ユニコーンに懐かれたのでダンジョン配信します……女装しないと言うこと聞いてくれないので、女装して。 作:あずももも
【あの】
【はい……】
【はい……】
【なぁにこれぇ……(先行入力】
【知ってた(先行入力】
【ユズちゃん、次はなにしたのぉ……?】
【こわいよー】
【あのですね そのですね ……時代的にも艦艇数的にも邪魔だから出撃してなかったはずの、港に停泊してる太平洋艦隊……そこから、古いのから新しいのまで、戦艦と空母が姿を消してってる……それも大型のものから順に……】
【そもそも空母は青い森を始めとしてうちの国の空港とか基地が使えるから来ていないし、戦艦は時代遅れだし民間人を怖がらせるからって来てなかったはずよね……?】
【それが……?】
【あちこちの基地の公開されてる定点映像から、こつぜんと……その軍港は大騒ぎに……】
【あっ……】
【あっ……】
【私、分かっちゃいました】
【おろろろろろろろ】
【ね、燃料と弾薬と活躍はユズちゃん持ちだから……】
【それがなんだってんだよ草】
【活躍は持ってっちゃダメだろ草】
【10億とかいうバグった数の敵を倒すには、こちらもバグらなければならない 多分そこまで考えてないけどな】
【ユズちゃんだもんね……】
【ユズちゃんだからなぁ】
【でもちょっとだけかしこくなってるよ?】
【だから?】
【ごめんない みじんこから人生やり直します……】
【草】
【草】
【なかないで】
【ユズちゃんはどうしようもないって知ってるだろ草】
【でも、戦略兵器と言ったら】
【ああ】
【ユズちゃんが自分から使わずに投げ捨てた汚い兵器を除けば……】
「……やっぱり負荷、重いなぁ」
僕の体からすごい勢いで抜けていく、魔力。
質量、重量。
それは、こと転移魔法へは重くのしかかるものらしい。
「けど、残ってるモンスターはどれも大型……今来てくれてる人たちじゃ、上空のドラゴンさんたちが降りてくるまでに間に合わない」
ちらりと見上げた空には、無数の龍。
僕たちが押し返し始めたころからぽつぽつと実力行使に出てくる個体が居るだけだったのが、今じゃ何十匹単位の即席編隊で降下してきている。
当然だ、だってここは魔王軍の本拠地――たぶん、魔王が普段からふんぞり返っている魔王城そのもの。
当然ながらその守りは厚いし、僕たちを見くびっていたそれらも「これはまずい」って気づいてきている。
……人間だからって弱く見られているから時間を稼げていたけども、力を示した以上には敵も本気を出してくる。
数で押されたなら――ただでさえモンスターの中で最強の種族なドラゴンだらけなんだ、ここで急がないなら……数で押されるのは、次は僕たちの番。
もうちょっと経てば、この戦場全体が敵の爆撃圏内――せっかく活躍してくれてるみんなが、やられちゃう。
だから。
「僕たちの海を――護ってください」
くらり。
一瞬、浮力を失った羽は、僕の体を十数メートル落下させてから再びに僕を滞空させてくれる。
「……とと」
【あっ】
【あっ】
【あああああ】
【堕ちるぅぅぅぅ】
【待て、留まったぞ】
【助かった】
【けど今、ユズちゃんの羽が消えたし……相当消耗したんじゃ】
【すでに相当な人数と船や軍用車両を運んできてるし弾薬を補充し続けてるもんなぁ】
【がんばれ】
【顔色も……無茶はしないで、でもがんばって】
【あとちょっとだよ、ユズちゃん がんばれ】
――――――でも。
「僕自身は、しょせんはただの人間――戦術兵器にはなれても、戦略兵器にはなれない」
【?】
【??】
【?????】
【疲れてるから変なこと言ってる?】
【そうだろうよ】
【ちょうちょの戯れ言をまともに受け止めるな 脳が開いていくぞ】
【草】
【こわすぎるからやめて!!】
【表現がスプラッターすぎる】
【半径数百キロを3日間行動不能にさせるサバト、出海道周辺に展開する国連軍を陸海ともにテイムする力、個人個人や車両、船舶を任意で転移させたりぶん投げた武装も転移で回収させられたり筋力とか魔力をバフさせるわ弾薬を無制限で補給するわなとんでも能力を行使できるサキュバス女王が戦略兵器でないと?】
【草】
【過小評価、それとも……?】
【ユズちゃんだぞ? たぶん分かっていないだけだ】
【もうちょっとは魔王かつ魔王の姫っていう自分の立場と実力をだな、ユズちゃん……】
――奥になるにつれて大型、かつ高レベルのモンスター、かつ数が増えていくせいで、今の前線では1体のモンスターを倒すのに1分以上はかかるようになっていて。
つまりは戦力が拮抗し始めていて。
ひなたちゃんを中心に、なぜか投げ飛ばされて後方へ一撃離脱をかましてる人たちが多少は削っているけども、軍の前には無力で。
『GAAA!』
「こっちへ来るぞー!」
「緊急旋回! ばら撒けるもんはばら撒いて逃げるぞ!」
「甲板の人たち! しっかり捕まれー!」
だから、味方へも被害が――人的被害が出る前に転移魔法で七稜郭の近くへ撤退させているけども、それでも戦力的には被害が出続けていて。
だから、一部の前線を食い破るようにして敵が突出してきていて。
だから、それらは「いい的」で。
『……GA?』
ふと、暗くなったその海域。
水生モンスターたちが異変を察知し――上を見上げると。
『GA』
そこには――すぐ目の前に、なにやらでっかい鉄の船底が浮いていて。
「――大型の船。戦艦とか空母って……重いよね?」
――――――ぷちっ。
ざぶんっ。
みんなが稼いでくれた時間へ……最後の仲間たちが、堂々と登場した。