ユニコーンに懐かれたのでダンジョン配信します……女装しないと言うこと聞いてくれないので、女装して。   作:あずももも

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602話 2万と少し VS. 300万の第2フェーズ

17000の兵士、3000の民間人による即席の「柚希防衛部隊」は、みるみるうちに――半径1キロの外周を守るには不十分だが、それでも数十から100名規模の部隊を編成し、迫り来るであろう魔王軍への防衛線を構築していく。

 

――柚希がパニックのあまりに急いで召喚したため、いまだ沈黙を守りトイレットペーパーをからからと回したり、もういっそのこととしてのんびりシャワーを浴びたりしている音が響くそこここへは、同情のために意図的に外された視線により空白が生まれてもいるが。

 

【お、召喚された人たちの会話聞いてると、このモザイク、現地の人からもモザイクで普通に見えてないっぽい】

 

【あ、女の子もお風呂に入ってたのが転送されてるっぽいけど、完全に白黒モザイクで完全防備だわ  見えないからわからないけど配信名で判明してるとか】

 

【草】

【あー、配信で分かっちゃうかぁ】

【その子のパーティーメンバーとかの近くにモザイク空間ごと転移されてるからね……】

【かわいそう】

【カメラさんもモザイク空間の外で所在なさげに浮かんでるし】

【カメラさんが中にないだけめっちゃ慈悲深い】

 

【尊厳は守られたか】

【至れり尽くせりだな】

【まぁそれくらいしないとね……】

【かわいそすぎるからね……】

【理央様……マジでどうして……】

【理央様はもうここには居ない!】

 

【あの……半裸の野郎や便器で祈る男性へも、もう少しのモザイクは……その、下半身だけってのは……】

 

【男なら、まぁ……?】

【今どきは男でもNGだぞ】

【ムーチューブは男の上半身が裸でもアウト判定だからな】

【厳しすぎない??】

【あ、でも、人によっては女性同様のフィルターが現地でも掛かってるっぽい?】

【どういう基準なんだ、これ】

【さぁ?】

 

【もしかして:自分が他人から見られたくない度合いに応じてる】

 

【あー】

【あー】

【それだと男子の学生さんとかが女性と同等のフィルター、モザイク掛かってるのもうなずけるか】

【男だろうと体見られたくないって気持ちはあるしなぁ】

【昔と違って今はねぇ】

 

【確かに、ぱっと見だけどモザイク薄いのはおっさんか体育会系っぽいのが多いな】

【また毛の話してる……】

【してないが】

【あ、流し読みしてたわ】

【草】

【薄いのはモザイクだろ草】

 

【でも……え? んな高度な魔法、あるの? 人に応じて自動でモザイク調節するとか】

【しかも本人を囲む三次元的なやつだしな】

 

【サキュバスユニコーンちょうちょ聖女ロリ魔王姫ユズちゃんのお友達な女神様がくれた?らしいお友達がゆーあいちゃんだぞ?】

 

【おろろろろろろ】

【草】

【ああうん、もう女神様の恩寵ってことでいいや……】

【でも、どうせならせめて自分で身の回りのことを終えてから出現させてあげたらもっと優しかったかなって……】

 

 

【:】

 

【一瞬だったため】

 

【現況が限度です】

 

【最小限の対策のみ可能でした】

 

【申し訳ありません】

 

 

【あ……】

【かわいそう】

【普通に優しかった】

【悲報・ゆーあいちゃん、理央様よりも人の心を知ってた】

 

【ゆーあいちゃんなかないで】

【そうそう、悪いのは理央様なんだから】

【人間のくせに発情期の動物並みの思考能力しかない理央様のせいだからな】

【本当になぁ……】

 

【まじで優しいゆーあいちゃん】

【優しい】

【やさしいか? やさしいか……】

【人の尊厳を守ってくれるだなんて……女神かな?】

【守ってるか? 守ってるか……】

【少なくともあの黒髪女神ちゃんの友達だよ】

 

【あるいは女神の作り出せし精れれれれれれれれ】

 

【!?】

【……よし! 今は退化してるユズちゃんを正気に戻す方法からだな!】

【肝心なときにいっつもこんな感じのユズちゃん】

【だってユズちゃんだよ?】

【そういや最初からわりかしこうだったわ……】

【メイドちゃんのおっぱいに顔うずめてイヤイヤ期が終わらないユズちゃんだもんな!】

 

【今回に限ってはおねむで起きなかったとはいえ、理央様が「私なら起こせます! 私に任せてください!」とか抜かしてセクハラどころじゃないことかましたからなぁ……】

 

【理央様はもう居ないんだぞ】

【まだ居たら総スカンだろ】

【それはそう】

【居ることになったら……そこからが地獄だぞ、理央様】

 

人々が状況を把握し、それぞれのできることを協力して進めていく。

転移と召喚直後の動揺は収まり、笑い声さえ聞こえるようになった。

 

そこへ、彼らを囲むように――――――何千何万の音が、響いた。

 

「「「!?」」」

 

【びびった】

【なんだ今の】

【あ……あれ  転移魔法の渦……】

【あの、数が】

【おろろろろろ】

 

瞬間で出現した、七稜郭を取り囲むように展開している無数の渦。

 

そこから一斉に、足元が出現する。

 

――それらは、

 

【ひぇっ】

【二足歩行の、犬と猫……】

【ゴブリンやサハギンも居るな……】

【そいつらが、体に……】

【装備を身につけて整列してるモンスター……これって、まるで……】

 

『『『――――――oooOOOOOOooo――――――!』』』

 

1列目、2列目。

 

次々と現れ、列をなしていくのは長槍や防具を装備した――兵士。

 

モンスターの――魔王軍の兵士が、またたく間に人間をすべての方向から囲んでいき、その長槍を地面へ叩きつけたり咆吼で威圧していく。

 

弛緩していた空気が、一気に引き締まる。

 

ここに――急な転移のために2万と少し VS. 300万という第2フェーズが始まった。

 

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