ユニコーンに懐かれたのでダンジョン配信します……女装しないと言うこと聞いてくれないので、女装して。   作:あずももも

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667話 【朗報・家族愛の感動に全世界が泣いた】

「……ええと、だな……年寄りの頭で、なんとか話を合わせるとだな……」

 

まるでずきずきとしつこい頭痛を抑えるような顔をしている、おばあちゃんが言う。

 

【がんばって】

【ババア結婚してくれ】

【草】

【どう見てもユズねぇでしかないけど言動がちょこちょこおばあちゃんなおばあちゃん】

【でもサキュバス】

【ふぅ……】

 

【ババロリ百合もので探してるんだが】

【あるぞ】

【どこだ】

【お前ら……】

 

【ユズちゃん関係でしらべれば出てくるぞ】

【おお】

【これが……集合知……】

【人類の集合痴だわこんなん】

【草】

 

「魔族の中には、肉体ではなく魂の交配で次世代を成す種族も居る。というか、そちらの方が多い」

「へー」

 

【へー】

【そうなんだー】

【すっごーい!】

 

【しまった、急激に精神年齢が下降し出した】

【これが……ちょうちょの力……!】

【草】

 

「その中でも魔王様は特殊でな。『魔王』という種族とお呼びすれば良いのか……ともかく肉体と精神での交配はせず、見初めた魂とともに『座』という上位空間へ移行することで、この世界から減少した『魔王という概念』を補充する仕組みを利用し、魔王様と魂の伴侶の情報を取り込んだ次世代を降臨させるのだ」

「へー?」

 

【へー?】

【そうなんだー?】

【すごいんだー?】

【草】

 

【結構難しい話かな?】

【聞けばなんとなくは分かる】

【でもユズちゃんは】

【分かってなさそう】

【ユズちゃんだからね……】

【ユズちゃんのお顔と声を聞けば分かるだろ?】

 

「つまり」

 

おばあちゃんが――なぜか魂が抜けたみたいな顔をしてるお姉ちゃんと僕を交互に見ながら、言う。

 

「人間も淫魔族も肉体的な交配で父母の魂の一部を吸収して産まれる以上、お主らの父親の魂を経由している。人間の価値観ではともかく、魔族の私たちからすれば、魂の繋がった家族――これまでに前例はないが、紛れもなく魔王の家系よ。魔王様に従う者の大半はすでにそう認識しているのではないか?」

 

「へー……?」

 

【そ、そうなの……?】

【むずかしいんだね……?】

【わかんない! わかんないよぉ!! 分かるのに分かりたくなくってユズちゃんみたいになりたいよぉ!】

【落ち着け】

【かわいそうに……】

 

【あー、つまり?】

 

「……え、でも」

「ユズよ」

 

きりり。

 

ちょっと怒っているようなおばあちゃん。

 

「思うところがあるのは、理解できる。お前は人間として生まれ育ったゆえに、魔族に対しても魔王軍に対しても……聞けば、別の集団とはいえ魔王軍によって幼いころに故郷を破壊され、母親も重症を負い――その中で覚醒した勇者の父親までを奪われ、記憶も奪われていた。先代の魔王様に」

 

「え? あ、はい」

 

確かにそうではあるね。

 

「だがな」

 

おばあちゃんが近づいてきて――

 

「……姉妹というのは、望まずともなるものであり……望んでもなれるものではない。いくら望もうとも、その関係は……自分では、作ることはできないものだ」

 

ぎゅっ。

 

お姉ちゃんと僕を、抱きしめてくる。

 

「だから、な。……許さずとも良い。怖いままでも良い。だが……せめて、姉のことは姉と呼んであげてくれないか、ユズ」

 

【ぶわっ】

【おばあちゃん……】

【これはおばあちゃん】

【包容力がすさまじい】

【泣いた】

 

【見た目はお姉ちゃん≒おばあちゃん>>>ユズちゃんなのに、懐の深さでは圧倒的におばあちゃんが上……か】

 

【これが年の功ってやつか】

 

【しまった、ホームのお年寄りたちが取り上げていたスマホを俊敏に奪取してきて配信画面に復帰、投げ銭を再開してしまっている】

 

【ていうかユズばあちゃん出現後、およそ半数の入所者が自ら鍛え出して自力で歩けるようになってて……恋の力ってすごいなぁって】

 

【草】

【草】

【全国のお年寄りたちが元気に!】

【全世界だぞ】

【ユズばあちゃん、地球へきたら各国上層部から勲章とかもらいそう】

 

【未亡人ロリサキュバスって属性に加えて……この包容力だからな  単純に「人」としても尊敬できるよな】

 

【な】

【そら惚れるわ】

【見た目の中に眠る年齢に惚れ込んだおじいちゃんおばあちゃん】

【俺だって惚れるわ、こんなの見たら】

 

「魔王様」

 

抱きしめられてなんにも見えないけど、おばあちゃんがお姉ちゃんに話しかけているらしい気配。

 

「貴女様は、私たち淫魔族の仕える王であり、主――ですが同時に、孫娘の姉です。ゆえに……貴女様もまた、私の孫娘。この不敬を、お許しください」

 

「……いい、のか……? 私が、貴方の……家族だと」

 

「貴女様さえ、よろしければ」

「……そうか。そう、か……」

 

【ぶわっ】

【優しい世界】

【いい話すぎる】

【こんなに厳しい世界なんだ、せめてここだけは】

 

【厳しい世界(だいたいいつもユズちゃんのせい】

 

【優しい世界(だいたいいつもユズちゃんのせい】

 

【草】

【草】

【バタフライエフェクトの発信源だからね】

【ちょうちょ……こわいんだなぁ……】

【理不尽の塊だからね】

 

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