ユニコーンに懐かれたのでダンジョン配信します……女装しないと言うこと聞いてくれないので、女装して。   作:あずももも

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560話 理央ちゃんが居た

「……んぅ……?」

 

僕は、ふわふわとした眠りから覚めた。

 

前にも何度か経験した、短くて深い眠り。

全部を出し切って疲れて眠る、遠足の夜の眠り。

 

「柚希先輩!!! 無事で――」

 

「……んぁ、りおしゃん」

「ヴッ」

 

まだ頭も目も耳もぼんやりしてるからよく分からないけど、理央ちゃんが居るってことは分かる。

 

「よかったぁ」

 

「   しqゑ㍗仝    」

 

【草】

【草】

【え? なんだって?】

【いまなんて??】

【草】

【どっから声出したそれ草】

 

【理央様、女の子が出しちゃいけない声出してる】

【理央様の鳴き声だ……そっとしといてやれ……】

【久々のユズちゃん成分でやられたか……】

【草】

【まぁ分かる】

【至近距離で寝ぼけたユズちゃん見たらなぁ】

 

【それにしてもかわいい】

【ユズちゃんかわいい】

【くっそかわいい】

【やっぱユズちゃんはとてつもなくかわいいわ】

【それな】

 

【顔が整いすぎている】

【美幼女すぎる】

【だってサキュバスだぞ?】

 

【ユズちゃん……君のおかげで10年がんばってもできなくて諦めてた俺たちに、俺たちの人生で待ち望んでいた子供ができるよ……ありがとう……】

 

【草】

【重すぎて草】

【だって恋のキューピット&子宝の神だからな】

【女神……いや、本物の女神に失礼すぎる……雌ちょうちょか……】

【ちょうちょを雌と雄で分別した奴初めて見たわここで】

【草】

 

ごぉぉぉぉ。

 

どんっ、どんっ。

 

「んぅ……」

 

僕は目をこしこしして起き上がる。

 

やっぱり1日中楽しかった遠足の次の日みたいに、体がすっごく重い。

 

【ユズちゃんが人間に戻ってる!!】

【サキュバスじゃないのか……】

【さっきの攻撃で魔力使い果たしたっぽいからな】

 

【さりげなく背も縮んでるしおっぱいいいいいいいいいい】

 

【ごめん、なんかフリーズしてたら送信してた】

 

【お前!!】

【こわいよー】

【詠唱はお控えください】

【この空間……少し、怖いです……】

 

【けどやっぱ体、戻ってるな】

【だな】

【ユズちゃん、羽が生えてひらっひらしてるときは高学年~中1くらいになるからな】

 

【縮みすぎてちっぱいがなくなってる……】

 

【↑幼女は嫌いか?】

【↑好きだけど?】

【ならよし】

【草】

 

「ゆず」

 

「あ、女神様」

 

「のーむ」

「ノームさんって言うんですか」

 

ふと見てみたらなぜか首が痛くなりそうなくらいに真上を見ていた理央ちゃんの真横に、黒髪の子が居る。

 

「れっく」

 

「?」

 

「ゆずをはっしんしてる」

 

「よく分かりませんけど、楽しいんですか?」

「たのしい」

「じゃあ良かったですね」

「ん……」

 

眠そうな紅い目の真横にふよふよと漂っているのは配信機材。

 

……なんでこんなところに配信カメラがあるんだろう。

 

あ、そっか、ここがダンジョンだからだ。

ダンジョンなら配信カメラは必須……ならしょうがないよね。

 

女神さん――ノームさんが、無表情に見えるけども目元と口元が嬉しそうだし、手のひらに握りしめてる配信機材の発信器みたいなのも気にしないであげよう。

 

きっとおもしろいおもちゃだって思ってるんだろうし。

 

【ユズちゃんがぽかんとこっちを見てる】

 

【おめめくりくりだね】

【まつげ長いね】

【長い前髪で片目隠れてるけどやっぱかわいいね】

【恥ずかしがり屋さんだからね】

【ぷにぷにのほっぺたがかわいいね】

【小さいお口がかわいいね】

【薄いおめめもかわいいね】

 

【かわいいね】

【かわいいね】

【かわいいね】

【かわいいね】

 

【でもお口は閉じようね】

【頭蓋骨が……閉じていく……】

【草】

 

【このなんにも考えていない顔が好き】

【分かる】

【警戒感が無になっているこの幼さを守護りたい】

【ハムスターとかわんことかタヌキとかみたいなかわいさだね】

【わかる】

【すごくよく分かる】

 

【しかしサキュバスモードのときからはやっぱ幼くなってるな】

 

【そらユズちゃんのノーマルモードですし】

【ちょうちょモードだって?】

【ユズちゃんはどんなときでもちょうちょになれるから……】

【ちょうちょとは……ちょうちょとは一体……】

【考えるな……羽ばたけ】

【草】

【かわいそうに……】

 

「ゆずきちゃん、だいじょうぶ?」

「ゆず、いたくない?」

 

「あ、ひなたちゃんたち」

 

ずっと上を向いたままよだれを垂れ流してる理央ちゃんをそっと押して地面の硬さをおしりで感じつつ座り直すと、ひなたちゃんと巨人の子がのぞき込んでくる。

 

「ふたりとも無事だったんですね。良かったぁ」

 

「あやちゃんが助けてくれたんだよ」

「あやさんが?」

 

彼女の指先をたどると――なんだかよく分からない建築物のずっと上の方、なぜか真っ赤な炎みたいなのが放射状に飛び交う手前に、かすかにあやさんの顔がこっちを見ているのが分かる。

 

なにかをふりふり、こっちに気づいたみたい。

 

僕も、すっごく重いけどがんばって持ち上げた腕をぶんぶんと振ってみる。

 

「あんなところから?」

 

「そう! 魔法でね!」

「魔法ってすごいなぁ」

 

あやさんみたいな魔法職ってなんでもできるもんね。

 

【すごいね】

【うんうん】

【すごいんだね】

【よかったね】

【かわいいね】

 

【おてて】

【ふれて】

【かわいいね】

【よかったね】

 

【草】

【視聴者たちの語彙IQが園児並みになっている】

【なにしろユズちゃんが帰ってきたからね……】

 

 

 

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