ユニコーンに懐かれたのでダンジョン配信します……女装しないと言うこと聞いてくれないので、女装して。   作:あずももも

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585話 かっこいいみんなと、守られている僕

「……これは確かに、数は多いですけど……はぁっ!」

 

どんっ。

 

理央ちゃんの拳が、突撃してきたサイさんをどごんっと突き上げる。

 

「ゆずきちゃんが1人で、モンスターの子たち連れて戦ってたのとおんなじくらいかなぁ? ……えいっ! ほら、ひなたでも対応できるくらいだし?」

 

ばんっ。

 

飛んできたサイさんを、ひなたちゃんの大剣が思いっ切り、平べったいとこでべちんっと叩きつけて地面へ。

 

「ですからこそ、私たちが前に出ても問題ない……レベルもそこまでではないようです――――ねっ!」

 

ひゅぱっ。

 

優さんのかっこいい剣筋が、完全にスタンしていたサイさんをなぎ払って――しゅばんっと倒し、魔石に仕立て上げる。

 

「………………………………」

 

理央ちゃんは、腰を落として素早く走り回ってヒット&アウェイ。

 

持ち前の俊敏な動きで、あちこちのパーティーとのあいだをうろちょろしている。

そのおかげで突発的に足りなくなったりする戦線の穴を補ったり、他の人たちと協力して強そうなモンスターを倒したりしている。

 

ひなたちゃんはあんなにちっちゃいのに、太くてでっかい剣を軽々と振り回して、敵への重い一撃と同時に、突進してきた大きな敵から僕たちをガードするお仕事をしている。

 

……そして、優さん。

 

勇者みたいなかっこいい鎧にかっこいい剣、かっこいい動き方で、ときに突撃して、ときに戻ってきて――このかっこよさ。

 

戦場の主役。

 

王子様。

勇者。

 

男の、憧れ。

 

「………………………………」

 

僕、優さんみたいな戦いがしたかったなぁ……背の高さも筋力も勇気も、なにもかも足りないけどさ。

それどころか、こんなところまで来てもまだメイドさんに抱っこされてるし。

 

「……けっ」

 

【草】

【ユズちゃんがご機嫌ナナメなままだぞ!】

【なぁんでぇ……?】

【わからん……】

【分かるやつがいたら本物の幼女かちょうちょだぞ】

 

地上に降りてきた僕たちは、しばらく七稜郭の土塁の中で待機してた。

 

……けども、空ではエリーさんたちやおやびんさんたちにユニコーンさんたちによる航空戦で、僕たちの真上は安全になっていて。

 

地上はっていうと、

 

――――――――どぉんっ。

 

また復活してるらしい湧きポイントからわらわらと湧き出してはこっちへ突撃してくるモンスターたちの集団に、大きな魔法の球が着弾。

 

「……あやさん、すごくないです? いいなー、私、拳しかないもん」

 

「聞けば、魔王が使うと言います、魔王城防衛用の特殊な魔法の杖だとか……使いこなせる時点で才能はあったと……」

「あと、メイドさんたちがあやちゃんに魔力あげてるんだもんね。それでも、それができるくらいすごいらしいもんね!」

 

炎、氷、雷、土――この数回だけで、これだ。

 

毎回魔法の属性が変わってるけど、あれはあやさん自身の適性なんだろうか。

それともメイドさんたちや杖のおかげなんだろうか。

 

……派手で羨ましいね。

 

僕はなんにもできないのに。

 

「けっ」

 

【草】

【ユズちゃんが】

【ほっとけ、子供の癇癪だろ】

【その原因がなにひとつ分からないんだよなぁ……】

【乙女心と子供心は秋の空だからな!】

【ちょうちょのように次の行動が予測できない……それがちょうちょだ】

 

「しかしあれはさしずめ、魔法砲台ですか……私たちが映像で観ていました、柚希さんがユニコーンと一緒にしていたものを、集団戦用に使用している形ですね。彼女も、レベルが上がればいずれはあれほどの……柚希さん、機嫌を直してください。柚希さんはもう、充分に戦ったじゃないですか」

 

モンスターさんたちが空中を舞い、魔石になっていくのを眺めながら、優さんが振り返ってくる。

 

【?】

【どゆこと?】

 

【もしかして:みんなが活躍してるのに自分は動けないからいじけてる】

 

【あー】

【あー】

【草】

 

【ユズちゃん?? もう充分暴れ回ったでしょ??】

【お姫様だからな  常に自分が1番じゃないと気が済まないんだよ】

【お姫様になったとたんにわがままになりおって  でもかわいいから許される】

【それな】

【かわいいは正義  この配信で証明されているからな!】

 

「………………………………」

 

……気づかいまでできる、完璧な優さん。

 

本当に、勇者みたい。

 

「姫様? 賞賛は素直に受け取るのが王たる器というものでございますよ?」

 

「お姫様じゃないもん」

 

僕はお姫様扱いなのにね。

 

「姫様は姫様では?」

「お姫様じゃないもん」

 

「ぎゅっ」

「ぴっ」

 

おまんじゅうを抱きしめながら、上からのぞき込んでくるメイドさんからも、さっきからずっと最前線で捌いて肩で息をしている優さんからも、目を逸らす。

 

「きゅきゅきゅきゅきゅぎゅひぃ」

 

「あ、あの、姫様? さすがにそろそろ……ユニコーン様が潰れてしまわれますよ……?」

「ぴ」

 

……お姫様じゃないもん。

 

本当だもん。

 

なるなら……王子様?だもん。

 

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