ユニコーンに懐かれたのでダンジョン配信します……女装しないと言うこと聞いてくれないので、女装して。   作:あずももも

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87話 また会った男子たち

今日の帰りは、僕ひとりだ。

 

駅までは光宮さんと一緒だったんだけども「ちょっと下着を買いたくて」って言い出す気配がしたから逃げ出したんだ。

 

……だってあの子、もういい歳なのにいつまでも僕を誘って下着買いに行くんだよ……?

 

女性用下着売り場に引っ張って行くんだよ……?

なんで……?

 

……百歩譲って。

 

いや、千歩譲って……スカート姿のときはまだ良いんだ。

 

元々ズボンでも半分くらいの確率で女の子って見られちゃうし、今は髪の毛も伸びててさらに見られがちだし……良くないけども、まだ良いんだ。

 

でもさ?

 

僕、男だよ?

 

女性用下着売り場とか言う、男が入っちゃいけない空間に堂々と連れ込まれてさ?

 

「これどうですか?」って1個1個自分の体に当てて感想聞いてくるんだよ?

 

うん、分かってる。

僕は男扱いされてないって。

 

でも……恥ずかしいじゃん。

僕だって恥ずかしいよ?

 

男だもん。

 

中学のときにこれやられて、たまたま同じクラスの女子たちが来て、それからは女子たちも一緒に誘ってくるようになって。

 

「柚希くんにはこれが似合うんじゃない?」とか言いながらぱんつとか僕のおまたに当ててくるし……どさくさに紛れて触ってくるし。

 

男子も女子も、冗談で触ってくるのは小学校のころから変わらないんだよね。

 

光宮さんも光宮さんで、2人でいるときとかはよく転びかけて僕のおまたに手を突っ込んで来ちゃうし、そのせいで余計に光宮さん=ぶにっと握られる感触ってイメージついちゃってるし。

 

なんであの子、毎回僕のズボンとかスカートとかぱんつずらしてくるんだろ……。

 

「きゅい?」

「ぴぴぴぴぴぴ」

 

今日だってきっと、いつもと同じように連れ込む気なんだ。

 

「男の子の感想が聞きたいんです!」って、試着室から着て見せてきたり……は、中学までだったけども。

 

僕の方からNOを突きつけてなんとか止めてくれたけど、でもやっぱり僕は男じゃなく「幼馴染みの弟分A」扱いなんだ。

 

……それが恥ずかしいから止めてもらったのに、今日はなんだか連れ込む気まんまんな気配だった。

 

だから改札前の一瞬でさっと隠れてやり過ごしたんだ。

 

光宮さんは鬼電して来てたけども、ちょっとしたら諦めて……いつものバスに乗って駅から離れていくところまで確認して、ようやくにほっとひと息。

 

今日もまたいろいろあったから、ちょっとひとりで居たいなって思った僕は、歩いて……40分くらいかな、の車道沿いをてくてくと。

 

「あー。 ひとりって良いなぁ……」

「ぴ?」

 

「あ、君たちも一緒ね」

「きゅい!」

 

腕の中じゃ、とっくに仲良くなって何かしらのやり取りをしてるらしい2匹。

 

……そうだよね、2匹なんだ。

 

今朝までみたいにおまんじゅうがこっちをぐるんって見上げてくる頻度もかなり減って気が休まるんだ。

 

でも、ひとり。

人間は、ひとり。

 

それはとっても気が楽で落ち着く時間。

 

普段のお母さんは具合が悪いからそこまでじゃないけども、今みたいに元気だったりするお母さんとか、光宮さんとか……とにかく女の子と一緒だとずっと話し続けなきゃいけなくって疲れるんだ。

 

疲れるから、ついつい集中力が切れちゃってぼーっとして、集中力が復活するまで何を考えるまでもなくそのへんを見たり聞いたりしてるんだ。

 

……そんなとき、お母さんならただひとりで延々しゃべっててくれるけども、光宮さんとかは聞いてるか確認してきて強制的に話に戻してくる。

 

疲れる。

 

……慣れてるし、僕も話すの嫌いじゃないからいいんだけどね。

でも、男はひとりでぼーっとしたい時間が女の子より多いんだ。

 

「あっ」

「あの子……!」

 

そうだ、僕は男なんだ。

 

男はひとりでぶらり……学校なら、ふと歩き回ってみたり、ジュースとか見に行ったり図書室に行ったりするし、そうしていても平気だし変な目で見られない存在。

 

まぁ小中高と、休み時間のたびに光宮さんが来るから無理だったんだけどね……去年は高1と中3で学校が離れてたから楽だったなぁ。

 

「あ、あのっ……」

「俺たち……!」

 

「くすっ」

 

「あ゛っ」

「あ゜っ」

 

……光宮さんが「何が何でも飛び級制度を使って同じ学年になりたいし、でも後輩の地位も捨てがたい」って騒いでたのがおもしろかったっけ。

 

光宮さんの学力なら高3にでもいけそうだったけども、最後は「やっぱり幼稚園から一緒の友達たちが居るから」って止めてたっけ。

 

「……ここで落ちたらせっかくのチャンスを……ゆ、ゆゆゆゆ……」

「……すぅっ……あ、あのっ、ユズちゃ……さんっ」

 

「あ、はい」

 

ぼんやり考えて歩いてて、多分ちょっと前にすれ違ったけども知らない人だからって会釈だけした人たちから声をかけられる。

 

……あれ?

 

今、僕の名前を……。

 

「お、俺たち、この前の……」

「お、覚えてるかは分からないけど……」

 

「……ああ! あのときはありがとうございましたっ!」

 

「う゛っ」

「う゜っ」

 

もう1ヶ月くらい前になるのかな、おまんじゅうと出会った日。

あの日に駆け付けてくれていろいろ教えてくれた男子たちだ。

 

「あなたたちもこの道を……あ、そうですよね、あの近くですから通りますよねっ」

 

「あ、あ、あっ……」

「そ、そそうなんだ!」

 

僕よりも頭1個分背の高いって言う、高校生男子としては平均くらい?の男子たち。

 

やっぱり僕とは違う制服を……なぜか首元までシャツのボタンをきっちりしめているっていう、礼儀正しい人たちらしい。

 

……生徒会とかの人なのかな?

 

首元って大体みんな外してるけども、委員長さんとかは休み時間でもきっちりしめてるよね。

 

登下校でもこうなんだ……すごいなぁ。

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