ユニコーンに懐かれたのでダンジョン配信します……女装しないと言うこと聞いてくれないので、女装して。 作:あずももも
【12年前の、あの日】
【友達が――目の前で、モンスターに食われた】
【当時はそう思っていたけど、よく思い出してみれば「ひと飲みにされる寸前に光っていた」 ……ノーネームちゃんたちのおかげでな】
【でも、居なくなった】
【俺たちの故郷は、今はダンジョンの中 仮に生きていても……もう、2度と会えないかもしれないんだ】
【子供のときから一緒だった犬が、同じくあの日に】
【人間は女神様に救われていても、家族ではあってもペットたちはどうか分からない】
【仮に救われていても……当時ですでに10歳だったから、もう……】
【せめて、どこかの世界で誰かに面倒を見てもらっていて 楽しく過ごして、老衰まで看取ってもらえていたら】
【幸せだったら そう、思う】
【勤務先が、ダンジョンの中にあった そうだ、魔界化だ】
【仕事仲間が、次々にパニックを起こして】
【どう逃げたか分からないけど、私だけが助かった】
【違う】
【見捨てたの】
【助けてって声を、聞かなかったことにして】
【あの日のことは、今でも悪夢として見ます】
【それが、贖罪だと思っていました】
【あの日、助かりはしたけど 瓦礫に、腕が潰された】
【気圧や体調の変化で、今でも痛むんだ】
【――それでも、ダンジョンでモンスターを刈り続けてきた】
【たった1本の腕でな】
【ぼくは、よく覚えていません】
【でも、ぼくの家族は僕を守って、全員この世界から消えたんです】
【孤児院の仲間はみんな同じだから、誰も言わないけど】
【お父さんとお母さんの顔すら、写真でしか分からないんです】
【あの日だけじゃない】
【地獄はむしろ、それからだった】
【崩壊するインフラ、悪化する治安 荒れる心】
【ノーネームちゃんやノームちゃんのないないも、万能じゃない】
【人間同士の争いや、もめ事でな 人が、死んだんだ】
【私の国は、あの日に消滅しました】
【小国でしたが、いい国だったんです】
【でも 首都が、まるごと巨大ダンジョンに】
【もう二度と、故郷の土を踏めないでしょう】
【帰ることのできない故郷 それが、とても悲しいです】
【あの日、ファンタジーが地球に現れた日】
【責任感のある人、無鉄砲な人、腕に自信がある人】
【そんな彼らが率先してモンスターを迎撃していた】
【うち、6割が「戻って来なかった」】
【残った4割の俺たちが……死に物狂いでダンジョン適性や適性職業、パーティーや階層の把握などを繰り返し 数ヶ月で、地元の平穏がうっすらと戻った】
【でも、間に合わなかった土地へは、今でも立ち入れない】
【モンスターの蹂躙で破壊された町は、再興こそしたけれども元には戻らない】
【なんなら俺の住んでいた土地は、今やダンジョンゲート前】
【今でも――地元のダンジョンへ入るとき、「ここは俺の家だったんだ」って思うんだ】
【ダンジョン配信】
【それも、下手をすると小学生すら入って戦う狂気の沙汰】
【あろうことか、それを興業に仕立て上げた連中】
【私は、ずっと憎んでいた】
【蔑んでいた】
【そんなものに乗っかり、あの日の苦しみを忘れている輩】
【なにも知らずに楽しそうに「アイドル」をする子供を、可哀想だと思っていた】
【でも】
【そんな私でも】
【俺でも】
【私でも】
【ぼくでも】
【儂でも】
【:】
【テイマー・ユズの回答です】
【皆様をテイムすることにより、レベルにバフを掛けることが可能です】
【推奨レベル:30】
【転移時から戦闘終了時まで、30未満のレベルを強制的に30としてステータスを底上げします】
【ユズちゃん……!】
【でも、魔力……そんなに使ったら】
【問題はありません】
【戦艦1隻≒】
【レベルが0の50万人です】
【高レベルほど不可は軽いので、問題はありません】
【ふぁっ!?】
【草】
【サキュバスすげぇ……】
【魔王だぞ】
【まぁ質量と重量を見るとね……】
【あー】
【ばかすか撃ちまくる戦艦の主砲弾をちょっとおかしい速度で装填させてるし、それにくらべたらまぁ……?】
【……てことは】
【ああ】
【え じゃあ、学生時代にダンジョン適性がないって言われた、俺でも】
【ぎっくり腰の四十路でも】
【二日酔いでガンガンしてる私でも】
【生牡蠣でマーライオンしてろろろろろろろろ】
【草】
【中学生の、俺でも】
【小学生のぼくでも】
【yes】
【テイムされ、戦闘する意思】
【それがあるのならば】
【子供でも、大人でも。ケガしてる人でも、お年寄りでも――誰でも、戦えます】
【所有する装備の着用、大歓迎です】
【高レベル、大歓迎です】
【パーティーごとの戦闘、大歓迎です】
【レベル0――適性なし、大歓迎です】
【転移時に最も高い素質に合わせた装備をお渡しします】
【ですので】
【:】
【最後の戦いへ】
【「特大のボスフロア攻略」へ】
【――――――奮って、ご参加ください】