ユニコーンに懐かれたのでダンジョン配信します……女装しないと言うこと聞いてくれないので、女装して。 作:あずももも
「そ、そんなことよりさ。ほら、そろそろ到着するから戦闘だって」
【「そんなこと」……?】
【おいこのサキュバス魔王、さらっと地球の全核戦力と同等の恐怖を「そんなこと」つったぞおい】
【草】
【もうだめだ……】
【ユズちゃんが力を得て上位存在的な価値観に染まってるぅ……】
【マジでちょうちょってしあわせだったんだなって】
【知らないってしあわせなんだね】
【目の前に気軽に起爆する核弾頭がひらひらしてたんだからな】
【親衛隊もそう思います(さっきので地球に帰還させられた親衛隊より】
【草】
【草】
【かわいそうに……】
コメント欄から顔を上げると、全周囲から――海中、海面、海上から大型かつ高レベルの水生と飛行モンスターが押し寄せてくる光景。
――上空からも、数はまだ少ないけどもドラゴンたちが直接降下してきている。
魔王軍、その本拠地。
そこへ出現した「取るに足らない人間っていう下等存在」としか認識していなかったはずの彼らは、けれども少ない個体でも危機感を覚えている。
それを、ノームさんたち女神様たちが戦ってるあいだに達成するために。
舐められているうちに、全部召喚し切りたかったけど……しょうがない、彼らの排除を先にお願いしよっかな。
――――――ずずず。
僕たちの頭上に、何十もの渦。
そこから最初に現した姿は。
――――こぉん、こぉん。
独特のソナー音が、空中を揺らす。
黒かったり灰色だったりする、円筒形とかもう少しすらっとした形状の船。
主に海中で活動して、通常ならまず空中になんて飛ぶはずのないお船。
「出海道の周囲だけで、こんなに居たんだ。大型ミサイルを搭載してる、潜水艦って」
【 】
【 】
【 】
【 】
【 】
【あの……合衆国の戦略原潜が、最低でも10……20……】
【欧州のもたぁくさぁん……】
【ひぇっ】
【じょばばばば】
【ゑ? 出海道の海にこいつらが?】
【条約はどうしたんだ!!(憤怒】
「うん。最初は僕の救出、その次が魔王さんの出現、それで僕がちょっとやらかしてもっと脅威度が上がってたからなんだろうね」
数十――いや、100に迫る数の、潜水艦。
「ふんふん……いざっていうときには出海道ごと焼き払う予定で。気持ちはよく分かるけど……それってちゃんとうちの国の政府に言ってたのかな」
【霞ヶ関「現在進行形で関係各国の大使を召還&首相から大臣からが各国政府へ猛抗議の電話を乱れ撃ちし始めていますから怒りを抑えてくださいお願いしますなんでも言うことを聞きますからこれ以上の軍事機密をぽろぽろと全世界へ生中継しないでください閣僚たちの胃が溶けますていうか総理のメンタルがやばいです」】
【ふぁっ!?】
【草】
【かわいそう】
【かわいそう】
【あー、抗議するってことはやっぱこれら……】
【核弾頭を……】
【おろろろろろろ】
【対魔王戦だからしゃあないと思う一方で、1歩間違えてたら今ごろ出海道が死の大地になってたって思うと……脳がしなびていく……】
【人間って愚かだけどぎりぎりのところではなんとか踏みとどまれるんだね……】
【ユズちゃんのひらっひら具合では、今ごろ出海道が死の大地に……】
「そんなことより、潜水艦の人たち」
【「そんなこと」】
【草】
【ユズちゃん!!!!】
【カメラの情報からドラゴンどもが飛翔してきてるのは確かに脅威だけど、霞ヶ関からのダイレクト書き込みへ「そんなこと」とか言っちゃうユズちゃん】
【これがちょうちょだったらどんなに良かっただろうね】
【なぁにこれぇ……】
こぉん、こぉん。
それぞれの船の中――隠密作戦だしバレたらこうなるって分かってたのに、それでも召喚に応じてくれた乗組員の人たち。
彼らは、僕の言葉を待っている。
だから。
「……ここに来てくれている人たちに影響が出たらまずいので、通常弾頭搭載のだけを。あのドラゴンたちへ……お願いします。大丈夫です」
僕は、「僕たちへ危機感を抱いてしまった、かしこい敵」を排除するために――――
「そちらのデータリンクはUIさんがやってくれます。自動追尾で狙う敵も選択してくれます」
ノームさんが置いてったUIさんだ、それくらいはできるよね。
【エッ】
【草】
【草】
【悲報・ゆーあいちゃん、無茶振りをされる】
【かわいそう】
【女神様からおもり、頼まれちゃってるからね……】
【ユズちゃんってさ、ちょっと好き勝手してるよね】
【ちょっと……?】
【「ちょっと」だろ 地球戦力と≒な魔王としてはな】
【やはり、本質はちょうちょ カメラの隅っこできょとんと首をかしげてひらひらしてた、あのころの幼女はなんにも変わっていないんだ】