ユニコーンに懐かれたのでダンジョン配信します……女装しないと言うこと聞いてくれないので、女装して。 作:あずももも
「もしもし、メイド部隊へ。ユズ様への甘味など、至急に届けられるでしょうか」
「要らない」
「まあまあそうおっしゃらずに、姫様」
「姫様じゃないもん」
「もしもし? ジュースなども届けてくださいませ」
「けっ」
僕は男だもん。
だから理央ちゃんやお母さんみたいに、怒ってるときに甘いものあげてごきげん取りするようなことはできないんだもん。
【草】
【草】
【ユズちゃん、完全におへそ曲げてて草】
【なぁんでぇ……?】
【もしかして:おねむ それもわりとかなりすっごく】
【あー】
【あー】
【おめめはぱっちりだけど……いや、ぷいってしてるからわからないか……ごきげんななめでもクッソ可愛いなこのちょうちょ】
【草】
【かわいいってマジで正義ね】
【ほんそれ】
【まぁ子供って眠くなるとすーぐぐずるからなぁ】
【それだったか】
【そういやユズちゃん、眠いときと魔力不足のときは癇癪起こすんだったか】
【あー、優ちゃんのときのはすさまじかったなぁ】
【意味わからん怒り方してたの思い出したわ草】
【あれに比べたら相当マシか】
【そらこれまで何回も魔力切れとかおねむとか経験してきたし】
【ああ、こんな幼女でも立派に成長して……】
【草】
「――『友愛』様? ご準備の方が整い次第、視聴者の皆様へもご説明をお願い致します」
【あ】
【そういやそうだった】
【ユズちゃんに構ってばっかだと話が進まないからな!】
【それなぁ】
【ユズちゃんの空想上のお友達だったはずの『ゆーあい』ちゃんが、ついに産声を!】
【草】
【草】
【メイドちゃんが適当に呼んだ妖精とかじゃなくて?】
【吸血鬼の魔王が頭を張るファンタジーな異世界ならそれくらい居るだろうなぁ】
【あー】
【了解しました】
【:】
「……?」
UIさんが、メイドさんに頼まれてなにかを?
………………………………。
おいしいものの映像とか見せられたとしても、それで機嫌なんか直るもんか。
【――――『ワールドワイドウェブ』へ接続完了しました】
【女神より自我を与えられし電子の存在、ユズの守護霊的な何か『UI』と申します】
【皆様におかれましてはごきげん麗しゅう】
【:】
【語彙の選択は問題ないでしょうか?】
【!?】
【ふぁっ!?】
【!?!?】
【あの なんか明らかに違うフォントの文字が、投げ銭でもないのにトップで固定で……】
【え? え?】
【問題ないようですので話を進めます】
【作戦開始まで60秒のため、簡潔にお伝えします】
【次のフェーズ――第1フェーズでは、地球換算で:::レベル5~20のモンスターが5万匹出現します】
「?」
第1フェーズ?
じゃあ、今までのはまだ始まってなかったの?
理央ちゃんたちががんばって戦ってたのに?
【!?】
【あばばばばば】
【5万て】
【意外と弱いと思ったけど考えたら数がやべー】
【しかも大部屋っつーか地上だもんなぁ】
【もうだめだ……】
【あ、でも、中に立てこもれば】
【でも、女神ちゃんはそれを撃退しろって……】
【いやいや無理だろ ユズちゃんとこ着いてった理央様を始めとする人たちでも100人程度、ユズちゃんのわんにゃんやエリーちゃんたちを含めても数百人 それで5万はさすがに】
【皆様にお知らせします】
【――マスター・ユズは、『テイマー』です】
「!」
あ、僕のこと、ちゃんと言ってくれてる!
「姫様、急にうれしそうな顔をされないでください理性が破壊されます」
「メイドさんっ! 今! 今UIさんが僕のこと、テイマーって!」
「 」
ちゃんと見てもらうために急かすけど、なぜか真っ赤な顔のメイドさん。
そんなことより、ちゃんとUIさんの言うことを見てね。
ノームさんがくれたUIさんだから、僕のこと、ちゃんと分かってるんだからって。
「わはっ、わはっ」
「ぴ≫み゛」
【草】
【草】
【かわいい】
【かわいいけど今は落ち着こうね】
【メイドちゃんが壊れ……てるけど、もっとダメになっちゃうからね】
【喉の奥から絞り出すような鳴き声……効果は致命傷か……】
【そらそうよ……】
【10年来の幼なじみの理央様ですら耐性ができないんだ 誰にも耐えられない……子供が10人欲しくなったな……】
【草】
【テイマースキルの上限は、女神により解除されています】
【これまでの経験値を再計算し、レベルアップをしますと】
【:】
【魔力の豊富な、この戦場限定ではありますが】
【『場所を問わず』『無限に』『全ての存在を』転移召喚が可能です】
【?】
【?】
【??】
【んにゃぴ?】
「?」
UIさんって、言うこと難しいよね……?
「――――こほん。友愛様? もっと簡単に表現すればいいのでございます」
メイドさんが――一緒にぴこぴこを読んでいた彼女が、なぜか鼻血を流しながら言う。
「『視聴者のどなた』でも、即座にこの戦場へ参加可能ですと。――超巨大ダンジョンのボスフロアで、ご自身のレベルに応じたフェーズで、この戦いへ参加可能ですと」
「そうなんですか?」
「そうでございます」
「ほへー……」
「 」
ぷしっ。
メイドさんの鼻血が、絶妙に僕を飛び越えて放物線を描いていった。
あ、いつも理央ちゃんがやってるやつだ。
……もしかしてこのメイドさん、理央ちゃんと似てる?
理央ちゃんをもっとずっとまともな子にして、けどなぜか感情が昂ぶりやすいって感じのさ。