ユニコーンに懐かれたのでダンジョン配信します……女装しないと言うこと聞いてくれないので、女装して。 作:あずももも
「ふむ……そうだ」
しばらく上を見ていた――たぶんコメント欄なんだろう――おばあちゃんは、ぽんと手を叩いて。
「神々が私たち被造物を生み出したのは、近代の神々でも憶えていない遙かな昔のことと言う。神族の――幸いなことに絶滅していなかった神族の、先代から聞いたことではあるがな」
へー、神様にも近代があったんだ。
「その頃より何十万の世界を生まれ、死にながら移動し世界を渡り歩き増殖拡散してきたのが、私たちの魂。たとえばユズ、お前の生きて死んだ世界なぞ、それこそ千は下らないと思うぞ? なにしろ始祖の魂ゆえ、神々が被造物を創り出したそのときからのもののはずだ」
「へー?」
【速報・ユズちゃん、すっごく長生き】
【長生きではなくね?】
【魂が古いってことではあるか】
【よくわからん】
【増殖拡散って言ってるし、被造物っていう種族が増える過程で魂が新しく生まれてるとか?】
【そうなの?】
【さぁ……?】
「まぁ魂にも趣味嗜好はあるからな。だいたい同じ種族へ輪廻することが多いのだが……魔王様の吸血族や私たち淫魔族、長耳族や土精族、獣人族は似たようなものゆえ、おおよそはこれらを渡り歩いただろう。薄くとも淫魔族の記憶のある人間ならば、私たちの魅了を無意識で行使できてもおかしくはないだろうよ。もっとも、魔王様のような特殊な種族は少々違うのだが」
「ほー?」
ふむ。
……つまり。
「地球の人の中にも前世がいろんな種族やってる人が結構居て……そのうちで僕たち淫魔族だった前世を持つ人が、テイマーに?」
「そういうことになるな」
「おー」
僕は、仲間を見つけた気がして嬉しくなった。
【かわいい】
【かわいい】
【ユズちゃんかわいい】
【かわいいね】
【今、一瞬かしこいお返事してたのに……とたんにちょうちょな顔に】
【それがいいんだぞ】
【わかる】
【ユズちゃん、興味ないことはとことん興味ないからね】
【ちょうちょモード=省エネモード説】
【あるいは単純に疲れてるとか】
【あー】
【説明が下手だったり難しすぎる授業だと強制催眠術な、あの現象か】
【あー】
【あー】
【草】
【脳が理解を拒むんだよな】
【脳みそ動かすのってかなりエネルギー必要だからね】
【不要なことを考えないのは立派な生存戦略ってことか】
【なるほど】
【なんにも考えない――それが福音だったんだ なにも考えず知らなければ、俺たちがまさかの異種族な前世を持ってたとかいう現実を直視せずに済むから】
【草】
【脳が……理解したことを後悔している……】
【悲報・人類の一定数、元淫魔族】
【ああ、世界各地のSNSとかテレビ番組のあっちこっちで発狂してる人が……】
【そらそうよ……】
【この島国でもショッキングなんだから、他の文化圏ではなおさらなぁ】
【しかも肝心の種族が時代と地域によっては悪の象徴の淫魔だし】
【しゃあない】
【しかしサキュバスを前世に持つ地球人か】
【まぁ人間とえっちなことするための種族だし、親和性は確かに高いわな】
【子沢山になりそうでなによりな前世だな】
【近代以前はマジで有用な性質だよな】
【子供の数=経済力、しかも平均寿命が短い=子供の数が正義な時代にはな】
【それはそう】
【ちょっとばかりえっちなことが好きな子の前世はサキュバス……ふぅ……】
【↑インキュバスだったかもしれんぞ?】
【↑え、俺、男もいけるからむしろ興奮するけど】
【えっ】
【えっ】
【……前世はサキュバスで今世は男とか、さらに興奮する】
【えっ】
【ひぇっ】
【女装してくれたらさらに興奮するかもしれないな】
【えっ】
【!?】
【おろろろろろろろ】
【<URL>?】
【<URL>】
【<URL>】
【<URL> おいで】
【<URL> こわくないよ】
【<URL> SNSに自撮り上げてる? 教えて?】
【こわいよー】
【ひぇっ】
【草】
【一瞬で湧いてて草】
【これが地獄か】
【そうでないとでも?】
【なにこのサーバー……女装っ子に男の娘だと? 天国か?】
【登録した】
【えっ】
【しっしっ】
【やだ、この配信……魔境になってる……】
【元からだぞ?】
【そもそもユズちゃんがサキュバスな時点で】
【それはそう】
【もうだめだ……】
【誘蛾灯のごとくに変なのを引きつけてるユズちゃん】
【ユズちゃんだからね……】
【あれ? そういやさっき、ゆーあいちゃんが何か言ってたけどどうなった?】
【:】
【ユズが集中力を切らしています】
【草】
【草】
【アッハイ】
【かしこい】
【気配りのできるゆーあいちゃん】
【まぁちょうちょなときに何言っても、ねぇ……?】