ユニコーンに懐かれたのでダンジョン配信します……女装しないと言うこと聞いてくれないので、女装して。   作:あずももも

626 / 626
621話 アリーナに水を張った

※今話は海があふれる描写がありますので、苦手な方は飛ばしてください。

 

 

 

 

 

 

「ぶもっ!?」

「キー! キー!」

「ゴブブブブブ」

 

――ざぁぁぁぁ。

 

絶対的な勝利――「勝ち確」の状況で逃げる獲物を追っていた多種多様なモンスター、魔族により構成された軍隊は、目標の鼻の先まですでに到達していた。

 

なんなら召喚主――ドラゴンという支配種族が功を焦り、あとは時間刻みの賭けのためにとペースを早めすぎたため、それぞれの即席雑多辺境連合軍とも表現できる指揮系統で入り乱れた前線の小型モンスターが同じく後続の大型のそれらに踏み潰されるという悲劇まで起こっていた、数の暴力。

 

『GAAA!?』

『GAAAAA!!』

 

けれどもその上空では支配者層たちは互いの「所有物」への介入に抗議をするのみで、適切な指揮を執ることはなく。

 

執ったとしても肝心の「魔王」が不在で留守を預かるのみの彼らだけしか居ないせいで数百の指揮系統がぐちゃぐちゃになっている現場へ届くことも、あるはずはなく。

 

そもそも彼我の実力差以前に物量差でひっくり返されるなんて「可能性としてあるはずがなかった」ため、柚希の急な動きも「ちょうちょのひとひら」としか見られていなかった。

 

なにしろ大勢力の魔王の本拠地へと転移「させられた」「かよわき勇者とその仲間」たちでしかなかったから。

 

だが、状況は変わった。

 

水という質量の塊が通常の転移魔法のセオリーを無視し、ほぼ無限とも表現できる勢いで、何カ所から一斉に放流。

 

まるで複数のダムが決壊したような勢いのそれらは――空中に出現した複数の巨大な渦から滝として流れ出した単純な質量として、制圧目前だったはずの魔王軍を飲み込んでいく。

 

それが魔王軍――魔族が直接に指揮していない、ただの野良の使い捨てなモンスターだったならば、まだなんとかなっていただろう。

 

通常の、力をろくに持たないモンスターたちは「装備」など基本的には身につけずに魔力の塊から出現するのだから、何割かはなんとか浮いて助かったはずだった。

 

だが――人間を絶望させながら威圧するために「わざわざ人間の好む鎧姿」とされてしまっていたモンスターたちは、その金属の重みのせいで――浮き上がることはできなかった。

 

「ぎゃーす!!」

「に゛ゃーん!! に゛ゃーん!!」

「くぅん……」

 

ゴブリン、キャットシー、コボルトなどの二足歩行へと進化した先の凶悪だったはずのモンスターたちが、あっという間に海底へと引き込まれていく。

すでに海面は高くなり、種族として巨大なギガントたちも、なすすべも無く沈んでいく。

 

「うわ……」

「えぐっ……」

「俺たちが半壊させられた相手が……」

「やっぱ人間ってちょうちょには敵わないんだなって」

 

【草】

【それはそう】

【現地勢がドン引きしている】

【そらそうよ……】

 

【黄色い線(白い線)(に光る壁)の外まで迫ってた魔王軍が一瞬で水に飲まれていくんだからなぁ……】

 

【ユズちゃん……これはえぐいて】

 

【でも、できるんなら最高率だろ?】

【歴史って、結構盛大にえぐい作戦とかあるからね……】

【過去のこととかフィクションならなんとかなるが】

【おろろろろろ】

【少数の犠牲で敵軍を壊滅させられるなら、それはもう名将なんだよなぁ】

 

【うん、仮にユズちゃんが地球に戻ってきて普通の女の子したくっても無理だわ  「怒ったらこういうこと(範囲攻撃)をいつでもできる」って見せられた時点で、もうどうあがいても特別扱いするしかないわ……】

 

「おろろろろろろろ」

 

「うわぁ……」

「うみ、こわい」

 

【ああ、かわいそうな優ちゃん  今の俺たちと同じ発想で……】

 

【※乗り物酔いする体質で何十分も運ばれていました】

【あ、そっちか】

【草】

【かわいそうに……】

 

ざぁぁ、ざぁぁ。

 

見渡す限りの地平線――アリーナの中が「およそ30メートル」の海に包まれた、その中心部。

 

大量の海水が流れ込み、先ほどまでは足が着いていた場所が水の厚さで透けて見えなくなるほどに変貌した光景を見渡す人々。

 

迫りくる海水に、当初は「自分たちはユズワールドの生け贄か……」と諦めムードだった人々も、次第に七稜郭全体が海面に合わせて浮いていると気づいてからは――自棄を起こしたように泣き叫び、祈り這いつくばっていた。

 

【こわいね】

【こわいね】

【マジでこぇぇ……海を自在に操るとか】

【普通に世界規模の怪異で草】

 

【だって「ユズワールド」だぞ?】

【怪異「ユズワールド」ってこわいね】

 

【しかしマジでヒヤヒヤしたわ】

【ああ……】

 

