件の首謀者ときた……心労も人一倍だろうよ】

【おいたわしい……】

 

「……どうして」

 

ぽつり。

 

彼女が漏らした言葉に、周囲のメイドたちやあやたちは目元を覆う。

 

【ぶわっ】

【かわいそう】

【なかないで】

 

【待て、なにか嫌な予感がしてきた】

【あっ……なんかの電波が受信されてきた気がする】

 

【おいやめろ】

【詠唱はやめてって言ったでしょ!!】

【草】

【え? 理央様がかわいそうなだけなのになんで不穏なの??】

 

「……どうして柚希先輩は」

 

理央は、おもむろに用意されていたグラスを手に取り――飲み干した!

 

「――ぷはっ! 私を! 連れて行かないの!! 私が初めての女なのに!!」

 

――ぱりんっ。

 

理央が持っていたグラスが、衝撃波で爆発四散した!

 

「あら理央ちゃん、元気ねぇ」

 

酒関係を見逃すはずもない柚乃が、すすすっと横滑りしてきたかと思うと――新たなグラスを手に、とくとくとくとワインボトルから新しい燃料を投下する。

 

「さぁ、ぐいっと!」

 

「いただきます!! ……こくこくこくぷはっ! 私より先にひなたちゃんを! それよりもエリーさんを! なんですか、顔は私そっくりなのにやっぱりおっぱいもおっきければ大人の女性らしい落ち着きがあるし常時ほぼ全裸痴女でサキュバス仲間のエリーさんが良いんですか! 目の保養ですか! それともその次に求めたひなたちゃんですか! 幼い仲間で癒やされますしすごく良い子ですよね知ってます! 私だって柚希先輩の次にひなたちゃんを抱きしめたいですもん! 癒やしですよね! 知ってます!」

 

顔を真っ赤にしてとろんとした目で叫びだした理央――酒乱だ!

柚希から最初に呼び出してもらえなかったストレスだ!

 

「理央さん!?」

「お、落ち着いてください理央さん! 配信機材! 配信機材がテーブルの上に!」

 

【草】

【草】

【草】

【なぁにこれぇ……】

【悲報・理央様、やっぱ理央様】

 

【こんの自己中百合っ子め……】

【理央様ってユズちゃんと自分のことしか考えてないよね】

【親衛隊も心からそう思います】

【草】

 

【草】

【幼なじみたちも同級生たちもそう思ってたのか……】

【あーあ】

【ま、まあ、ストレスはすごかっただろうから……】

 

【で、でも、そうだよな  まだエリーちゃんやひなたちゃんが死んだとは限らないんだよな!】

【可能性としては99.99%ユズちゃんがなんらかの手段で呼び寄せたんだもんな!】

 

【え、じゃあ、ひなたちゃんが打ちひしがれながら集めてた灰は?】

【知るかそんなもん】

【ちょうちょに聞け】

【元凶に聞いてもろて】

【その元凶がな、居ないんだよ……】

【草】

 

【エリーちゃんが分裂でもしたんじゃね?】

【ちくしょう、泣いてたのにどうしてくれる理央様め!】

【理央様のメンバーになってメン限で詰問する権利を獲得するんだ】

【なるほど、そんな方法が】

【草】

【なぁにこれぇ……】

 

【理央様だよ  しおらしくしててもやっぱユズちゃんしか見てなかった百合っ子だよ】

 

理央の癇癪に緩む空気。

 

――その隙を見せたのが悪かったらしい。

 

隙とは、見せずとも相手が認めたら見せたことになり襲われるものだ。

 

「!? ――魔王様! 高魔力反応が!」

 

【ふぁっ!?】

【敵機直上、急降下!】

【おろろろろろ】

【それってもうダメなやつー】

【言ってる場合か!?】

【こわいよー】

 

「どこだ!?」

 

「ま、魔王城直下――秘宝改めミラーボールの間です!」

「!? 不味い……城内の全ては不意の衝撃に備えよ!」

 

【悲報・ミラーボール、光り輝く】

【もうだめだ……】

【なんでいきなりこうなるんだよ】

【だってユズちゃんが手にしちゃったし】

 

【ああ、良い人生だった】

【待て、死ぬな】

【ユズちゃんの鱗粉でひらひらしてからでも遅くはない!】

【草】

【なぁにこれぇ……】

 

【とりあえず必要なものを身の回りに  「ユズワールド」だ……なにが起きるかはユズちゃんにも分からないぞ!】

 

「あらまぁ、柚希がようやくこっちに気づいたのねぇ。どこから見てるのかしら? おーい」

 

緊張感しかない空間で柚乃がひらひらふらふらと揺らめく。

――意識してかしなくてか、さりげなく収納していた羽を再びに全開にして。

 

【ユズねぇ!?】

【まずい……ちょうちょの片割れが羽ばたき始めた……!】

【なにが起きるんです?】

【知らないのか?】

【混沌だよ】

 

 

【:system】

 

【「五稜郭」――訂正・「七稜郭」 地下300m~地上1000mは転移します】

 

【猶予は60秒です  対象範囲内は「ユズワールド」へ転送されます】

 

 

【!?】

【は?】

【システム……ゑっ】

 

【やっぱちょうちょじゃねーか!】

【やっぱユズワールドじゃねーか!】

 

【おろろろろろろ】

【あああああああ】

 

【あ、七稜郭前の部隊が一斉に星形のお堀の中に駆け込んでる】

【征くのか……】

【一応あんなちょうちょでも守るべき義務を負ってるからね】

【この世界で1番に過酷な任務だな……】

【草】

 

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