ユニコーンに懐かれたのでダンジョン配信します……女装しないと言うこと聞いてくれないので、女装して。 作:あずももも
「……貴女のことを……お祖母様と、呼んでも……? 本来なら父や母を持たない種族である、私が……」
「もちろんです、魔王様。……義理ではあっても、私の孫には変わりませんから」
【戦場で理解し合った祖母と娘……か……】
【素晴らしい……】
【この光景を遠くから守っているのが父親というのも、また……】
【ぶわっ】
【ユズファミリーは……こんなにも美しかったんだ】
【おばあちゃん……】
【泣けてきた】
【小さいころの、私のおばあちゃんとの思い出 なんで急に思い出せるんだろ】
【大切な記憶なんだろうな しまい込んでいても、一生忘れられないほどに】
【ぶわっ】
「………………………………」
どうしよう。
2人が、2人の世界に入り込んでいる。
まるで、小学生のころからずっと理央ちゃんとお母さんが本物の母娘みたいにきゃっきゃしてたり、最近では優さんとあやさんとひなたちゃんが家族みたいにしてたり……あ、今は家族だった。
や、でも。
そういうことじゃなくって、僕は言いたいことがあるんだ。
誤解を解けていないって感じている僕は、せめて理解してもらおうって声を上げて――――
「ユズよ。1度で良いから呼んであげてくれ。『姉』――と」
おばあちゃん。
「いや、でも」
「頼む。婆の……生涯で一度の願いだ」
「えっと」
魔王さんを抱きかかえたおばあちゃんが、悲しそうな目で見てくる。
そうじゃないんだ、ただちょっとだけ話させてもらえたら。
そう思うのに、なぜかまるで僕がすごく悪いことをしているような目を向けてくるんだ。
僕が口を開くたびに、言葉を被せてくるんだ。
僕、知ってる。
ああいうの、僕を悪者にするときのお母さんと理央ちゃんがしてくる、いつものあれなんだって。
「いいんです……私は、貴女に孫と呼ばれただけで……充分で……っ」
僕を涙ぐんだ目で見ると、泣きながらおばあちゃんにすがりつくお姉ちゃん。
だから、説明だけさせてほしくって。
「いや、その」
「良くあるものですか。……婆としてできることくらい、させて……ほしい。私の、孫娘のため……だから」
「………………………………!!」
【おお……】
【おばあちゃんが魔王ちゃんに対する話し方を】
【ぶわっ】
【涙が止まらない】
【家族として、ようやくに……】
【家臣の一族だったおばあちゃんが、不器用だけどおばあちゃんとして魔王ちゃんを……】
【種族も寿命も違う人間の男性と一生を添い遂げ、心の傷で娘を手放して】
【十数年のあいだ、後悔をし続けて】
【ようやくに出会った娘と孫娘、そして半分とはいえ血(魂)の繋がった孫娘とも出会って……抱きしめ合ったんだよ】
【映画化決定】
【もう全世界放映してるよ】
………………………………。
こういうとき、僕は女の子みたいな見た目だけど間違いなく男だなって心底思う。
お母さんとか理央ちゃんとか……優さんは比較的少ないけど、でもこうやって気分ですっごく泣いたりして何を言っても聞いてくれないか聞いても余計に泣いて、手の着けようがないんだ。
「ユズ。頼む。他の言葉は、なにも要らない」
「……ユズ……」
ああ。
たぶん、これはもうだめなやつだ。
僕の話したい発言は必要とされず、今、この場で必要な発言だけを求められてるんだ。
僕たち男は「女の子の感情ってこんなにすごいんだなぁ」って眺めながら、それっぽく乗ってあげるしかないんだ。
その後で落ち着いてから、機嫌が良くなってから話を聞いてもらうしかないんだ。
「……分かりました。お姉ちゃん」
【!!】
【ユズちゃんが】
【ついに……!】
【ようやく会話を理解できたか……天才の速度だね】
【草】
【ユズちゃんは独特の間を持っているからね ユズファミリー初心者の2人には難しかったんだよ】
「――! ……う、うぅ……ユズが、私のことを……!」
「婆の胸で良ければ、いくらでも泣くがいい……」
抱きしめ合う、お姉ちゃんとおばあちゃん。
聞きたかった言葉で、完全に感極まったってやつらしい。
【美しい……】
【この世界に救いはあったんだね】
【やはり……愛 愛こそ、平和への道標なのだ】
【感動した】
………………………………。
けど。
……僕が男――つまりは「弟」だって。
訂正できる……雰囲気じゃ、ないよね。
なんか2人とも、2人の世界に入っちゃってるし……。
何度も声を挟もうとしたんだけど、そのたびに邪魔されたし……。
「 」
「ぴ、ぴ」
ずりずりずりずり。
遠くの方でおまんじゅうを引きずって楽しんでるチョコだけが、僕の慰めだった。
【朗報・駄馬、引き回しの刑】
【素晴らしい……】
【今日は実にいいもの見た気がする】
【わかる】
【密度が濃すぎるんだよ、今日って日は】
【たまには、そういう日もあっていいじゃないか】