ユニコーンに懐かれたのでダンジョン配信します……女装しないと言うこと聞いてくれないので、女装して。   作:あずももも

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613話 【羽ばたくユズちゃん・トリプルちょうちょ】

「それでさ。ダンジョン、モンスターが出現した世界で生き残れるように、まだ目覚めていない人類が先へ行くためのレベルキャップ、今の限界の分の魔力――『★』まで与えてくれた魔王さんは、僕が日頃から魔力を貯めるように……言ってみれば節約モード的な状態にしてくれたんだ。それが何も知らなかった僕にとっては不満だったとしても、生き残る確率を上げてくれようとして。まぁ『ダンジョン適性』っていう不完全な検知システムしか持ってない世界だから僕は高校まで戦うことはできなかったし、ダンジョンが管理されてるおかげで子供は戦う必要そのものがなかったから、結果としては過保護とも言えるんだけど」

 

「くぴくぴくぴ」

 

おばあちゃんが一生懸命にお水を飲むのを眺めながら、僕は僕の記憶と一緒に、そばに居るお父さん経由で先代の魔王さんの記憶もたどりながら教える。

 

先代魔王さんは、お父さんのことを相当気に入っていた。

 

お母さんには絶対言えないけど、それこそ「結婚」と「心中」を同時にしてもいいって思う程度には。

こんなこと、絶対に言えないけど。

 

だからその子供の僕もまた、いざというときに死なないように「★」までくれていたんだ。

 

【????】

【?????】

【ユズちゃんが俺たちの知らない話を語っている】

【え、これ、本当にユズちゃん?】

【ユズちゃんでしかないはずなんだが】

【ユズちゃんがかしこいと不安になる……この気持ちは一体……】

 

【でも待って  ダンジョン適性が……不完全……?】

 

【不完全だろ  サキュバスの血を引いてるユズちゃんが、少なくとも小学校高学年くらいまでの毎年のダンジョン遠足で適性が引っかからなかったって時点で欠陥にもほどがある】

 

【そうだったわ……】

【私はなんて馬鹿だったの】

【俺、幼稚園からやり直してくるわ……】

【草】

【ああ、こんなやべー事態の中心人物になるユズちゃんの適性が「ない」って判定が何回も出た時点で今の学校・ダンジョンシステムはぽんこつだわな】

 

【今この瞬間、ダンジョン商会の人、卒倒してそう】

【今この瞬間、教育委員会の人、卒倒してそう】

 

【草】

【あーあ】

【え、えっと……うん  システム改修すれば、もっと適性ある人を見いだせるってことでもあるから……】

【※ユズちゃんを見逃していた事実】

【もうだめだ……】

【草】

 

……見てる人の数が数だから、本当に一瞬でコメントが過ぎていく。

 

それを全部追うってのは……配信者としての経験が未熟以前に、物理的に無理かな。

 

「そういうわけで、肉体の成長も含めて最低限度のリソース以外は、全部貯蓄。そのおかげで高校生になっても中学生――いや、ひなたちゃんとたいして変わらないから小学生くらいの見た目だし、まぁそれはお母さんの遺伝もあるけども――で、必要性と興味から勉強と読書のとき以外はぼーっとしてる。ぼーっとしてるあいだにも、地球の大気にわずかだけど存在する魔力を雀の涙ほどに吸って貯めてるから『ちょうちょ』って状態になるんだ。別に僕が生まれつきのちょうちょとかそういうわけじゃないからね?」

 

「ちょうちょ」してるときってのは、今のおばあちゃんみたいに思考能力も身体能力もかなり落ちている状態。

 

ふわふわして気持ちいいのも、嫌なこと考えたり思い出したりしないでいいのもまた……お酒を飲んでいるのとおんなじで。

 

【……高校生?】

【高校生?】

【??????】

【ああ、飛び級か】

【ひなたちゃんもこの前高校生に飛び級で入ってユズちゃんと同じクラスだもんね】

 

【あやちゃんも優ちゃんも大学生から飛び級して高校生になったもんね】

【草】

【あやちゃんと優ちゃんへの流れ弾で草】

【かわいそう】

【成人した女子が高校の制服着てるってだけで最高だから……】

【分かる】

【前衛で鍛えてる優ちゃんはともかく、後衛でわがままボディなあやちゃんは……ふぅ……】

 

……僕、今言ったよね?

 

魔王さんの「おかげ」でもあるし「せい」でもあるけど、成長を貯蓄に回してたって。

いやまぁ、普段のちょうちょっぷりからすればにわかには信じがたいのは僕でも分かるんだけどさぁ……。

 

「けぷ。ふぅ、助かった。おかげで酔いが――――――ぬおっ!? 娘!? ……こっちも娘!? 娘が分裂している!? それに魔王様!? なにが起こっておる!?」

 

あ、少し酔いが醒めたらしいおばあちゃんが改めて僕を見て、真横に居るお母さんを見て、あとついでに魔王さんの体に入ってるお父さんを見て3回びっくりしてる。

 

びっくりするたびに尻尾がぴんと動くし羽もばさってなってる。

 

【草】

【草】

【かわいい】

【おはよう】

【酔いが醒めたか】

 

【おばあちゃん(ロリ)(サキュバス)(経産婦)(祖母)(やけ酒)が目覚めた!!】

 

【草】

【属性が多すぎる】

【てかマジでユズちゃんのおばあちゃん!?】

【ここまで顔も似てるし、なにより覚醒ユズちゃんが断言してるんだからそうなんだろ?】

 

【あはは! ちょうちょが3匹! ちょうちょちょうちょちょうちょ!】

 

【かわいそうに……】

【そうか  今のユズちゃんの説明の通りなら、この世界の理不尽から解き放たれるための機構が「ちょうちょ」  ちょっと羽ばたくか】

【草】

 

 

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