ユニコーンに懐かれたのでダンジョン配信します……女装しないと言うこと聞いてくれないので、女装して。 作:あずももも
【艦砲射撃ってこわいね】
【こわいね】
【ことごとくのモンスターが一瞬で魔石と化したからね】
【こわいね】
【えぐい量の砲弾とミサイルが降り注いだからね】
【こわいね】
【ユズちゃんが広げた海は全部制圧 魔王軍の転移魔法、完全に品切れで残りは空を舞うドラゴンだけになったね】
【こわいね】
【だからミサイルは空へ90度で飛んでいき、戦艦砲も45度で飛んでいったんですね】
【こわいね】
【おかげでお空が真っ暗になって、魔石色の雨が降ったんですね】
【こわいね】
【戦いに関しては冷徹なユズちゃん、2段階くらい強化されて強いドラゴンがメインになってきてからは飛べなくなる程度までダメージを与える戦法へ切り替えたね】
【おかげで空からドラゴンたちが降ってくる→地面に激突して魔石になるor落下ダメージで弱りながらも残ってるところへ艦砲射撃開始】
【こわいね】
【えぐいね】
【子供って残酷だね】
【これが地球なら地面が穴ぼこだらけになってるのに、ダンジョンの壁と似た材質のせいで51センチ砲でも表面が焦げる程度の硬度を誇ってるのもこわいね】
【ヒント:ユズちゃんはその地面を何度も円形にめきょっと沈めました 半径10キロ単位で】
【こわろろろろろろろろ】
【ひゅっ……】
【ま、魔王だから……】
【これは魔王だわ】
【姫……だとこれ以上の進化の余地があるから、頼む……これが最終形態の魔王であってくれ……】
【大丈夫大丈夫 どっかのバカがユズちゃんの大切な人とかを襲撃しない限りにはユズちゃんは温厚だから どっかのバカがやらかさない限りには】
【ユズちゃん親衛隊! 責任は重大だぞ】
【えっ】
【えっ】
【待って、親衛隊ってのは初期の軽いノリで……】
【草】
【悲報・親衛隊、戦後の進路が確定する】
【もう逃げられないゾ♥】
【親衛隊っつーか魔王軍の近衛兵っていうか】
【地球人類を守護するお仕事が待ってるよ♥】
【最前線の兵士さんたちよりも責任重大だぞ】
【おろろろろろろろ】
「ふむ……」
大量の火薬で、魔王軍の主戦力――その中でも主力以外は壊滅できた。
「UIさん」
【:】
【「守護られるべき存在」の「こちら」で引き受けるべき魔王軍戦力は】
【残り8万です】
【おお】
【めっちゃ減った】
【そりゃあ……】
【ねぇ……?】
【地球の通常兵力の大半を無制限かつ無限回復で投入してるもん……】
【これで無理ならマジで無理なレベルだし】
【よかった……歯も立たないとかじゃなくって】
【「守護られるべき存在」……?】
【ヒント:ユズちゃん、女神様のお気に入り】
【あっ……】
【※天井では上位存在同士の戦いが繰り広げられています】
【……うん! これでもまだ人類の届く範囲だな! 認識が及ぶっていう意味で】
「そうですか」
僕は、海を眺める。
円形に沈めた地形に満ちる海面の縁へ――もはや薄く広がる艦船。
あまり意味はないけども、たまにはぐれ転移陣から漏れてくるモンスターに対応するために小型艦に護衛された大型艦たち。
空は航空機によって完全な制空権の確保――ただし、上空高く、宇宙空間から降下し続けてきているドラゴンたちは、その上を占拠している。
「残ってるのは、はるかな上空……あとは」
僕は、正面に見すえるアリーナの観客席になっていた構造物――そのずっと先にある、「ダンジョンみたいな形の」立体構造物を眺める。
「――龍の巣。ドラゴン……モンスターの頂点、魔王軍の支配者層の本拠地。あれ、だけだね」
【そうか】
【とうとう……】
【ユズちゃんがうっかり配信で顔をのぞかせたのが、2年前 今や12年前になった、あの大惨事――それを引き起こした、元凶】
【かどうかはともかく、その一端だろうドラゴンの巣穴】
【それが、もう目の前か】
【ユズちゃん……】
【ありがとう】
【あの日以降、人類が本当の意味で安心できる日は、なかった】
【だって、「またいつあふれ出てくるか分からないし、またいつ大量発生するか分からないダンジョンそのもの」に、怯えていたから】
【でも】
【ああ】
【少なくとも――その発生源 そのひとつへ大打撃を与えたなら】
【人類が追われた土地も、いずれは……】
【魔界になった地域から、この国へ受け入れてもらいました元難民です】
【私たちは、世界のたくさんの人たちに この国の人たちに、助けてもらいました】
【だから、厚かましいとは思います】
【でも】
【どうか】
【私たちの、無念を】
【生まれ故郷を、死ぬ前にひと目という夢を】
【住めなくなった土地の両親から生まれた者です】
【僕は、生まれてから1度も故郷を見たことがありません】
【死ぬまで、両親の生まれ育った土地を 育つはずだった町の土を、踏んだことがありません】
【ですから】
【どうか】
【せめて】
【魔王軍へ 一矢を】
「……そう、ですね」
――――「ダンジョン配信」。
地球のみんなの――リアルタイムで見てくれていて、書き込んでくれた人たちの、想い。
僕は、それを――――――受け取る。
「……ねぇ。みなさん」
だから、言う。
【ああ】
【どうしたユズちゃん】
【何でしょう、魔王様】
【優しい、魔王ちゃん】
【俺たちの、姫】
【cho-choよ 私たちへ、光を】
――――――「魔王」。
「姫」。
「ちょうちょ」。
どれも、僕にとってはものすごく不本意な呼び方だった。
………………………………けれども。
今――――だけは。
「……故郷を。毎日の、安心を」
僕は、カメラを見る。
普段は忘れているけども、いつも見てくれている「君たち」を。
正面から。
「……故郷を。住み慣れた土地を。――大切な人を守って、取り戻す戦い」
【:】
【ユズの思考を、受信しました】
【――――――実行します】
しっかりと見据えて、僕は、言うんだ。
「それに……参加――――したいと、思いませんか?」