ユニコーンに懐かれたのでダンジョン配信します……女装しないと言うこと聞いてくれないので、女装して。 作:あずももも
「お母さん」
「柚希!」
「僕、家、出てくから」
「待って、違うの!」
「もう家には帰らない。勝手に住んでて」
「ひどいわ、ゆず!」
「ひどいのはどっちさ、お母さん」
決めた。
僕はもう、ダンジョンが生えちゃったお家には帰らない。
とっくに健康になってるお母さんなんか、知るもんか。
お父さんと2人で仲良く暮らせば良いんだ。
「理央ちゃんたちと住んでるとこにも、もう入れてなんかやんない」
「ゆず!!」
「うるさい」
こういうときのお母さんは、しつこい。
だから徹底的に目を合わせないで拒否しないといけないんだ。
あと……単純にむかむかしてるのもあるから、そうしないと大声出しちゃいそうだから。
【悲報・ユズちゃん、ガチギレ】
【しゃあない】
【マジで怒ってるなユズちゃん】
【ここまでのは初めてだな】
【だいたい何があってもぼんやりしてるユズちゃんが、本気で……】
【とりあえずユズねぇが悪いから……】
【TSユズパパ feat. 魔王ちゃんは?】
【10年ぶりの再会で感極まったとこで2人きりになれて捕食を始めたユズねぇが悪いに決まってない?】
【それはそう】
【さっきも、ロリユズパパは真面目に指揮とかしてたもんなぁ】
【なのにユズねぇと来たら、さっきもずっと好き勝手しおってからに】
【ユズねぇ……お前……】
「えっと……柚希さん、それはさすがに……」
「気持ちは分からないでもありませんね……」
「ひなた、分かった。これが反抗期の気持ちなんだね」
【草】
【草】
【悲報・ひなた様、反抗期に目覚める】
【あーあ】
【巻き添えで草】
【ユズねぇ! ここで誤解なら解いておかないと帰ってから日向家から詰められるぞユズねぇ!】
【サキュバス相手でも地の果てまで追い詰めそう】
【こわいよー】
【あやちゃんも優ちゃんも真顔で草】
【突入までは赤くなってた顔が「スンッ……」ってなってて草】
【そらそうよ……】
【大学生でもまだ気持ちは子供だろうし、これは効くわなぁ】
【大学生でも……いや、大学生だからこそ思うところは大きそうだし】
【人にもよるけど、まぁ、気まずいよねぇ】
【自分の親のことを想像しちゃうとね……】
「そこ、どいて。帰る」
「……仕方、ありません……分かりました」
――――――すっ。
理央ちゃんが抑えていたドアを、あやさんと優さんが、そっと開けようとしてくれる。
「ありがとうございます」
「あやちゃん!?」
「さすがに今回は柚希さんの味方をします」
「優ちゃん!? 引き止めて!」
「ゆずぅ!!!!」
「けっ」
僕は、悪態をついた。
「ああ、柚希先輩が人生で何回しか見せたことのない顔に……」
【草】
【ユズちゃんがやさぐれている】
【そらそうよ……】
【おお、もう……】
【これは全世界が応援する反抗期】
【ユズちゃんにそんなのは訪れないと思っていたが、まさかこんな流れでだとはな……】
【まぁ女の子だし、年頃になればいずれは来るから……少なくともお父さん相手に対しては、女の子の本能として……】
【 】
【 】
【 】
【 】
【「お父さん、臭ーい」】
【(「おい」とか声をかけて)「邪魔」】
【「汚いんだけど」】
【「どっか行ってくんない?」】
【「友達来るから夜まで帰ってくんな え? 男かどうか? 関係ないでしょ」】
【(完全無視)】
【(服を別に洗うように仕向ける)】
【(目も合わせない)】
【(一緒に食べない)】
【(居ないものとして扱う)】
【あああああああ】
【あああああああ】
【俺は……なんのために働いて……】
【妻と一緒に俺のことをゴミ扱いして……】
【う゛っ(不整脈】
【草】
【かわいそすぎて草】
【あーあ】
【流れ弾が全世界のお父さんたちに!】
【子供の性格次第ではそこまでいかない……とはいえ、反抗期になってみるまではどこまで辛辣になるか分からないという恐怖】
【反抗期は親子のいざこざな理由もあるけど、それ以上に本能的なものだからなぁ……】
【男子は母親に、そして女子は父親に ユズちゃんは……まぁ女子が母親に反抗するのもよくあることか……】
【え? 俺のマイエンジェルがそんなこと言うの?】
【ああ……今から備えておけ……】
【大学生~結婚の時期になって楽になるから……】
【ならない俺の娘はどうしたら?】
【お悔やみを申し上げます】
【草】
「……柚希」
「なに」
ぽつり。
ぎぃ、と扉が開く音を聞きながら、おなかがぎゅむんって嫌な感じになってる僕は応える。
お父さんなんか、もう知らない。
「少しで良いからリリスモードとやらになれ――と、魔王としての記憶が言っている。頼む、一瞬で良いんだ」
そう、思ったけど。
「………………………………」
ちょっとおまんじゅうをぎゅっとしながら、目を閉じて感覚を切り替える。
「………………………………………………………………」
理央ちゃんがお母さんと結託して好き勝手してるときに起きるのと似てる苛立ちが、緩和されていく。
「……お母さん」
「ゆず!」
「………………………………はぁ――――――……」
【草】
【草】
【すっごいため息で草】
【たぶん怒りをすっごく我慢してるんだろうなぁってため息】
【ああ、ユズちゃんって優しいから……】
【メイドちゃんたちが聖女って勘違いするレベルでの優しさがあるから……】
【理央様】
【だよな!】
【草】
【固有名詞でやらかしが分かる安心安定の理央様よ……】