ユニコーンに懐かれたのでダンジョン配信します……女装しないと言うこと聞いてくれないので、女装して。 作:あずももも
「これほどたくさんのモンスターに囲まれる経験。地球では、まずないよね。11年、12年前の初期にダンジョンに飲み込まれた地域は別として」
闘技場――コロッセオ、コロッセウム。
要は「殺さずに捕らえた生き物同士を戦わせて楽しむ」場。
古今東西、あらゆる世界――あらゆる種族の行き着く先は、同じなんだ。
「まったく悪趣味だよね」
【はい……】
【そうですね……】
【※地平線を埋め尽くすモンスターを目にしたらおしまいです】
【※飲み込まれた人たちは、物理的にもう存在しません】
【※なのでここに居る視聴者ほぼ全員が初めて見ます】
【おろろろろろろ】
【ああああああ!!!!】
【ユズちゃん……たすけて……】
【理央様くらいは捧げるから……】
【草】
「え……いらない……」
理央ちゃんはもう奥さんだし……ほっといてもあの子からぐいぐい来るし……。
【ですよねー】
【草】
【悲報・理央様、ユズちゃんから要らない言われる】
【まぁ、そうなるな】
【当然の末路ではある】
【まぁそのうち這い上がってユズちゃんのとこ戻ってくるだろうしなぁ、あの百合っ子は……】
【理央様 R.I.P.】
「いや、理央ちゃんはそこまでのこと……してるかなぁ、客観的には……」
僕が飛び上がった先。
魔王城、その変形した尖塔のひとつ。
ひゅうううと風が切る高度――百何十メートルに突き出た高所、その大地の上に座する城の威容を見て、言う。
「こういう立体合体した構造物って、いいよね」
【いい……】
【わかる】
「最終形態っていいよね」
【いい……】
【すごくよく分かる】
【親衛隊も……男はそう言ってます】
【女は「そんなことよりユズちゃんにかわいい服着せたい」って言ってます】
【草】
【男の子っぽい感性持ってるユズちゃんなら同意してくれるって思ってたわ】
【ほんそれ】
【こういうの、女子はほんっと理解しないからなー】
【は?】
【あ?】
【戦隊ヒーローが男だけのものだって?】
【変身仮面ヒーローとか宇宙怪物ものとかロボットものとか好きなんですけど?】
【日曜日の朝は変身ヒーローものと魔法少女チックなものがはしごできていいよね】
【わかるんですけど?】
【草】
【なんなら制作陣なんですけど?】
【ごめんなさい】
【ごめんなさい】
【でも俺たちの子供時代をありがとう】
【ありがとう】
【作品名とお名前を……ファンレターとラブレター送るから……】
【草】
【半分邪心で草】
【実質的に最初から全部では?】
【男心を理解できる女子とか貴重だからね】
【それはそう】
【つまりはユズちゃんってば男を籠絡するために存在するって理解でOK?】
【OK】
【OK】
【もちろん男も堕とすしもちろん女も堕とす……どちらもするのが真のサキュバスだ】
【やだ、サキュバスこわい……】
【じゃあおまえんちサキュバス来なくていいんだな?】
【サキュバスしゅきぃ……】
【草】
【というわけでOKです】
「なにもOKじゃないと思う」
と、コメント欄っていう集合敵無意識と戯れながら状況把握。
――上空は数十万のドラゴンが行き交い、彼らの言語で僕たちの勝敗での賭けを楽しんでいる。
――――――ごうっ。
そして、頻繁にこちらへ降り注ぎ――お父さんの、このフィールドの主ほどの存在でないにしても、それなりの魔王としての防御魔法を展開しているお城が張るバリアが、その勝敗を操作して儲けようと降ってくるブレスを迎撃。
けれども、これは長くは続かない。
なにしろお父さんは1人、たいして敵はほぼ無限――なにしろ敵の魔王の本拠地らしいから。
しかもさっき下に呼んじゃったもんだから、お城の制御はオートのみ――けれど、お父さんにはそろそろ休んでもらわないとだから。
「だから――やろっか」
【ひゅっ】
【ひぇっ】
【じょばばはば】
【悲報・ユズちゃん、何かを宣言する】
【ああ……「何か」をな】
【もうだめだ……】
【ユズちゃんが動くとき、全ては終焉へと向かう……】
「……なんでさ……まぁこれまでの僕の言動でそう反応するのは当然だけどさ……」
僕はげんなりしつつも――それでも、「こんな僕を見ても普通に受け入れている地球人類のみんな」を見て、胸があたたかくなる。
「じゃあ、まず――ひなたちゃん」
『いけいけー! けちらせー! ……ゆずきちゃん!?』
「結構ノリノリだったね、ひなたちゃん」
映像に映したのは、巨人族の子の手のひらで剣を振り回していた――たぶん戦場に長く居すぎてハイになってた、ひなたちゃん。
『……え、ぇっとぉ……うん……』
僕の顔が映ってるはずの空中を見上げてきて――急に顔を赤くして、剣を下ろして髪の毛をくしくししている。
【かわいい】
【かわいい】
【小6にして乙女か】
【もう中1(飛び級で高1~2)だぞ】
【女の子はね、恋をすると大人になるの】
【そうよ!】
【草】
【これでもユズちゃんのパートナーですってよ!】
『柚希さん……どうか早く、この事態を――うぷ』
「あっ」
カメラの向きを変えた僕は、とっさにその画角を調整しようとするも、
『おろろろろろろろろろ』
【あっ……】
【悲報・優ちゃん、ゲロインへ昇格】
【名誉の負傷だから……】
【無邪気なひなたちゃんに付き合って上下運動激しい巨人ちゃんの上でがんばってたから……】
【3Dゲームのごとくにぐるっぐる動き回る上で戦ってたから……】
【乗り物酔いっ子がね……】
【かわいそう】
【大人になると乗り物酔いって辛いよね……】
【わかる】
【ぶわっ】