ユニコーンに懐かれたのでダンジョン配信します……女装しないと言うこと聞いてくれないので、女装して。 作:あずももも
「では――勇者」
「ああ……魔王」
ばさりと黒い翼を広げた2人。
お父さんと魔王さんが――急速に魔力を展開していく。
「……ユズ。我――私の、妹のために」
「柚希の――むす……め、のために」
まったく同じ声、まったく同じ後ろ姿――黒いマントを羽織っていて、黒い翼が大きくて、銀色の長い髪の毛が風ではためいていて――そんな2人が、僕たちの上に立ちふさがる。
【勇者と魔王……】
【魔王ちゃんが魔王ちゃんなのはそうだったけど】
【そういやユズパパ、ガチで勇者だったんだよな】
【だからこそ、魔王ちゃんがユズワールドを被弾しちゃった責任を取ってパパとしてユズちゃんを守って戦ってくれてたわけでね】
【草】
【草】
【今! いいとこ!!】
【シリアスちゃん「……」】
【シリアスちゃんが泣いちゃうでしょ!!】
【ごめんなさい】
【てかやっぱ魔王ちゃんの方がお姉ちゃんか】
【見た目も心もそうっぽいね】
【納得の年齢差……何歳差なんだ?】
【さぁ?】
【時系列的には ユズおばあちゃんがユズおじいちゃんと生き別れて傷心した結果、ユズねぇ、物心つく前に地球へそっと帰される→ユズねぇがJKサキュバスに覚醒して高校教師パパを突如として襲う→なんやかんやあってユズちゃん爆誕→ユズちゃん何歳時=12年前に魔界化した町でユズパパが勇者覚醒&魔王ちゃん(先代)に見初められて魂を捧げる?→魔王ちゃん爆誕? なはずだから、時間の流れが同じなら魔王ちゃんは12歳くらいでユズちゃんは17歳くらい ユズちゃんが……JK……? おかしいな、ユズちゃんはひなたちゃんより年下の小学生だけどお勉強はかしこいから飛び級して設定上の年齢がJKになっただけで、なんならむしろ12歳くらいなはずの魔王ちゃんよりも年下で、ていうか待って今どきの12歳って今の魔王ちゃんみたいにどう見てもJKで 脳が……魔法陣を展開していく……】
【草】
【草】
【かわいそうに……】
【あーあ】
【深淵を覗いてしまったか……】
【こわいよー】
【荒らしかと思ったらこの上なくユズワールドにかき乱された一連の流れを説明してくれてるのに、そのせいでいろんな矛盾点で羽ばたいてしまった被害者に】
【かわいそう】
【かわいそう】
【どうしてこんなことに】
【ユズワールドだよ?】
【この場にユズちゃんが存在するんだよ?】
【もうだめだ……】
【草】
【とりま、魔王ちゃんがユズちゃんのお姉ちゃんでTSユズパパがユズちゃんのお父さんでOK?】
【OK】
【それ以上考えてはいけない】
【時間軸の変なのとかはきっとユズワールドのバタフライエフェクトってことで】
【りょ】
【精神がユズワールドになる危険性があるから深く考えるな】
【草】
「……魔王」
「何ですか、お父様」
「実は、柚希は……いや、何でもない」
「? そうですか。魔法の展開、補助します」
「ああ……助かるよ」
【ユズパパ、なんかすごい魔法使うのに精一杯か】
【だろうな】
【ユズパパ ユズちゃんのこと考えてたらユズワールドに因果が捻じ曲げられるので気をつけてください】
【草】
【ほぼ唯一のストッパーだもんな……】
『『――――――――――――』』
真っ赤な炎に包まれながら落下してくるドラゴンたちが、空という空を覆っている。
さっきはチョコたちに守ってもらっていたけれども今はチョコだけになった僕たちの頭上以外のすべてが、最強のモンスターたちによる物量と質量の攻撃に包まれようとしている。
まるで、地上へ降り注ぐ流星群のよう。
普通だったら絶望するしかない光景だけど、
「――――――術式、完成。お父様」
「ああ」
魔王さんから差し出された手を、お父さんが握る。
そして、
「闇属性極大魔法――――――」
「光属性極大魔法――――――」
僕たちの真上が――チョコの傘の隅っこから見える光景が、突如として真っ黒と真っ白に包まれる。
【うおっまぶしっ】
【光量が】
【極大魔法て】
「――――――エビルジャッジメント」
「――――――デミ・ジャッジメント」
◇
「………………………………」
なんにも分からない時間が、終わったらしい。
「……ふぁ、ゆじゅきせんぱい……?」
「あ、理央ちゃん」
「きゅ」
「ぴ?」
疲れていたらしい理央ちゃんが目を覚ましていて、起き上がっているおまんじゅうの上にチョコが乗っている。
「……お父さんたちの魔法」
なんにも分からなくなる前のことを思い出した僕は、頭を上げて、
「………………………………え」
【 】
【 】
【 】
【 】
【そ、空が……】
【裂けている……】
【宇宙空間が……はっきり見えてる……】
【どころか、何個もある月……?の表面……】
【黒と白の光が何十個も炸裂し続けてる……】
【空一面……いや、大気圏外のあらゆる場所へ飛び続けてる魔法が、ドラゴンと思しき塊を巻き込んで……】
【ひぇっ……】
【おろろろろろろろ】
【これが……魔王の本気か……】
【ユズちゃんも充分やばかったけど……やっぱ本場の魔王は格が違ったか】
【お姉ちゃんだからね】
【もう、それでいいや……】
【まんまぁ! まんまぁ! あはははははははははは】
【そっとしてあげよう】
【ああ、音声入力と思しき断末魔が洪水のように】
【言葉を発せられるだけマシなんだ、労ってやろう……】
【お口をぽかんと開けてるユズちゃん&理央様を見て癒やされよう それしか希望は存在しないから】
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