ユニコーンに懐かれたのでダンジョン配信します……女装しないと言うこと聞いてくれないので、女装して。   作:あずももも

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71話 ふたりでさらにピンチ!

「あのイノシシ……ボア。 多分モーションはさっきのとそう変わらないよね?」

「うんっ……多分、気をつけなきゃなのは、追加モーション……あと、単純に突撃力が高い……」

 

ふたりきりの僕たち。

 

相手は、ボスモンスターたちのおかわり。

 

まだ戦うわけじゃないけども、僕たちは軽く構え、不意に備える。

 

「みんなで倒したとき……ひなたちゃん、どのくらいだった?」

 

「全然余裕だった。 けど、先週の中級者ダンジョンでモンスターの攻撃から防御したときは、手、ものすごくびりびりした」

 

「……ってことは、突進攻撃で吹き飛ばされるとひなたちゃんでも危険かもね……もちろん、ダメージ自体はかなり軽減できるはずだけど」

 

モンスターは、まだちゃんと寝ている。

 

こんな声出してても、やつらは「一定の距離まで近づかないと起きない」。

 

……さすがに罠踏んで……爆発の罠とか矢の罠とかが起動しちゃうと気が付かれるだろうから、足元には慎重にね。

 

「なら、戦うのは最後。 まずは警戒しつつ籠城だね」

「うん……あ、今日携帯食料、ちゃんと持ってきた!」

 

「うん、僕も。 とりあえず夜まで……朝までは持つね! まぁそこまではかからないだろうけど」

「りおちゃんならきっとすぐに来てくれるよね! あやちゃんもその後から来てくれるっ」

 

【ユズちゃんがかっこ良くて歓喜】

【ひなたちゃんも立ち直って良かったな】

【理央ちゃんがいない中、良く立て直せた】

【ユズちゃん、ほんと冷静ね】

 

【普段はあんななのに……】

【いや、普段から冷静なのかもしれないぞ  あのぼーっと具合とか】

【ああ……】

【良くも悪くもローテンションなのね……】

【ま、まあ、天然って悪いことばかりじゃないし……】

 

うん、ひなたさんは完全に立ち直った。

 

士気が上がったから、リスクを取るならすぐにおまんじゅうで先制攻撃しても良いとは思うけども……念のため。

 

――隠しボスだから、取り巻きがいるかもしれない。

 

そうなった場合、魔力切れで寝ちゃった僕が足手まといになっちゃう。

 

今日だって、何回か……なるべく節約してもらったけども、それでもおまんじゅうの攻撃で、僕たちの魔力は減っている。

 

それも含めて、何回でどのくらい……ってのを調べようとしたんだけど、それはまた今度だね。

 

「じゃあ、ここからはリスナーさんたちの知恵を借りて作戦会議だね。 あ、そうだ、光……理央ちゃんたちが今どこにいるのかってのも」

 

ひなたさんのことでいっぱいで、電波来てるって分かってても見てなかったスマホ。

 

それを取り出して――節約のために、まずは僕ので見ようって話し合って、そうしようとした。

 

けども。

 

「――――――ぎゅいっ!!!」

 

【!?】

【どうした急に】

【おまんじゅうちゃんが!】

【ユニコーン……確か、転送される直前にも】

【何か感じ取ってたのか】

【けど、今さら何が起きるって】

 

『――――――■■……眷属よ。 威力偵察なさい』

 

「………………………………?」

 

誰かの声?

 

何かが聞こえた気がしたけども、その直後に響く声で鳥肌が立つ。

 

「――――ぶもぉぉぉぉぉ!!」

 

「……っ、おまんじゅうの声で……ううん、違う……けど、これだけ距離取ってるのにっ」

 

寝てたのに、急に起き上がって叫んでいるイノシシさん。

 

それと同時に部屋が明るくなって――。

 

「……っ!? ゆ、ゆずきちゃんっ!」

 

「……ひなたちゃん、大丈夫。 さっきの思い出して……落ち着いて。 僕たちなら、やれるから」

 

そこには――10を超える取り巻きが、思い思いの雄叫びを上げながら立ち上がっていた。

 

 

 

 

【悲報・ユズちゃんたち、隠しボスに遭遇】

【マジ?】

【しかも取り巻き居るタイプ】

【はよ緊急離脱しろって】

【それができないらしい】

【リストバンド、緊急脱出装置は2人分だから4つ……4つも同時に壊れるはずはないんだけどなぁ……】

 

「……ゆずき、ちゃん……ひなたたち……」

 

「………………………………」

 

ボスは、イノシシさん。

 

取り巻きのうち3体はイノシシさん……多分、色的に見たことあるから、強くてもこの前の中級者ダンジョンの強さくらい。

 

で、残りはスライムとかうさぎさんとか。

 

「……突撃タイプは4体。 スライムは遅くって、うさぎさんは……もう何回も倒したよね?」

「う、うん……おんなじ強さかどうかは分からないけど……」

 

こういうときは、とにかく言語化が大切だって本に書いてあった。

 

つまりは「漠然と怖い」から「これはこれはこんな感じで怖い、これはそんなに恐くない」って分ける。

 

そうすることで、パニックを抑えられるんだって。

 

……僕はそうやって、今でも普通に立っていられてる。

 

「ひなたちゃんはどっちがいいって思う? ボス最優先か、取り巻きか。 取り巻きなら、遅いのと速いの」

 

パニックにさせないため、回答を限定的に。

ひなたさんができるだろう選択を、絞って答えさせる。

 

「……突撃は、何回かなら耐えられる……って思う。 けど、剣を真横に、地面に刺して防御するから横から来られると……」

 

……今のひなたさんは、ボスからの突進を大剣での防御することしか考えられない。

 

うん、その情報で充分だ。

 

「……つまりはひなたちゃんに真正面からのをガードしてもらって。 後は僕たちが数を減らして……ね? おまんじゅう」

 

「きゅい!」

 

できることは、限られてる。

モンスターたちも、あと数秒で走ってくる。

 

「時間は無い。 これで行こう」

「で、でも、もしひなたがガードできなかったら……」

 

剣を構えるも、ちらっと振り返ってくるひなたさん。

 

「――大丈夫。 ちゃんとやれば、真っ正面からのは防げる。 僕は、ひなたちゃんを信じてるよ」

 

「……うんっ!」

 

【ロリが強い】

【数秒で決めるとか】

【しゅごい】

【いつもおどおどしてるユズちゃんがこんなに……】

【こうして見ると確かにひなたちゃんより数歳上なんだな……】

 

【モンスターの強さ、遠くて全部は分からないけど……確かにボス以外なら、ユニコーンのレーザー攻撃で倒せそう】

 

【ユズちゃんの魔力が持つかどうかに掛かってるか】

【取り巻き倒せても、本命がなぁ】

【倒すしかない  俺は、応援してる】

 

「……ありがとうございます」

 

ちらりと見た画面では、みんな真剣にどうすれば切り抜けられるか話し合ってくれてるらしい。

 

……じゃあ、期待には応えないとね。

 

それが、配信者ってやつなんでしょ?

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