ユニコーンに懐かれたのでダンジョン配信します……女装しないと言うこと聞いてくれないので、女装して。 作:あずももも
――――――渦が、七稜郭的なよく分からない立体構造物を中心とした半径1キロ、その外周部へ張り出した黄色い防護壁の内側へ出現する。
その数、2万。
柚希が生命の危機を覚え、産声を上げた瞬間にテイムされ転移された人々。
その陣容は様々で。
「到着したか」
「各員、状況報告せよ」
「言語は……そうか、女神の翻訳魔法が効いている。ならば近くに居る者と所属を確認し合い……さすがに衛星リンクは不可能か」
「配信の通りに乗っていた車両ごと転移されるのか」
「助かる」
「弾薬はたんまりとある……モンスター共を腹いっぱいにしてやれ!」
目立つのは、国家や組織により多少の違いはあれども迷彩服を着込み、腕章を着けた軍人たち。
そこここに目立つ車両には国連のシンボルも添えてあることから、どうやら彼らは事前に準備し待機していたと見える。
ここへ来て、戦場は一気に多国籍軍へと様相を変えていた。
「しかし、まさかだな」
「ああ」
「当初は『魔王・ユズの討伐』という名目で出航させられ、次に『淫魔の王・ユズの討伐』と変わったと思いきや『出海道の……なんだか良く分からないが地獄のような状況を調査せよ』となり、最後には『聖女ユズ』からの『魔王の娘ユズの保護』とかな」
「頭が……痛い……」
「無理をするな 今作戦においてはメンタルへの影響を考え、作戦中でも喫煙も飲酒も精神薬も許可されている」
「助かる……」
「飲まなきゃやってられるか……なんだよこれ……」
「しかもそのユズという小娘が、よりにもよってあの邪悪な存在のせいで交代する予定だった我々を……とはな」
「なんなの? なんであの性犯罪者、逮捕されていないの? 合衆国なら問答無用で懲役20年は行けるのに」
「だから性に奔放だなんて言われるんだよ、あの国は」
【ま、まぁ……ほら、見なよ 黄色い線の内側に並ぶように、喚ばれた人たちが現れてるし……】
【あの 軍人さんたちの声……】
【もしかして:理央様、超有名】
【超どころじゃななくね……?】
【理央様……どうして……】
【結構な人がキレ散らかしてて草】
【そらそうよ……】
【いくら幼なじみと言えど、あれはなぁ……】
【どうしてもなにも、ひなた様がこんこんと説いてくれたとおりだぞ】
【やはりロリ……時代は賢いロリだ……】
【でも、せめて凶行の前に止めてくれてたらって】
【理央様の勢い見てたろ? あのユズちゃんの声とか反応だろ? 無理では?】
【それはそう】
「散開し、敵襲に備えよ! 事前のシミュレーション通り、魔界と化したエリアでの防衛戦と同じ要領だ!」
「しかしこの防壁……純粋な魔力だろう? ……触っても、こちらを害してこない……綺麗だ……」
転移してきた時点でヘルメットからゴーグルを装着した彼らは、多少の動揺はあれど的確に部隊を再編成し、即席の軍隊を作り上げていく。
その数――17000。
彼らは出海道動乱の際出撃させられ、それから何週間も理不尽な展開を強制的に待機状態で見続けさせられ、その元凶である『RIO』という人物を激しく憎むという目的で最高のパフォーマンスを維持しているようだ。
そして残りの3000は一般のダンジョン潜りと見え、装備も職業も、年齢も性別も様々。
……ただ、彼らはダンジョンに潜るとは言っても一般人で。
つまりは長時間耐久配信だろうと、必要なら手洗いにも入浴にも行くし、普通に買い出しに出たり料理をしたりする。
軍隊なら作戦行動中は生理的な欲求も抑えられるが、民間ではそうはいかない。
さらに言えば仕事や学校も――出海道に近いエリアを除けば地域によっては普通にあるし、柚希のテイムしたモンスターが国道じゅうを練り歩いた百鬼夜行のあとにはダンジョンに潜ったりもする。
――つまり彼らは、軍人とは違って日常生活を送っていた。
だから――――――悲惨な状態で転送された者も、何割にも上り。
【あ、急いで服着てる最中のやつみっけ】
【あ……トイレの中で諦めて祈りを捧げるポーズのやつも……でもゆーあいちゃんの情けなのか、全配信から下半身がモザイクに……】
【てか便器まで……あ、トイペまで空中に鎮座してくれてる】
【手洗い場までちゃんと……完璧な配慮だ……】
【草】
【草】
【近くに居た軍人さんたち「Oh…」】
【軍人さんたち、武人の情けとして見なかったことにしてあげてる】
【草】
【笑っちゃダメだけどほんとかわいそう】
【理央様!!!!】
【全部の文句は理央様が受けるべき】
【ユズちゃんはね、怖かったからね】
【そうだよ】
【ユズちゃんは理央様を倒してもらうために彼らを召喚したんだよ?】
【草】