ユニコーンに懐かれたのでダンジョン配信します……女装しないと言うこと聞いてくれないので、女装して。   作:あずももも

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567話 よく分からないけど、お父さんが生きているらしい  女の子になって

「――そんなわけで、お父さんは悪くなかった。むしろお母さんと僕を――理央ちゃんや理央ちゃんのお父さんとお母さん、近所のみんなも助けてくれてた。助けてくれて、死んじゃってたんだ」

 

僕の言葉を飲み込めない様子のみんな。

 

……当然だよね。

 

だって僕のお父さんが勇者で、魔王さんの中に取り込まれることでみんなを守ってくれただなんて。

 

「でも、事実なんだ。僕はその光景を見てきたんだ。……お父さんが、あんなにかっこいい最期を――」

 

「あ、あのぅ……柚希先輩……?」

 

おずおずと片手を挙げている理央ちゃん。

 

「うん。僕が反抗期になって理央ちゃんにも――今思えばひどいけど、手を合わせないでって頼んでたお父さんの眠ってる仏壇にも、帰ったら手を」

 

「ゆずきちゃんのお父さん、生きてるよ?」

 

ひなたちゃんが――きょとんとした顔で、僕を見てきている。

 

「………………………………?」

 

【草】

【ようやく本題に戻ってきたぞ】

【長かったな……】

【ああ……】

 

【なにしろ画面の上で見切れてる、すっごく上からのブレス  ちょうど5発目が飛来してるっぽいからな】

 

【あっ】

【草】

【あー、ときどき画面が青くなってたのはあれか、ブレスの赤が息継ぎ?で途切れるからか】

【草】

【うん  その迎撃してるのがね、ユズちゃんのね……】

 

お父さんが――――――生きている。

 

いや、そんなことは。

 

……でも、ひなたちゃんは冗談とか嘘を言ったりする子じゃない。

言うことは基本的に事実か、これから事実にすることだけだ。

 

けども……そうか!

 

「うん……ありがと、ひなたちゃん」

 

「え?」

 

僕は、そっと胸に手を当てて目をつぶり、ほとんど思い出せなかったけどもさっき見たから思い出せるお父さんの顔を浮かべる。

 

「……お父さんは、みんなの心の中に――――――」

 

「そういうのじゃないのゆずきちゃん」

 

【草】

【草】

【あ、画面の隅っこで教官ちゃんが】

【笑いこらえてて草】

【かわいい】

【事情知ってたらね……】

【ユズちゃんがシリアス全開だからこそ、余計にね……】

 

【理央様は?】

【ぽけーっとしてる】

【何もかもが分からないって顔してる】

【草】

【理央様はそのままで居てね  邪魔しないでね】

 

【過去にまで跳んでたとかいうとんでもないユズちゃんの冒険譚を聞くとギャグ過ぎて笑っちゃうけど……】

 

【うん……】

【こっちでは、ね……】

【ユズねぇがさんざん暴れてくれた原因がね……】

【あ、そういやそうだったわ草】

【その事実が明らかになる前までは酒飲んでただけだからなぁ、魔王城の酒を好き勝手に】

【それはそれで草】

【あのハーフサキュバスめ……もっと娘を見習え……】

 

「ゆずきちゃん。落ちついて聞いて?」

「え、でも」

 

ひなたちゃんが真面目な顔をして変なことを言おうとしている気がする。

 

「ゆずきちゃんのお父さんはね、魔王さん――ゆずきちゃんの話からすると新しい魔王ちゃんなの。見た目の歳はゆずきちゃんや理央ちゃんたちくらいの女の子で、かっこいい話し方するけど、たぶんゆずきちゃんが見てきた過去の直後に生まれたから11歳くらいで。でね、その魔王ちゃん、生まれるときに先代魔王さんとゆずきちゃんのお父さんの魂を使って?生まれてきたの。だからゆずきちゃんのお母さんがとんでもなく怒ってたの。ウワキだーって。よりにもよってお邪魔してるお城の王様に向かって変なことばっかり言ってて――いろいろあって魔王ちゃんは怖がってどこかに引きこもっちゃって、代わりにゆずきちゃんのお父さんが起きて……だから今の魔王ちゃんは、魔王ちゃんの体にゆずきちゃんのお父さんが入ってる状態……憑依してる感じ?でね、だからゆずきちゃんのお母さんが大満足してるの」

 

「………………………………」

「………………………………」

 

「………………………………………………………………」

「………………………………………………………………」

 

【………………………………】

【………………………………】

 

【ごくり……】

【なにこの緊張感】

【しっ……ゆずきちゃんが動きそうだぞ……!】

 

「?」

 

僕は、リリスモードの頭で急いで解析をしようとして――失敗した。

 

「……そんなことあるわけ――」

 

「ゆずきちゃんがサキュバスさんだったりミラーボールの中に遊びに行っちゃったりするのよりは、ずっと信じやすいと思うよ?」

 

「ミラーボール」

「うん、あれ」

 

ひなたちゃんの指す先。

 

それは、上空でくるくると光ながら回転している、とんでもなく大きな球。

 

「あれ、ゆずきちゃんがやっちゃったんだよ」

「え、僕それ知らない」

 

「やっちゃったの」

「え、でも」

 

「もくげきしょうげんがいっぱいあるよ」

「え、いやいやそんなこと――――――」

 

「――――――ゆずきちゃん」

 

「はい」

 

僕は姿勢を正した。

 

……今、一瞬だけ、ひなたちゃんからぞくっとする何かを感じたんだ。

 

【!?】

【!?】

【おろろろろろろ】

【これが幼女の圧力……】

【「日向家」の、な】

【あのユズちゃんすら真顔になるレベルなのか……】

 

「……え。てことは……」

 

「うん。だからね、ゆずきちゃん」

 

一転、いつもの笑顔を見せた彼女が……そっと僕の手を取る。

 

「今、けっこう忙しそうだけど。『義父さん』のとこ、行こ?」

 

「はい……」

 

……また、本当に一瞬だけど――なぜか僕は背筋がぞくぞくっとした。

 

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