ユニコーンに懐かれたのでダンジョン配信します……女装しないと言うこと聞いてくれないので、女装して。   作:あずももも

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550話 限界とUIさんと

「はぁっ、はぁっ……もう1回!」

 

「きゅ……ひーっ!」

 

びーっ。

 

普段――おまんじゅうとダンジョンに潜り始めて攻撃できるようになった最初の頃からずっと、攻撃のときの魔力はあんまり気にしてなかった。

 

僕が「ちょうど良いな」って思った力を攻撃に充てて、だから結構回数も稼げて――けども、それだって使い過ぎるとふらふらになってた。

 

だから、今みたいになんだかちょっとよく分からない感じに強くなってても、さっきまでとは違ってたくさんの魔力を込めないといけない状態で攻撃を続けていたら。

 

その合間にもドラゴンさんたちから間髪入れずに届くブレスの柱を避けなきゃいけなくって、何回かひやっとすることもあって。

 

だから、頭がくらくらする。

 

★――溜め込んだ魔力の予備もたくさん使ったのに、それでも魔力切れ、ガス欠が近づいているんだ。

 

援軍が来るけど止められてて、だから全力で追い払わないといけなくって――もう何分経ったのか分からない。

 

僕たちの呼吸とかけ声、びーってする音、やってくる炎の柱の音――そしてうるさいくらいの風切り音しか聞こえないんだ。

 

「――――……」

 

下を見ると、ひなたちゃんたちよりも近い空中に――けども距離を取ってじっと見上げてくる黒髪の子と目が合う。

 

……あの子の声が届かないくらいに離れているんだ。

 

でもそれはしょうがない、あの子はきっと戦いは苦手なんだ。

 

四角い不思議な空間で、髪の毛が部屋中の床を埋め尽くすくらいの長い時間、じっとモニターを見ながらなにかを作ってた子だから。

 

【ユズちゃんがんばれ】

【がんばれ】

 

【息つく暇も無いとはこのことだな……】

【だってユズちゃん、俺たちが見る前からずっと戦ってたんだろ?】

【だろうなぁ】

【それからあんな大技ばかすか撃ちまくって】

 

【途中で非常にえっちになって魔力が回復してたっぽいけど、それだって限度はあるみたいだし】

【草】

【サキュバスだから人間よりは……だろうけど】

 

【たったの1分で10回近くビームを……普段の何十何百倍の魔力を使って……】

【しかも敵の攻撃はその何倍もあるんだぞ】

【ユズちゃん、外したのは数えるほどで結構倒したから、さっきよりは敵の勢いも収まってはきたけど……】

 

【いや、増えてきてるぞ】

【なぁんでぇ……?】

【敵が無限湧きとか、どんなダンジョンだよ……】

【ダンジョンの「外」から来てるからな……】

 

「はぁっ……はぁっ……み、右に避けるよっ」

 

ぐいんっ。

 

頭の上から降り注いでくる炎の柱。

それは、それなりに距離を取って回避したとしても――炎だから。

 

「熱っ……」

 

――火の粉が、ほっぺたをつねる。

 

けど、そんなことも気にしていられないんだ。

 

【ユズちゃん……】

【いたいよー】

【ユズちゃんのかわいいほっぺたが】

【ああああああ】

 

【それでも前を向いて戦ってる……】

【いたいたしい】

【ユズちゃんのビームも強力だけど、やっぱブレスはなぁ】

【ダンジョン内で最強モンスターなのは伊達じゃないんだよな、ドラゴンって】

【ワイバーンでも亜竜系モンスターでも、ブレスはレベルに見合わない強さがあるもんな】

【治癒魔法があればやけどでも治りはするけど……】

 

【単純に肌をやられると痛みで動けなくなるんだ(n敗】

 

【↑成仏】

 

【もうしてるよ】

 

【ひぇっ】

【草】

【なんてことだ……この配信は地獄からでも鑑賞できるのか】

 

【勝手に地獄送りにしないでくれる??? 地獄も居心地は良いぞ】

 

【草】

【こわいよー】

【えぇ……】

【現実逃避したくなるくらいにユズちゃんがあちこち……つらい】

【笑ってないと泣いちゃう  もう泣いてる】

 

【守護られるべきかわいいいきものが、なぜかいつもたった1人になって孤独な戦いを強いられてるなんて……おかしすぎるだろ】

 

【違うぞ】

【ユニコーンちゃんも居るぞ】

【そうだよ】

 

【ユズちゃんはひとりぼっちじゃない  だって、テイマーだから】

【ユズちゃんはひとりぼっちじゃない  だって、配信者だから】

 

【がんばれ】

【がんばれ】

【がんばって】

 

【そうだ  ユズちゃんはもともとちょうちょ系幼女なんだ  なのにいつも、こうして健気に戦い続けてるんだ】

 

腕、わき腹、脚。

 

せっかくメイドさんたちが用意してくれた真っ白な服も燃えてぼろぼろになってるし、その下の僕の体もきっと……やけどまみれだ。

 

【警告】

 

【HP:38% MP:9% Cond:火傷-中破】

 

【戦闘継続は困難です】

 

目の前の半透明なウィンドウが、赤く点滅している。

 

「……UIさん」

 

【★は、残り「1」です】

 

【但し、使用してしまうと★の残量は「0」――すわなち、加護を受けていない通常の人間と同等にまで能力が減退します】

 

【非常に危険な状態になります】

 

【撤退を推奨します】

 

【ここで逃げても、誰からも非難されることはありません】

 

【テイムしているモンスター・魔族は魔力で復活できます】

 

【ユズ、あなたと人間の少女だけが退避してください】

 

【お願いです】

 

【ユズ】

 

【――――無茶を、しないで】

 

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