ユニコーンに懐かれたのでダンジョン配信します……女装しないと言うこと聞いてくれないので、女装して。   作:あずももも

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582話 魔王さんはすごい人らしい

「――移動時間という打って付けのこの時間でご説明します、姫様。転移してきましたこちらは……この地は、最大級の勢力を誇る『征服型魔王』の支配領域――中でも本拠地の1つと推定されております」

 

「征服型……?」

 

たったったったっ。

ざっざっざっざっ。

 

ダンジョンの中を急ぐ音が、こだまする。

 

「覇王、帝王――皇帝といった呼び名もございます。自ら名乗る場合も、周囲がそう呼ぶ場合もございます」

 

【魔王にも種類があるのか】

【なるほど】

【まぁ魔王というにはあまりにも人間びいきな魔王ちゃん様だしな】

 

【あー、そういや地球に宣戦布告してきたのも、なぜかユズちゃんがかわいそうな目に遭ってるって妄想をユズちゃんから抱かされたせいだったもんなぁ】

 

【草】

【草】

【ちょうちょ語は難しいからね……】

【俺たちですら分かんないからね!】

 

【11年ぶりに会ったユズパパが1番理解できるとかいうな】

 

【さすがはユズパパだな!】

【今はTSしてかわいいしな!】

【ユズパパ……しゅき……】

 

足音と装備の音が響くダンジョン――魔王城の目の前にある入り口から降り始めてもう10層目くらいのところを、僕たちは降りていく。

 

とても速い。

すごく速い。

 

かちゃん、かちゃん。

 

ノームさんが返してくれた配信機材――その発信装置のリングが、おまんじゅうのツノの根元で跳ねている。

 

「     」

 

そんなおまんじゅうは気絶している。

 

僕たちを優しく、でもしっかりと抱き上げてくれている人に嬉しくなったせいで。

 

おまんじゅうの、ばか。

 

「王は王でも、その方針は千差万別――人間様に置かれましても、領地の特性や王の目的次第で現状維持を目的とするものから、領地拡大や同盟関係を通じての勢力拡大、そして遙か先までとめどなくその覇を唱えようとするもの――多種多様でございましょう?」

 

「あ、なるほど。歴史の授業でやりました。仲良くしたり一緒になったり、勝ったり負けたり……僕たちの世界でも、文字ができる前から続いてるって」

 

「流石は姫様でございます」

「一応僕、高校生なんですけど……」

 

【かしこい】

【かしこい】

【さすユズ】

【かしこいねぇ】

【でも高校生は無理かなぁ】

【草】

 

【※ユズちゃん、お勉強はかなりできる部類だそうです】

【※さすがに周囲の証言まで否定するのは……】

 

【ごめんなさい】

【草】

【だって……なぁ……?】

【普段のちょうちょっぷりが悪いの!! ばか!!】

 

「力こそ正義――魔力と支配下の魔族と魔物に世界の数こそが正義であり、さらには出自の種族による差が激しく。無数にございます世界という広大すぎるフィールドで何十万年と繰り広げられているバトルロイヤルでございますね。加えてなんとびっくり、魔力を得るほどに力も寿命も延びていくのが魔族でございますので、強きは強く、敗者は弱くと指数関数的に差が開いて行きまして――自然、すさまじいピラミッドが形成されるのです」

 

「え、ピラミッドってそっちにもあるんですか?」

 

「ええと、地球の人間様からの資料によりますと、あれは何処かの種族による星間文明からの――大変失礼しました、お忘れくださいませ。ええ、そちらの人間様たちは地球天然素材でございます」

 

「?」

 

天然素材?

 

人間が?

なんで?

 

【       】

【       】

【       】

 

【悲報・地球人類の起源】

 

【おろろろろろ】

【こんなところで知りとうなかった……】

【え? 俺たち、実は宇宙人?】

【異世界人かもしれないな……】

【ユズちゃんがよく分かってないのだけが救いだね……】

 

【そうだ、俺たちもちょうちょになろう  そうすれば、現世の苦しみなど】

【そうか、これが解脱……涅槃へたどり着くのが、地球人類の修行……おおブッダよ、今、私はそちらへ……】

【帰ってこい  いや、帰らない方が良いのか……?】

【草】

 

「ユズ姫様――そうです、この呼び名が最もふさわしいのです――の属される世界ですら、たかだか100年程度安定しているだけ。情勢を聞き及びますに、ダンジョン出現以前は小競り合いも多数。ただの戦間期でございますね。いずれはこう、派手な兵器――あるいは魔法でばんばんとやり合うはずでございます」

 

「……世界って、思ったより怖いんですね」

「大丈夫でございます、姫様」

 

階段を1階降りただけでへばった僕を抱っこしてくれているメイドさん――最初に連れ去られたときの人が、最初に連れ去られたときと同じように抱きかかえてくれている。

 

だから、僕たちがみんなの先頭をつっばしっているんだ。

 

………………………………。

 

……なんで?

 

【かわいい】

【かわいい】

【ぽかんとしてるユズちゃんがほんとにかわいい】

【娘にしたいレベルでかわいい】

 

【※ユズねぇ】

 

【草】

【ユズねぇがついてくるんじゃダメだな……見守るしかないか】

【悲しいなぁ】

【かわいいけどお口は閉じようねユズちゃん】

【この幼女なほっぺがたまらんのよ】

 

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