ユニコーンに懐かれたのでダンジョン配信します……女装しないと言うこと聞いてくれないので、女装して。   作:あずももも

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536話 最初/最後の戦いを

「ユズ様。部屋の隅まで追い詰められるまで……あと2キロもありません。こちらも明確に戦術を変えませんと、じきに囲まれて身動きが……」

「あのおっきな巨人さんたちのスペースも考えると、もうそろそろが限界……かな。ゆずきちゃん、どうしたい?」

 

せっかくひなたちゃんやエリーさん、ここで出会った巨人さんたちや来てくれた女神様の力も借りて、このダンジョンを攻略できそうだったのに。

 

こんなにも魔力のあふれる場所で、出会ったばかりの巨人さんたちとも仲良くなって――ちょっと前に助けてくれた女神様の友達たちを、守れると思ったのに。

 

――戦って、勝つ。

 

その気持ちはまだあるけども、どうしたら――

 

「ゆず。ゆにこーん、つかう」

 

きゅっ。

 

僕の前に立つ、真っ黒な前髪の中の深紅の瞳。

 

「……そうですね。指揮してる僕自身の魔力切れとか、もう気にしてる場合じゃない……だって、援軍がくるんだから」

 

「ん。あとごふんもてば、それでいい」

 

こくこくと、女神様が助言をしてくれる。

 

――そうだ、彼女の呼んでくれた援軍が――彼女の作ったUIさん経由で来てくれる援軍までをしのげば良いんだ。

 

だから。

 

「おまんじゅう。チョコ。――前みたいに限界まで行くよ。今回は、僕たちが寝ちゃってもあとから誰かが来てくれる……安心して全力、出せるね」

 

「きゅひっ」

「ぴっ」

 

かぽっ、かぽっ。

 

2人から、覚悟を伝える気持ちが流れ込んでくる。

 

「……では、ワタシたちもお伴致しましょう。サキュバスインキュバス部隊、ユニコーン様たちと随伴を!」

 

「「はっ!」」

「「キュヒッ!」」

 

エリーさんが告げると、それまでワイバーンさんたちと空を飛んでいたエリーさんの友達や、後ろで待ってくれていたユニコーンさんたちが集まってくる。

 

「オレ様たちはどうすりゃ良い、ユズ!」

 

ばさっ、ばさっ。

 

サキュバスさんたちを下ろしながら集まってきてくれたおやびんさんたちが――むふんむふんと、まだまだやる気で目を輝かせてくれている。

 

「……みなさんは、上空から僕たちの援護を。あと、助かりそうな子が居たら、助けられる範囲で助けて避難させてください」

 

「おう! 聞いたなお前ら! ワイバーンの底力見せてやんぞ!」

 

「俺たち、数だけはいっぱしだからな!」

「んー、さすがにタイタンたちは無理だけど、キマイラくらいならなんとか……?」

「うぅ……サキュバスさんたちがユニコーンどもに盗られる。これがNTR……?」

 

ばさっ、ばさっ。

 

後方で休んでいたりケガを修復していたワイバーンさんたちが――まだ回復し切っていないのに、飛び立っていく。

 

「……ゆずきちゃん」

 

「まおう――ううん、ゆず」

 

不安そうなひなたちゃんに、ここへ来てからずっとそばで僕のことを守ってくれていたんだろう巨人の子が、僕を見ている。

 

「ひなたちゃんは、巨人さんやモンスターたちのこと、お願い。僕はちょっと動き回るから、細かいところまで見られなくって……ひなたちゃんの声なら、みんなも聞くはずだから。巨人さん、必要だったらひなたちゃんを抱えて移動して――危なかったら、できるだけ長く逃げ回ってください」

 

「……分かった。気をつけてね」

「ん、ゆずのともだち、まもる」

 

巨人さんの中ではすごく小さい巨人の彼女が、人の中では背の低いひなたちゃんを両手に乗せ――ずしずしと歩いていく。

 

「……ふぅ」

 

……こんな戦況でも、みんなが僕の作戦を待ってくれていて、言うことを聞いてくれる。

 

なら。

 

――ぱからっ、ばからっ。

 

部隊同士の戦闘で対象が突撃するとか、近代以前とか限られた戦局での話。

けども、ここはダンジョン――適性と職業とレベルとスキルの世界だ。

 

そして僕は、なぜだかサキュバスの血を受け継いでいて、しかもリリスってのにもなっていて――なによりも、テイマーなんだ。

 

「ユニコーン-サキュバス・インキュバス部隊……稼働可能な組み合わせでの騎馬部隊が60騎、揃いました! 余った者はワイバーン様たちの支援でよろしいでしょうか」

 

「エリーさん、ありがとうございます――UIさん」

 

【指示を確認】

 

【テイム、あるいは共闘関係の存在間のFF――フレンドリーファイヤを無効化する防護壁を展開します】

 

【ただし複数の攻撃が重なった場合には崩壊する可能性があります】

 

「分かりました。――みんな、ユニコーンさんのビームは重ならないように。1本だけが当たるなら、味方のみんなは、じゅってならないから……お願い」

 

「「キュヒィィィィー……っ」」

 

こぉぉぉぉ。

 

おまんじゅうの――いや、おまんじゅうたちみんなのツノに魔力が注ぎ込まれていく。

 

「………………………………」

 

ぐぅぅぅぅっ。

 

僕の中から、急に魔力が吸われていく感覚。

 

それにちょっと足りない程度には息をするたびにこの空間全体から魔力を吸い込めはするけども――収支はマイナスな以上、魔力切れは確実にやってくる。

 

そんな感覚。

 

そして今からは、おまんじゅうたちにもがんばってもらう。

 

けども、それで良い。

 

援軍を信じて、彼らが到着するまで持てば――あと、テイムしてる子たちが消えない程度に残せたら、それで良いんだから。

 

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