ユニコーンに懐かれたのでダンジョン配信します……女装しないと言うこと聞いてくれないので、女装して。 作:あずももも
【あの タイタンの中でも1番でっかいやつの体全体よりもでかい「目」とか爪が、天井の「外」から覗いてきてるんですけど】
【あれ……ドラゴンだよな?】
【※サイズ的に、下手するとでかすぎるダンジョンよりもでかいです】
【 】
【 】
【 】
【 】
【 】
【でかすぎんだろ……】
【こわいよー】
【おろろろろろ】
【あのさ さっき先行入力したやつらさ、どう落とし前つけてくれるの?】
【先行入力はフラグになるのでお控えください】
【もう遅いよぉ】
【だから詠唱はやめろって言ってただろ!!!】
【草】
【草生やしてる場合じゃ】
【あーあ】
【巨大ダンジョン?の天井を発泡スチロールみたいにぺりぺり剥がしてきてるドラゴンとか……ゑ? あれ、勝てるの? ボスモンスターとかいうレベルじゃなくない??】
【もうだめだ……】
【で、でも、理央様たちが】
【魔王ちゃんは相当強いらしいが】
【でも、強いったって人間サイズだし、限度があるんじゃ】
【あっ……魔王ちゃんの命令で部下の魔王さんたち、各世界に帰っちゃってる……】
【あー、強そうな魔王さんたち、みんな出ちゃってたっけ】
【さすがにユズワールドへ召喚されるとは思っていなかったからな……】
【おろろろろろ】
【戦力といえば、魔王ちゃんの他は人間でしかない、駆け込んだダンジョン潜りたちだけ……】
『――発見した。魔王様の脅威となり得る存在』
【!?】
【!?】
【速報・でかでかドラゴン、しゃべった】
【シャベッタァァァァァァ】
【知性のある上位存在とかもうおしまいだぁ……】
『見たところインキュバス……いや、あの見た目はサキュバスか』
『消耗しているが、あの数をまとめているとなると淫魔族の王か』
『しかし人間臭い――混ざり物か』
『なんだ、下等種族か ならば首だけをお持ちすれば良いだろう』
【なんかこわいこといってる……】
【おろろろろろろ】
【ユズちゃんにげてー】
【逃げるったって……】
【ユズちゃん、いっつもやたら強いのに好かれるよな……】
【なにしろ良い匂いがしすぎるらしいからなぁ】
【美人薄命ともいうし、魅力的過ぎても大変なんだろうけど】
【そんなこと言ってる場合じゃ】
べりっ、べりっ。
天井が、簡単に剥がされていく。
たくさんの手によって。
たくさんの、長い爪の生えた鱗の手によって。
まるで、道に落ちてた段ボール箱を開けて中をのぞき込んでいじめがいのある小さな生物を見つけた、悪い子供みたいな顔によって。
「ゆず」
ぴとっ。
女神様が、顔をくっつけてくる。
「えんぐんまで、たえる。……あれのせいでじげんがみだれて、えんぐんがおくれてる。だから、がんばる」
「……分かりました」
【えっ】
【女神ちゃん!?】
【悲報・理央様たち、間に合わない可能性】
【タスケテ……】
【ユズちゃんとひなたちゃんだけでもどうにかなれば……】
【でも、もう天井が全部……】
【あっ……天井の向こう、ドラゴンたちのでかでかボディの先……】
【黒い空間に小さいまたたき……まさか、宇宙……?】
【あばばばばばばば】
【なぁにこれぇ……なぁにこれぇ……】
【:ユズのMPは9%です】
【★を使用しますか?】
「……お願いします」
「……ほし、つかう?」
「はい。今以外に使う機会は、ありませんから」
【?】
【ほし?】
【星?】
【何のこと?】
【わからん】
【不思議系の女神ちゃんとちょうちょなユズちゃんのあいだで謎の言語体系が成立している】
【草】
【あの ユズちゃんのレベルって】
【え?】
【あっ……】
【「★」――星、だったよな……?】
【★2とかだった気がする……】
【え? え?】
【そのレベル表記が間違ってなければ……】
【……繋がっちゃった?】
【繋がっちゃったねぇ……】
【てっきりユズちゃんのちょうちょなユズワールドのせいで世界が歪められてレベル測定の水晶がバグってた結果、ちゃんとしたレベルが表記されないのかと思っていたけど違うのか……】
【草】
【草】
【生やしてる場合か】
【だって、俺たちには応援しかできないし】
【ああ ユズちゃんはいつもピンチになるくせして、俺たちは間に合わないんだ】
【「★」の使用要請を確認】
【プールされていた魔力を解放します】
ぱぁぁぁっ。
さっきも感じた、僕の中の奥底に蓄積されていた熱いものが――ダンジョンに潜ってから初めて行った映画館で見終えるまで我慢していたおしっこを、がんばって必死に走った先のトイレで――なぜか「君はこっちだからね」って、男子トイレの入り口に居た男の人に回れ右させられて長い列のできてる女子トイレを見せられてもう我慢できないってなって、「漏れちゃうので!」っておまたを抑えながら駆け込んだ先の個室で便座へおしりをつけて力を抜いたときみたいに、
「――――――――――――ぁん……っ♥」
「ふぅ」
【!?】
【!?】
【 】
【 】
【 】
【 】
【 】
【えっち】
【えっち】
【これはえっち】
【ユズちゃんえっち】
「おしが、えっち」
「ゆ、ゆずきちゃん……」
「はんしょくよく……これが……」
僕の中に――さっきよりは少ないけど、それでも頭のてっぺんからおまた、足の小指までをびりびりとした気持ちいい電気が貫く感覚で、目の前がちかちかしている。
けども――僕が、戦わないといけないから。
だから僕は、まだ力が入らない全身を意識しながら――僕たちを見下ろして舌なめずりしている敵を、見上げたんだ。