ユニコーンに懐かれたのでダンジョン配信します……女装しないと言うこと聞いてくれないので、女装して。   作:あずももも

532 / 597
529話 【速報・ユズちゃん、肩書きが増える】

「先ずは――この度は、誠に申し訳ない。これが今、私が背負っている責任を考慮した上での最大級の謝罪だ」

 

「私たちのユズがごめんねぇ」

 

魔王城、大広間――城の入り口に構えられている、通常の人類の何倍の存在が使うのかと思うほどに巨大な両開きの扉が開いている空間。

 

城が強襲されることは想定されていないようで、遮るもののない豪華な吹き抜けの空間は奥に上の階層への広く長い階段が伸び、それに沿って顔を上げると過去の魔王たちの肖像画――どれも今代の魔王とほとんど変わらない銀髪紅眼の美少女から美女の見た目のそれら――が出迎え。

 

空中に浮いている――文字通りに、魔法で浮遊しているシャンデリアは宝石でできた小さな城。

無数の宝石や金属、魔法の光に照らされて贅を尽くした光を放ち、七色の粒を浴びる床は欠けることのない石畳を紅い絨毯が覆っている。

 

【豪華だ……】

【すてき……】

 

【映画のセットみたい】

【ばっか、そのモデルになった本物のお城とか言えよ】

【俺の発想力が貧弱で誠にごめんなさい】

【草】

 

【いいよ】

【ありがとう】

【優しい世界】

 

【けど……】

【ああ……】

 

「我ら魔王様の配下も詫びよう。この通りだ」

「私共、魔王様に傅く使用人一同も謝罪致します」

 

「ま、魔王様!? それにみなさん!?」

「そこまでされなくとも……!」

 

――あらゆる手段で七稜郭へ飛び乗ってきた人々が、優たちの案内で魔王城の前へ転移し「中で魔王様がお待ちです」と声をかけられて入った目の前。

 

そこには……城の主たちが頭を垂れ、使用人たちが腰を折っている姿があった。

 

よりにもよって城の主たちが、自らの居城の玄関口に出てまでの謝罪。

それがどのような意味を持つのか分からない存在は、ない。

 

なお、柚乃は1回ちらっと頭を下げてすぐに顔を上げ、優たちに向かってひらひらと手を振っているだけだ。

恐らくは柚乃だけが、その意味を分かっていない――あるいは気にしていない!

 

【おいたわしい……】

【なにがあったのかは分からんが、とにかくおいたわしい】

【なかないで】

【たぶんあなたたちは悪くないよ】

【そうだよ】

【だって今それしてるのって恐らく……いや、100%確実に……】

 

「――協議の結果、柚希の立場は『私の義娘である魔王』の『養子』となった。もちろん法的にはそちらの世界の、私の妻の子のままではあるが……私が地球の人間出身であり、私の魂を使ってこの魔王の娘――」

 

「せんせい?」

 

柚乃の声に、一瞬――シャンデリアが沈黙する。

 

【!?】

【おろろろろろ】

【じょばばばば】

【まーたユズねぇが闇ってる】

【サキュバスの嫉妬って怖いね】

【サキュバスこわい……インキュバス……どこ……?】

 

「――が産まれる『触媒』! 材料になっただけだから本当に私は先代の魔王と愛を誓ってもいなければ肉体的な接触も何もない! いい加減に納得してくれ柚乃!」

 

「……うふふ♪ この戦いが終わったら私の先生を墓所?というところで眠らせることなく、どうにか引っこ抜いて連れて帰らせてくれるって条件でOKしたのぉ♪」

 

「……はぁ……という訳で、私は今代の魔王の一時的な名代と同時に、柚希の父親でもある。従って柚希の悪戯は私の責任でもある。ゆえの謝罪だ」

 

「魔王様の子供がおいたをしたのだ……我ら配下の者が謝罪せんとな」

「げに愛き子が義理とはいえ魔王様の子……大変に素晴らしい」

 

「この協議で最も困難だったのが『魔王様のお父様』――大変失礼致しましたお許しくださいませ! 『魔王様の義父様の奥方様』! ユノさまの承諾でしたが……ともかく、ここに合意は成りました。以降の私共は、ユノ様にユズ様――聖女様のしもべでございます」

 

数十のメイドたちが一瞬も違うことなく、再度に腰を深く折る。

統率の取れた列――それは、見たものを圧倒する。

 

【ひぇっ】

【メイドさんたちは綺麗だが……】

【ユズねぇが場を支配している】

【恋する乙女は恐し】

【そらユズちゃん-何割かのちょうちょ成分+重い愛だもん……】

【ちょうちょって大切だったんだね】

【そのせいでこんなことになってるんだけどね】

【草】

 

ひとりだけにこにことしている柚乃、相当過酷な交渉を終えてげんなりとしている魔王たち。

 

その対比は、どのような経緯をたどったのかが浮き彫りになっていた。

 

【けど……マジ?】

【配信機材の真ん前で言うってことはマジなんだろ】

【てことは……】

 

【速報・ユズちゃん、魔王の娘になる】

 

【正確には義娘か?】

【ユズねぇが怒るからそういうことにしとこうね】

【謎の嫉妬で話が進まないからそういうことにしてあげようね】

【かわいいね】

【かわいいね】

【草】

 

【朗報・ユズちゃん=ロリ=ユニコーンテイマー=サキュバス=ちょうちょ=聖女=魔王の娘←new!】

 

【「ユズちゃん=ロリ=ユニコーンテイマー=サキュバス=ちょうちょ=聖女=魔王の娘」って名前かな?】

 

【ずいぶん長い名前だね】

 

【そこはちゃんと「ユズちゃん=柚希=ロリ=ユニコーンテイマー=サキュバス=ちょうちょ=聖女=魔王の娘=つまりは魔王姫=星野」だろ】

 

【なるほど!】

【ちゃんと正式名称にしないとね】

【法律とかは正式名称じゃないといろいろめんどくさいからね】

【途中の名前の順番とかも吟味しないといけないけど暫定でそんな感じだな!】

【なんてことだ、ユズちゃんに魔王姫の属性まで付与されてしまったか……】

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。