【ユズちゃんのメンタルなら人ごと沈めはしないと思ってたけど、一方でユズちゃんメンタルだとちょうちょやらかして「あっ……」って結末があり得たからな……】

 

【草】

【全国の神社仏閣教会協会その他あらゆる場所でみんなが祈ったからだよ】

【これが祈りの力……!】

【もしかして:ユズちゃん教爆誕】

【※もうすでにサバトの段階でしてます】

【※現在進行形で信徒数がうなぎ登りです】

【もうだめだ……】

 

【いくらリストバンドで命が助かるって知ってても……海の中は単純な恐怖だもんなぁ】

【それな】

【おろろろろろろろ】

 

【ユズちゃんの地形操作とかいうバグった戦法で、敵軍は完全に沈黙……ようやくに第2フェーズが終わったか】

 

【これでもう終わりだよね……?(希望的観測】

 

【「第2」があるってことは?】

 

【もうだめだ……】

 

【ま、まあ、おかげで2万 VS. 300万とかアホみたいな戦力差はひっくり返せたから……】

【敵が魔王ならこっちも魔王  大丈夫、父娘2代魔王だよ】

 

【大丈夫……?(ちょうちょを眺めて】

【もうだめかもしれないな】

【草】

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

【2巻発売中】TSしたから隠れてダンジョンに潜ってた僕がアイドルたちに身バレして有名配信者になる話。~ヘッドショットロリがダンジョンの秘密に迫る配信~(作者:あずももも)(オリジナル現代/冒険・バトル)

【TS成分少なめがお好みの方は8章を飛ばしてお楽しみください】▼【最初にTS場面ご希望の方は8章→1章~の流れでお楽しみください】▼【1巻からの方は3章より・2巻からの方は5章よりどうぞ】▼◆【地上に舞い降りた野良猫系女神】【僕っ子ショタ系口調呑兵衛ロリ】【たまにおっきくくく】【nai-nai】【人助けするくせ隠れるのが趣味なヘッドショット系ロリ天使】(視聴…


総合評価:18959/評価:7.39/連載:773話/更新日時:2026年07月10日(金) 18:04 小説情報

TSよわよわVtuberはバズっても外には出ません ~かわいくなったら余計他人が怖くなったんだけど!~(作者:あずももも)(オリジナル現代/コメディ)

【よわよわメンタル】【新規さんで吐き気を催す配信者】【総合的にはリアルJCが飲酒してることに】【だから成人男性ってことにしてるんだろ!】【草】▼人間関係をこじらせて大学を中退した僕は、弱小個人勢VTuberとして地味に平和に男として配信生活。▼なのにある朝、アバターそっくりの女の子にTSしてた。なんでぇ……?▼ボイチェンで地声を隠して配信を続けるも、不具合で…


総合評価:1436/評価:7.24/完結:154話/更新日時:2026年04月17日(金) 12:06 小説情報

悪役貴族転生【女装】悪役令嬢ルート~99通りで断罪される悪役に転生して女装したら死亡フラグが無くなる代わりに周囲の目が怖くなってくんだけど?~(作者:あずももも)(オリジナルファンタジー/冒険・バトル)

僕が異世界転生をしたら99%の確率で死ぬ、とあるゲームの悪役・通称「女装メス堕ちジュリオン様」だった。雑魚キャラからラスボスまでを務めるブラック悪役だった。なんてことだ、僕の将来は高確率で断罪されて死ぬか、メス堕ちして飼われるかしか選択肢がないらしい。悪役転生とか地雷過ぎる。▼考えた末、唯一の生存フラグな女装に賭けてみたら――その姿はなんと、やべー女だった亡…


総合評価:1244/評価:8.29/連載:168話/更新日時:2026年06月11日(木) 11:58 小説情報

異世界の辺境でサキュバスにTS転生した。歪んだ愛を向けてくる姉から貞操と尊厳を守るには、魔王となって世界を統べるしかない。(作者:パッタリ)(オリジナルファンタジー/冒険・バトル)

 異世界に転生した俺の体は、姉を名乗る美女によって作られた。▼ 銀髪の可憐なサキュバスとして。▼ 心は男のはずなのに、姉に触れられるたび、体の奥が甘く疼いてしまう。▼ 産まれたての俺に、最強にして最悪の姉は二つの道を示す。▼ 一つは、不毛な荒野を平定し、やがて大陸の頂点に君臨する《魔王》になること。▼ もう一つは、部屋で一生可愛がられるだけの《愛玩動物》にな…


総合評価:1843/評価:8.82/完結:90話/更新日時:2026年04月06日(月) 12:23 小説情報

国際ニュースで追われる私ですが、記憶喪失の妹です。ごはん探してるだけです(作者:宙うし)(オリジナル現代/戦記)

目を覚ましたとき、“わたし”は自分が誰なのか分からなかった。▼ここがどこで、どうしてこんな奇妙な身体になっているのかも思い出せない。▼ただ──▼「お姉ちゃんに、なにかしてあげたかった」▼その気持ちだけが、やわらかな残響のように胸に残っていた。▼けれど、何をしてあげたかったのかは思い出せない。▼お腹だけが、きゅうっとすいていく。▼「……まずは、ごはん……探さな…


総合評価:8521/評価:8.91/完結:86話/更新日時:2026年03月08日(日) 07:40 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>