ユニコーンに懐かれたのでダンジョン配信します……女装しないと言うこと聞いてくれないので、女装して。 作:あずももも
「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ――――――!? ゆじゅっ、ゆじゅきしぇんぱいおちるぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ――――――!?」
「理央ちゃん、ちょっと静かにしてようよ。耳が痛いよ?」
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」
「きゅ……」
「うるさいってばぁ、もう」
【草】
【悲報・理央様の扱い】
【そらそうよ……】
【もしかして:ユズちゃん、それなりに怒ってる】
【あー】
【あー】
【無意識にでも幼女退行時の恨みを……】
【草】
【こんだけ騒げるんなら大丈夫だろうし……まぁいいか……】
【すごいよな フリーフォールしながらこの声量を発してるんだぜ?】
【草】
【理央様……絶対何か異種族の血を引き継いでるでしょ……】
【:】
【血統】
【純血地球人類100%】
【えぇ……】
【ゆーあいちゃんありがとう】
【でも無茶しないでね】
【自分を労ってね】
【こんな理央様を封じ込めていたんだ、さぞ苦労しただろうし】
【現在進行形でユズちゃんからも酷使されてるし……】
【ぶわっ】
【草】
【ゆーあいちゃんかわいそう……】
【本当にな……】
僕へひっついてくる理央ちゃんの顔を引き剥がしつつ、そろそろ地面が近づいてきた。
「理央ちゃんって小さいころからそうだよね」
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」
「そういえば幼稚園でも言われてたでしょ? 『嬉しすぎると奇声を上げるのはやめましょうね』って」
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」
「中学生くらいになってからようやく収まってきたのに」
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」
「ほら、もう着くから口閉じて? 舌噛んじゃったらリストバンドで送り返されちゃうよ?」
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」
む。
今日の理央ちゃんは元気すぎるらしい。
「ダンジョンに潜ってレベルが上がっちゃったせいで、声の大きさとかすごいことになったもんなぁ……そろそろ治そう?」
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」
【草】
【草】
【地面がみるみる近づいてくる恐怖】
【ひゅんってする】
【こわいよー】
【唐突なスカイダイビングをさせておきながら昔話をしつつ恐怖によるだろう叫びについて文句を言うユズちゃん】
【あ、悪魔……】
【その親玉の魔王だよ?】
【そうだったわ……】
【草】
【リリスの血が騒いでからのユズちゃんってさ、やっぱ魔王とか魔王の姫ってワードにぴったりな価値観になってるよね】
【まぁさっき精神をロールバックさせられるほどのストレスを与えてた(破廉恥なおさわり)(全世界の前でセクハラ)理央様だし、かわいそうだけどユズちゃんとどっちもどっちかなって】
【もしかして:ユズちゃんと理央様、お似合い】
【そうか? そうか……】
【そうかも……】
【草】
【人間100%なくせに、ユズちゃんが魔王に覚醒する前まで幼女魔王を完封できてた理央様だもん たぶんユズちゃんと運命レベルでお似合いなんだろうよ】
【幼馴染みとして今まで散々良い思いしてきた分はがんばるんだぞ理央様】
【それはそう】
【あ、着地点に……】
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛おちるおちるおちましゅうううううぅぅぅぅ!!!」
――――――ふわり。
「ふべっ」
あ。
抱きつかれてたから抱きしめ返す形のまま静止したけど、僕の腕が理央ちゃんのみぞおちに。
……まぁ大丈夫そうだからいいや。
とにかくもうるさい理央ちゃんをなんとか耐えきった僕は、地面へ激突する寸前で羽を展開。
最速で、「ここ」へとたどり着いたんだ。
「柚希さん!?」
すでに固まって陣形を整え、戦闘をしていた――その後方で守られていたあやさんが、ごつくてかっこいい杖を両手に振り返る。
「ゆうちゃん、今!」
「――――すべてを失った私には、もう何も怖いものは――ない!」
ひゅんっ。
あやさんの先、のたうち回っているドラゴンさんへ――ひなたちゃんの大剣を足場に打ち出されている優さんが目に入る。
――かつて僕が憧れていた、正統派な剣士の戦いをしている優さんが。
【草】
【おかわいそうに……】
【声がかなり高い……これはハイになってるな】
【灰の間違いでは?】
【精神は灰になっているだろうな……】
【あれだけ何度も胃液まで吐ききったのに、レベルも高ければ精神力も強靱すぎたせいでリストバンドで離脱もできず、ちょっと休んだら復帰しちゃう哀れな優ちゃんが飛んでいく……】
【かわいそう】
【かわいそう】
【せめて……この戦いのあとはユズちゃんに癒やされて……】
【※ユズちゃん】
【もうだめだ……】
【草】
「あ、ゆずきちゃんだ」
「まおう」
僕に気がついたひなたちゃんの真横には、あやさんを守るように巨人の子までが居て。
「――――――ぴぃぃぃぃぃぃ」
「?」
ふと、上空から降ってきた声へ首を巡らせると、
「あ、チョコ」
小さいとはいえ、両手で包むとちょうどいい感じの金属の塊――それが空気を切り裂いて振ってきている。
――――――ぱしっ。
「よっと」
「ぴっ!」
僕の両手が、すごい音を立てる。
……これ、そのまま落下するだけでドラゴンさんも倒せそうな威力かも。
「チョコ、どこに居たの? まぁいいや、来てくれたから」
「ぴっ!」
「きゅ……」
なぜかおまんじゅうが変な声を上げていたけども。
――――――これで僕たちのダンジョン攻略パーティーメンバーの全員が、そろったんだ。