ユニコーンに懐かれたのでダンジョン配信します……女装しないと言うこと聞いてくれないので、女装して。   作:あずももも

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566話 【朗報・理央様、過去に爆発四散してた】

「理央ちゃん。お父さんは、11年前の大騒ぎのときに行方不明。僕はそれに怒って、話をしたがらなかった。間違ってない?」

 

「は、はい……それは、そうですけど……」

 

ひとまずは理央ちゃんを見て、事実の確認。

 

理央ちゃんがなぜか妙なとまどい方をしているけども、ひとまずは記憶の齟齬がないかを確認できた。

 

……実はあの玉の中で過去に行っちゃったとき、「これ、過去改変ってやつじゃないのかな」ってずっと心配だったんだ。

 

「でも、お父さんは死んでたんだ。魔王さんに――力の差と状況的に必要だったけど、でも、死んじゃったんだ」

 

「えっ」

「で、でも、ゆずきちゃん……」

 

【悲報・シリアス】

【そんな、ばかな……】

【復帰したてのユズちゃんが……】

【なんか賢いしなんか大人びてるし……】

【え、じゃああの「先生」なTSっ子は一体……?】

 

「地球に繋がった、魔界。そこから溢れてきた魔力の圧力で、一瞬で崩壊した町並み――僕たちが住んでた町が、押しつぶされたんだ。そこへモンスターたちが襲来し、運良く生き残った人たちも――みんな、食べられた。理央ちゃんも……そのどちらかで、居なくなっちゃってた」

 

「え゛っ」

 

「りおちゃん、しんじゃってたの?」

 

【草】

【草】

【理央様! 声! 声!】

【そらそうよ……】

【悲報・理央様、死んでた】

【なんてことだ、俺たちの知る理央様は幽体だったのか】

 

僕は、上を見上げる。

 

さっきからずっと、おっきなドラゴンさんから放たれているブレスが何かの力ではねのけられている空を。

 

「でも、お父さんは――すでに瀕死のケガをしちゃったお母さんと、そのときはまだ本当に子供だった僕を守って、1人で戦っていた。だって、勇者だから。かっこいい剣――聖剣を手に、戦い抜いた。でも、片手を奪われるほどに消耗していたところへ……あの魔王さんが、目をつけた」

 

【勇者?】

【ユズねぇが……】

【え、でも、ユズちゃんもユズねぇもそんな話一言も】

【だからさっき言ってたろ  記憶操作だって】

【あー】

【爆発四散した理央様も含めてユズちゃんたちが無事ってことは……】

 

あのときのお父さんは、かっこよかった。

 

……だから反抗期植えつけられたのかな。

 

だってあんなお父さんのこと思い出したら、ぜったい僕――どんなことをしてでもダンジョンに潜ってレベルを上げて強くなって、お父さんを取り返そうとしただろうから。

 

「魔王さんは――ああ、その魔王さんは今の前の代の人。メイドさんたちは『先代』さんって言ってたね――次の代の魔王さんを、どうやってか生み出そうとしてた。それに必要なのが、たぶん、すごい魂。勇者としての資質を備えた上質な――しかもそれに目覚めた。……そこへ探し当てたのが平和な世界では普通の先生として生きてたはずの、けれどもモンスターと戦って勇者に目覚めたお父さん。だから魔王さんは力づくじゃなく、お父さんと取引をしたんだ」

 

僕は、あの場面を思い出す。

 

崩壊した町並み。

平らになった町。

 

そこには、お父さんとお母さんと幼い僕と――1人佇んでいた、魔王さん。

 

「……ゆずきちゃん。取引って?」

 

「うん。お母さんと僕と――対価としてのお父さんの魂と釣り合うんなら、死んじゃったりした町の人たちと町そのものを、『そうならなかった』ようにしてほしい。……お父さんの、静かだけども男らしい啖呵に心打たれた魔王さんはそれを受けてくれて――お母さんのケガを治して僕の記憶を変えて、僕たちの町が『奇跡的に無傷だった』ことにしたんだ――お父さんが居ない、ただそれだけの間違いだけを残して」

 

「だから柚希先輩……ずっとお父さんのことを……」

「うん。ずっと悪いことばっかり言っちゃってたね」

 

【なぁ……】

 

【ああ……】

 

【ユズちゃんの、今言ってることって……】

 

【妄想とか夢とかおままごとでのお話……じゃないよな……】

 

【草】

【さすがにひでぇ】

【だって……】

【にわかには信じがたいが……なにしろサキュバスだしなぁ】

 

【聖女ユズ様――いえ、ユズちゃんの言ってることは、真実です】

 

【あの日、私たちの前に  学校の校庭に、聖女の格好をしたサキュバスとして降り立ったんです】

 

【私たち教師陣や学校関係者は、命を救われた上にモンスターへの戦い方を教わって、だからこそ恩義を忘れずに――「ユズちゃんのダンジョン攻略配信」が始まっても、さまざまな……本当にさまざまな誤解があっても、沈黙を貫き通しました】

 

【それが恩返しではなく、恩を仇で返さないための当然の礼儀として】

 

【マジか……】

【何人も一斉に言ってるってことはマジなんだろうなぁ】

 

【こんなに論理だった長文をおしゃべりしているんだ……羽ばたいてるんじゃなきゃ、ときどきなってるクレバーなユズちゃんの言ってることも、ユズパパの知り合い?の人たちの言うことも、嘘じゃないんだろう】

 

【草】

【羽ばたいてる可能性は常に存在するからね……】

【信じてあげたいのに、普段がねぇ……】

 

【てか待って? 今その人たち「聖女にしてサキュバス」とか1行で矛盾するワードしゃべってなかった??】

 

【ユズちゃんだぞ?】

 

【ごめんなさい】

【草】

 

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