ユニコーンに懐かれたのでダンジョン配信します……女装しないと言うこと聞いてくれないので、女装して。 作:あずももも
――――――それらは、激怒した。
それらの「主」――今は「最後の神々との最後の天魔決戦」をしているため不在だが――の留守を、主の巣を預かる彼らは、不快な気持ちを抱いていた。
たかが――絶滅間近まで追い詰めた存在たち<人間>が、それらの予想を裏切り……まさかの手駒を、ことごとくに滅ぼしたからだ。
たとえ木っ端の「モンスター」――魔族ですらないそれらでも、それらにとっては大切な「資産」であり手駒であり、そして賭けのためにそれらなりのルールに基づいて少しは悩んで寄こした戦力だ。
それらを、人間ごときが――途中からなぜか魔族に覚醒したらしい、多少は魔力が在ろうとも元はただの人間の、しかも雌の幼子に一掃された。
確かに魔力自体は、何故か急に増えている。
それらの大半よりも膨らんでいる。
――――それが、気に食わない。
その屈辱は、自らをこの世で最も誇り高き存在と自称するそれらドラゴンの逆鱗に触れた。
『『『『GAAAAA――――――!!!』』』』
賭けは総意で放棄された。
払い戻しはなされない。
「人間を模したモンスターたちに『いつまでに』人間たちを全滅させるか」という賭けは、成立しなかったからだ。
賭けを主催した胴元も、賭けで大儲けするために寄こした手駒をまとめて失った。
損失は膨大だ。
それらの仲間は、それを哀れんだ。
――――――ゆえに、それらは損した分を怒りで補填することにした。
数万の竜種たちが、一斉に海面、あるいは海中へ転移陣を召喚する。
そこへなだれ込むは、彼らの子飼いの水生戦力。
レベル――強さ、従属性を問わず、陣形も何もなく召喚されるその数は、数百万。
たとえ反抗的な種族だったとしても戦場に叩き込まれたならば生き残るために戦わざるを得ない。
アクアスライム、ウォータースピリット、シャーク、シーサーパント、ナーガなどの小型モンスター。
――それら雑魚を一瞬で押しつぶす、タルタロス、マーマン、セイレーン、ホエールなどの大型モンスター。
――――それらですら質量で魔石に帰してしまう重量のリバイアサン、クラーケン、グレーターサーパント<ミヅチ>、シードラゴン、ポセイドン。
地球換算で「レベル100」を圧倒的に超える強さを誇るモンスターが、雑多な「使い捨ての道具」として召喚され、投げ捨てられる。
……その、誰かがつぶやいた「雑コラとかバグったゲームの画像みたいだな」という表現そのままの、海を覆いながら近づいてくる物量。
それに……人々は、言葉を失う。
【 】
【 】
【 】
【 】
【 】
【なぁにころろろろろろろ】
【もうだめだ……】
【やべーモンスターたちを水攻めにしたらもっとやべー海のモンスターが現れたでござる】
【ひゅっ……】
【これが、魔王軍の全力か】
【これまでのが小手調べだったかとか】
【※研究者の試算では、12年前に海のモンスターが出現していたらとっくに地球人類は滅んでいた 最低でも全世界の通信の途絶に流通網の完全崩壊、島国と沿岸部の壊滅は確実だったとされています】
【※当然原油も物資も交換できず、加えて海沿いの発電所はことごとくに侵攻され、低地はモンスターに占領されるシミュレーション結果だそうです】
【あひゃひゃひゃひゃちょうちょちょうちょちょうちょちょうちょちょうちょちょうちょ】
【かわいそうに……】
【ユズちゃんはがんばった それでも、敵は……】
【待て 地球の、国連連合軍の配信を】
【:】
【第3/final phase】
【100000 VS. 1000000000】
【開始します】
【は?】
【えっ……】
【10万……対、10……億……?】
【 】
【あっ……空からドラゴンたちが次々と……】
【ユズちゃん……もう無理だよ いくらなんでも……】
「大丈夫」
僕は、空と海を埋め尽くす敵影を全周に確認しながらも――確信を持って、言う。
「地球人類も、ね。『ダンジョンっていう狭い場所』じゃなければ実力を発揮できる場所もあるんだ。――ちょっとばかりバフはかけないとだけど……ね」
【master:ユズ】
【「テイム」した戦力が、まもなくワープアウトします】
【指揮を】
「分かりました」
UIさんの連絡。
――それがなくっても【スキル】の感覚で分かっていたけれど、やっぱりこういうことに詳しい人から教えてもらえると、安心するんだ。
「……配信を観てる、戦えるみなさんのうちに」
だから、僕はまた、お願いする。
「遠距離攻撃が、できる人。治癒魔法を使える人。――それと」
大切なことは、先に言っておく。
「大荒れの海でも船酔いしない人。……居たら、僕のテイムに応じてください」
三半規管の敏感さは大切だからね。
……特に、ひなたちゃんと一緒に引き揚げたのに地面に向かって嘔吐している優さんみたいに、強くたって戦場の適性がない人も居るから。