ユニコーンに懐かれたのでダンジョン配信します……女装しないと言うこと聞いてくれないので、女装して。 作:あずももも
「――――――――ぷはっ。ふぅ、ごちそうさま」
「 」
おばあちゃんを味わった――じゃない、おじいちゃんが居なくなってから使われなくなって数十年濃縮された淫魔としての香りがとても美味――じゃないじゃない、とにかく僕はおばあちゃんから魔力をおすそ分けしてもらっただけ。
ただちょっとそのやり方が、この前に女神様がお母さんにしていたようにキス越しのってだけで、それ以外の理由はないんだ。
あと、僕が男でおばあちゃんの孫で――つまりはおじいちゃんの血を引いてるもんだから、魔力を吸うときにおじいちゃんの感覚を思い出しちゃっただけ。
それで数十年分のいろんなので大変なことになってるだけだから、僕はそこまでは悪くないと思う。
「 」
「 」
くたっ。
吸い取る際にいろんな感覚に貫かれただろうおばあちゃんが――見た目はお母さんそっくりな彼女が、くたりと僕の腕の中で力尽きそうになっている。
「お母さん、はい、これ」
僕は、こっちを見て――なぜかお父さんにはがいじめにされていたお母さんへ向き直り、腕の中でたまに小刻みに震えるおばあちゃんを差し出す。
「ちょっと魔力吸い取りすぎてるけど、これがお母さんのお母さんだよ。もう用は済んだから預かっててね」
「えっ」
「ほら、早く。急がないとだから」
「え……ええ。……この人が、お母さん……?」
「柚希……? もう少し説明と思いやりをだな……」
「 」
【草】
【草】
【ユズちゃん!?】
【言い方ぁ!】
【悲報・ユズちゃん、百合っ子こじらせておばあちゃんをやり捨てするサキュバスの鏡になる】
【えぇ……】
【ユズちゃんサイテー】
【これが究極の百合か……】
【サキュバス×サキュバスだもんな!】
【てか魔力って何?】
【もしかして:この前ユズねぇが金髪ロリ女神に襲われてたときの】
【あー】
【あー】
【なるほど、魔力が足りなすぎて幼女退行するレベルで枯渇してたから、たくさん持ってた?らしいおばあちゃんからもらったと】
【なるほど】
【でもユズちゃん……? せめて説明とかあったでしょ……?】
【ユズパパの言うことがことごとく全員の意見なんだよなぁ】
【おかげでせっかくの防衛線が壊滅に……】
「おばあちゃんのは年季ものの魔力で濃厚に熟成されていたから、吸うのに時間かかるって思ってたからね」
ちょっとだけおばあちゃんの家の匂いのする魔力を――体内で咀嚼しつつ、僕は崩れつつある戦線を見渡す。
「――――――――UIさん」
【ヒェッ】
【如何しましたか、ユズ】
「? どうしたの?」
なんだかUIさんが怯えている。
なぜかはよく分からないけども、僕から距離を置きたい気持ちが伝わってくる。
なんで?
【草】
【あーあ】
【悲報・女神様が残したゆーあいちゃん、ユズちゃんに怯える】
【そらそうよ……】
【こんな見た目でもリリスだって改めて知るとなぁ】
【なんなら実態なくても襲えそう もちろん性的に】
「あ、うん。やろうと思えば肉体を持たない種族とでもそういうことはできるよ? だって淫魔族だもん」
【!?】
うん。
今みたいに魔力を吸うのとかは、むしろ精霊種族のUIさん……彼女みたいな子のほうが得意なはずだし。
【!?】
【!?】
【速報・ユズちゃん、ゆーあいちゃんにも目を向ける】
【えぇ……】
【肉体がない相手と……なるほど】
【薄い本を探そう きっとこの世界のどこかにはお宝があるはずだ】
【草】
【さすがに……ないよね……?(畏怖】
【もうだめだ……】
わあああああ。
景色は、まさに地獄。
僕のために来て僕のために時間を稼いでくれていた同級生や地域のダンジョン潜りの人、軍人さんたちの7割が戦闘不能になってこちらへ向けて走ってくる外側からは、もはや無数のモンスターが大地を埋め尽くす勢い。
そのはるか遠くで僕たちを囲むのは、こちらも数え切れない数の転移魔法の渦――そこから秒ごとに転送されてくるモンスターの軍、魔王軍。
「ふぅん……このタイミングで巨人族の兵士たちまでか。うんうん、だいたい分かった」
渦よりはるかに大きいサイズの図体に鎧を装着し、その彼らよりも長い槍を装備している軍隊――魔王軍の、恐らくは地上侵攻部隊の主力になっているだろう巨人族。
サイズごとに……ひなたちゃんと遊んでる子みたいに小さいのから、その10倍近いサイズのものまで。
タイタン、タイタス――その上位種族。
小さい種族から大きなそれまで、あらゆる地面を蠢く種族――それらを配下に軍隊へ仕立て上げ、こうしてあらゆる世界のあらゆる地面を埋め尽くそうとしているんだ。
空を見ると、これまた無数の飛行系モンスター――ただし僕たちを舐めているのか、それとも僕たちが逃げようと七稜郭ダンジョンへ入り込んで上へ登ったあとで追撃する手筈なのか、渦の外で遠巻きにホバリングして動こうとはしていない様子。
「さすがは魔王軍。無尽蔵って言ってもいい物量だ」
たぶん彼らを全部倒し切れたなら、300万の戦力の第2フェーズを終えられるはず。
だったら、
「UIさん」
【ハイ……】
「僕の思考を読み取って、僕の魔力を使って転移魔法を使ってください」
【ワカリマシタ……】
【ですからお慈悲を……】
「?」
なんでUIさん、こんなに何かに怯えてるの?
【かわいそう】
【本当にかわいそう】
【なにがかわいそうかって、やべー状態に覚醒してるユズちゃんに目をつけられてるってことだよな】
【草】
【ゆーあいちゃん……いい子だったよ……】
「けどま、とりあえず――――――――」
ばさっ。
僕は羽を大きく広げ、
「ほらおまんじゅう、行くよ」
「 」
お母さんの足元で転がっていたおまんじゅうをつかみあげると、しゃがんだ勢いで脚を伸ばし――――――――
「――――――――ぎゅひぃぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」
「あ、起きた」
むんずと彼のふわふわな毛皮を引っ張って、僕は垂直にひとっ飛びした。
【草】
【草】
【草】
【なんだこの声草】
【おろろろろろろ】
【画面が揺れるぅぅぅぅ】
【酔い止めがないからおろろろろろ】
【もうだめだ……】
【ユズちゃん!! 配信カメラ!! 駄馬のツノ!! 急な動き!!】
【文章を形成できなくなってて草】
【ユズちゃん……どうして……】
定期のないない(治療)のため、次回の投稿は7/8からの見込みです。
更新が止まるこの期間、ぜひ他の小説、またはプロフより他のコンテンツをお楽しみくださいませ。