ユニコーンに懐かれたのでダンジョン配信します……女装しないと言うこと聞いてくれないので、女装して。   作:あずももも

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533話 【対ユズちゃん作戦ブリーフィング中】

 

「あら、でも優さん? そうなると、なぜだか一緒に巻き込まれている七稜郭タワーと、その周辺の陸地はどうなるんでしょう?」

 

「あっ……そ、そうでしたね、理央さん、分かります……?」

「ど、どうなんでしょう……?」

 

玉座――その直上に巨大なスクリーンが展開され、魔王城の最も長い尖塔の先から七稜郭の土塁までが立体的に表示されている。

 

城――その下の大地(ダンジョン)――ミラーボール――ダンジョン――7つの先端を備える要塞、おまけの七稜郭タワー。

 

それは歪な形をしながらも半透明のバリアで覆われており――仮に防御魔法が突破されようとも防御面では硬そうな、防衛戦や籠城にうってつけの形だ。

 

到着地が平坦な地面ならそこまででもないが、仮に水面だった場合には七稜郭の堀が真価を発揮し、現在は七稜郭公園となっているために柵は転落防止用程度のものしかないが、それでも水堀――水城というのは、地形だけでも古来より強固なもの。

 

さらには、人々を跳ねてまで滑り込んだ戦車や自走砲、装甲車が持ち込んだ武装もあり、弾が切れるまでは多少の追加支援も期待でき――弾と燃料が尽きたなら、それらをダンジョンの入り口へのバリケードとしての時間稼ぎも可能だろう。

 

そこが突破されようとも、先に繋がるダンジョンの構造物は非破壊オブジェクト――余程の攻撃でも表面が軽く溶ける程度の強度を誇る構造物が立ち塞がる上に、大軍で攻略されようとも数々の罠が各フロア、各部屋にある上、数十階の狭い登り階段のために敵の侵攻は相当な手間が予想される。

 

――その出口、中間部に回転しながら輝き魔法陣を展開しながら浮遊しているミラーボールはともかく、その上のダンジョンは七稜郭のそれよりも何倍も広く複雑で深いものであり――なにしろ柚希たちが軍との共同作戦をしたほどの規模の、民間人立ち入り禁止な高難易度ダンジョンだ――下のダンジョンで疲弊した敵は、上層部の突破に数倍の時間と兵力を浪費させられるだろう。

 

最も――これらの戦略は、敵の主力が飛行系だった場合には、なにひとつ機能しない。

 

だが、魔王城には――肉体は幼いながらも幾多の世界を統べる「魔王」が居る。

その配下は、数こそ各世界に戻りわずかながらも、魔王に傷を負わせられる程度には位階の高い……「魔王」を名乗れるだけの存在たちが、揃っている。

 

現在、当代魔王のはずの彼女は「聖女ユズ」な柚希からのあまりにも手酷いストレスを受けたために精神世界へと引きこもり、代理として柚希の父が体を動かし指揮をしているが、その実力は「魔王」そのもの。

 

魔の王――数百の魔王たちをまとめ上げる王の力は、10歳、11歳のの幼体だとしても、破格の存在。

 

なお、戦力にならない七稜郭タワーについては、教官の彼女が――停電したために声をかけながら駆け上がっている階段で避難を継続している。

 

なにしろそこだけは堀もなく、むしろ敵地と地続きであり、ただの観光用施設――真っ先に落とされるに決まっている。

 

なぜこんなものが一緒に引っ張られてきたのかと、魔王だけでなく全員がため息をつく。

 

「――以上が、この魔王城並びに七稜郭の構造を踏まえた防衛方針だ。柚希のために来てくれたみなさんは――この城を預かる魔王代理として。なによりも、柚希の父として――必ず、お守りする」

 

「あなた……♥」

 

「ユノ様――いえ、王妃殿下。お願い申し上げます、魅了の魔法を無差別に放たれませんよう」

「あら、うっかり」

 

【は?】

【草】

【このサキュバスめ……】

【ユズねぇがこんなにやべー女だったとは】

【ユズちゃんが介護してた時代が1番まともだったとは……】

【元気なのはいいことなんだ……うん……ただ、ちょっとばかり重すぎるし、やっぱちょうちょの片鱗が濃いだけで……】

 

「魔王様は、リストバンド――転移魔法を付与した緊急離脱装置でしたか、それが確実に作動しない可能性を考慮し、申し訳ありませんが撤退の指示だけには確実に従ってほしいとおっしゃられております。なにしろ、みなさまの世界からはるかに離れた未知の空間ですゆえ――私共にも、現在地の座標が不明ですので」

 

魔王やメイドたちによる、配慮を重ねた誠実な説明は――彼らが柚希を、柚希のためにと乗り込んできた全員を保護すると、そう宣言するも等しかった。

 

【なるほど】

【優しい世界】

【ユズちゃんのおかげでもあるしユズちゃんのせいでもあるがな】

【この事態の元凶だからな!】

【草】

【ちょうちょなんだ、仕方ないんだよ】

【小さい子供がおいたをするのは当然  保護者と周囲の大人の監督責任だからね】

 

【とにかく乗り込んだ人たちも、魔王城まで押し寄せられない限りはなんとかなるか】

【ちょっとほっとしたわ】

【ユズちゃんのために――かどうかはともかく「助けになりたいから」って自分たちがどうなるかも分からないのに飛び込んできてくれた人たちだからな】

【まさに勇者だよな】

【それな】

 

【前触れもなく唐突に60秒で転送されたにしては異様に長い10分っていう転移時間のおかげで状況が把握できて助かる】

 

【でもこんな大がかりなことしでかすんなら、一言で良いから事情を知らせてもらって、もうちょっとだけ……1分でも2分でも余裕持って喚んでくれたらよかったんだよ、ユズちゃん……そういうところだよ、ユズちゃん……】

 

【そうだよ……七稜郭がないなった現地では、飛び込み損ねた人たちが地面にぽっかり空いた穴の前で放心状態なんだよユズちゃん……報連相は大切……小学生なら先生から教わったばっかりで覚えてるでしょユズちゃん……】

 

【草】

【草】

【かわいそうに……】

【改めてめちゃくちゃで草】

【ユズちゃん……どうして……】

【ユズちゃんだからだよ?】

【そうだった……】

 

【あのロリっ子が巻き込んだ他人へ気配りできるはずがないんだ、しょうがないんだ】

 

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