ユニコーンに懐かれたのでダンジョン配信します……女装しないと言うこと聞いてくれないので、女装して。   作:あずももも

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53話 優しすぎてちょっとずれてるひなたさん

僕の家の事情。

 

それを聞いた2人は、やっぱり暗い顔をして目を背けてる。

 

……中学くらいから、新しく友達になった子に家のこと聞かれるたびにされる顔。

 

もうすっかり慣れちゃった、説明をしたらされる顔。

 

優しい顔。

優しいから、困っちゃう顔。

 

「柚希先輩、おふたりのことを大切に想ってるから伝えたんです。 ね?」

「はい、どのくらい一緒に続けられるか分かりませんけど、それでも仲間ですから」

 

【ぶわっ】

【ぶわっ】

【ユズちゃん、良い子】

【お母さんっ子】

【けど難病か……難しいな】

【治すのが難しいから難病なんだしな】

 

【ユズちゃんと理央ちゃんの落ち着き具合を見る限り、命がすぐに……ってわけじゃなさそうなのが】

【ああ、まだマシか】

【いきなりこんな重い話打ち明けられたロリとお姉さん】

 

「……分かりました。 何かあれば、いつでも相談に乗りますよ、柚希さん」

「ありがとうございます」

 

「きゅいきゅい」

 

「あ、でも、最近はちょっと調子が良い時期なんです。 普段は1日の大半寝てて動けないんですけど、今朝なんか僕を……」

 

……ああ。

 

そうだった、剥かれたんだった。

光宮さんの前で、ぱんつを。

 

……そりゃあ小さい頃からお風呂入ったりしてたし、プールとか2人で行って帰って来て一緒に脱いだりしてたし、今でもなぜか良くお互いにお風呂に入ってこられたりトイレに入っちゃったりして見ちゃうけどさぁ……。

 

でも赤ちゃんみたいに脱がすのはないでしょ、お母さん……。

 

恥ずかしかったんだよ?

恥ずかしすぎて、今まで記憶から飛ばしてたっぽいんだよ?

 

……でも、あれだけやんちゃしてるお母さんが嬉しかったから……いやいや、さすがに駄目だ。

 

光宮さんだっていい加減年頃なんだ、そろそろ彼氏さんとかができる頃合いなんだ。

 

だから僕のちっちゃくてしょぼいのなんて見せちゃ駄目なんだ。

 

「ちっちゃくてかわいい」っていつも言われるし……うぅ……。

 

なんで僕のは小学生のときから全然成長しないんだろ……みんなのなんてぐろくなってぼさぼさなのに……。

 

まぁ、さすがに高校生になって「触らせてください! 揉み心地が良いんです! 代わりに私の好きなだけ……!」とか興味津々な光宮さんからは距離置いてるけどさぁ……。

 

女の子が男のを揉みしだいて楽しんでたらダメでしょ……。

 

……じゃなくて。

 

今はそんなちっちゃなことは忘れよう。

今はパーティーの問題だもん。

 

そう、僕の体の問題から意識を振り切ったところで、ひなたさんの声が降ってくる。

 

「……だったら、ゆずきちゃん」

 

ぴっ。

 

リストバンドに通知。

 

「?」

 

それを操作して、「入金がありました」っていうメッセージを辿ると――。

 

「………………………………ひなたちゃん」

 

「ゆずきちゃん、お金に困ってるんでしょ?」

「ひなたちゃん」

 

「だから、これあげる」

 

そこには――さっきの十数万円よりケタのひとつ上の金額が、増えていた。

 

僕の口座に、今、ひなたさんから入金された金額。

 

それは、今日の稼ぎの10倍どころか、何十倍のお金で。

 

「……何をされたんですか? ひなたさん」

 

「私のおこづかい。 最近使うことなくて貯まってたの、あげたの。 ゆずきちゃんに」

 

「えっ……」

 

【えっ】

【あの、ユズちゃんのカメラ、ユズちゃんのおまんじゅうと一緒に持たれてるからリストバンドの画面が】

【ご、ごひゃく……】

【ひぇぇ】

【何? このロリ、もしかしてお金持ちロリ?】

 

【あー、そういやこの制服、お高い私立の……】

【なんでそんなロリがこんなところに!?】

【いや、適性があって親の許可があれば小学生でも潜れる時代よ?】

【そういやそうだった】

 

【あの……ユズちゃん、顔……】

【怖……くないけど】

【あー】

 

「………………………………」

 

ぴっぴっ。

 

「……はれ? ゆずきちゃん、戻って来ちゃったよ? 操作、間違えちゃった?」

 

「あ、あのっ……柚希先輩はですね、そういうのっ……」

 

【さすがに返すか】

【そりゃそうだ】

【ユズちゃん、ただの天然じゃないのね】

【天然だって返すぞ?】

 

【理央ちゃんが焦っている】

【地雷?】

【ユズちゃんにも地雷があったのか】

【まぁ……そういう家庭環境らしいしねぇ……】

【ユズちゃんに限って思いっ切り怒るとかはないだろうけど……】

【良いこと、なんだけどなぁ……でも……】

 

「……あ、今のじゃ足りないんだ! ごめんごめん、だったらお年玉も崩してあげる! ひなた、何かしてあげたいお友達なんて、今まで――」

 

「――――――……ふぅ。 ……ねぇ、ひなたちゃん?」

「ふぇ?」

 

ひなたさんは、きっと、とっても良い子なんだ。

 

……良い子だけど、良い子すぎるのと……多分、ちょっとズレてるせいで、今のを「おかしい」って思えない。

 

困ってる友達への、カンパ。

 

それを遙かに超えている、今のこれ。

 

この子の、善意。

 

それはきっと、本当なら褒めてあげて受け取ってあげるべきもの。

 

でも、僕は。

 

「ごめん。 受け取れないよ。 こんな大金」

 

「え、で、でも、ゆずきちゃんのお母さんの病気も、ゆずきちゃんもアルバイトで忙しいって、だから」

 

「――だから、受け取れないんだよ。 優しいひなたちゃんだから」

 

怒ってないって伝えるために、床に膝をついて彼女を下から見上げるようにして。

 

「きゅいっ」

 

【ちょ、ユニコーン】

【良いところなのに!】

【ユズちゃんの腕から飛び降りちゃった】

【もしかして:空気読んだ】

【ああ、頭良いっぽいもんな……】

 

「わぷ」

 

「……まずは、ありがと。 嬉しかったよ」

 

僕が差し出した腕を見て、目をぎゅっとつぶった彼女。

そんな彼女を、そっと抱きしめる。

 

……この子、本当に小学生なんだね。

 

体つきも匂いも、小さい頃の光宮さんみたい。

 

「だったら……」

 

「ひなたちゃん。 君は、僕の仲間で友達だよね」

「友達……うん」

 

「だったら、余計にね。 今みたいに、お金とか物を一方的にあげちゃいけない。 僕は、そう思うんだ」

 

これは、あくまでも僕の意見。

 

実際、このことで……多分、月に1回は光宮さんと軽い口論になってる。

 

でも、僕は譲れないんだ。

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