ユニコーンに懐かれたのでダンジョン配信します……女装しないと言うこと聞いてくれないので、女装して。   作:あずももも

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88話 男子たちとナンパと

「……わぁっ、配信観てくれてたんですか! 嬉しいですっ!」

 

「あ゛っ」

「あ゜っ」

 

なんで僕の名前知ってたのかって思ったら、配信を観てくれてたんだって。

 

そうだよね、この人たちなら僕の顔知ってるし、おまんじゅうのことも見てたから……配信で見かけたら僕だって分かるよね。

 

けどなんかちょっと恥ずかしい……けど、嬉しいな。

知ってる人が地元に居るって。

 

「くふふっ……」

 

「    」

「    」

 

あ、やばい。

 

せっかく会えたからお礼言わなきゃなのに、変ににやけちゃって……それを隠すので精いっぱいだ。

 

「きゅひっ」

 

「……え、えっと! あのとき助けてくれたので、こうしておまんじゅう……このユニコーンとも一緒に冒険できてます!」

 

「あ、ああ……」

「それは……良かった……」

 

ふぅっとひと息……よし、大丈夫。

 

「ぴ」

 

「あ、この子は今日仲間になってくれたシルバースライムで……」

 

なんだか嬉しい僕は、気が付いたら普通に話してた。

 

僕は普通の男子高校生だもん。

 

最近は同世代で同性の相手って言ったら田中君くらいしかいなかったから、なんだか嬉しくってついつい口が動いちゃう。

 

「でね、ひなたちゃんが……あ、ごめんなさい! つい砕けた話し方しちゃって!」

 

「い、いや……」

「いい……」

 

そうだよ。

 

この人たちは……多分部活とか委員会帰りかな、休日だし……歩いてる途中だったんだ。

 

きっと運動して疲れてるんだろうし、僕も今日のでそれなりに疲れてる。

 

魔力切れを1回起こしたからか、どうにもぼんやりするし、なんかぽわぽわするし。

 

「ぴぴ」

「……ぎゅい……」

 

「? おまんじゅう……チョコ、なんで機嫌悪いの?」

 

「――ちょいと失礼? 子猫ちゃん」

 

「チョコ……も震えてるし、おまんじゅうも……こーら、外では静かにしなさい!」

 

「ねえかわいこちゃん、オレと一緒に……」

「こーら、なんでもぞもぞするの……やんっ! こらぁ!」

 

「    」

「    」

 

「……え、えっと……キミぃ、聞こえてる……?」

「あ、はい、ごめんなさい」

 

立ち話してる僕たちに近づいてくる人が居たのは結構前から分かってた。

 

だって何もない大通りだし、田舎だからこういうとこ歩くのって近いお店から出て来た人とか学生くらいだし。

 

だからそろそろ挨拶しなきゃなって思ってた2人と一緒にわきに寄ったんだけども、なぜかその人は僕たちに話しかけてきてるらしい。

 

「?」

「ああ……近くで見ると想像以上に……」

 

「ぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴ」

「ぎゅい……!」

 

背の高い男の人。

 

テレビのインタビューとかに出て来るような、いつも彼氏作ってるタイプの女子が好きそうな人。

 

多分大学生。

金髪で、すらっと高い背丈。

 

「良いですか? 柚希先輩! こーゆー人はチャラ男って言って、柚希先輩みたいに気の弱そうな女の子を食べちゃう悪ーい人なんですからね!」って言われたような感じの人。

 

でも大丈夫。

僕は男だから食べられたりしないもん。

 

じゃらじゃらとアクセつけたりしてるのは格好いいし、顔もイケメンってやつだとは思う。

 

けども、僕は男だから特には……嘘、嫉妬はするかな。

 

「あ、君たちは帰っていいよ。 田舎男子たち。 オレはこの子に話しかけてるだけだから」

 

「……俺たちだけが知ってた子が……」

「目の前でイケメンにNTR……」

 

「? あの、何かご用が?」

 

さっきの男子たちはぶつぶつと……多分、都会のお洒落な年上の男って感じの人のオーラに圧倒されてる。

 

分かる、分かるよその気持ち。

 

僕も電車乗り継いで本物の都会に初めて行ったとき、僕の顔とか髪型とか服装とかがあんまりにもダサくって、消えちゃいたい気持ちになったもん。

 

そうだよねぇ……モンスタとかで、クラスの女子たちから流れてくるイケメンさんたちの動画とかはみんなこういう人だもんねぇ。

 

分かる。

僕もいつか、服装だけでもこんな感じのしてみたい。

 

「ぎゅいー……」

「ぴぴぴぴぴぴ」

 

「こーら、静かにしなさいっ。 お客さんの前でしょ!」

「オレは気にしないから良いよー? かわいいキミのこと守りたいペットちゃんだからね」

 

腕の中で不機嫌そうな声してるおまんじゅうと、ものすごく揺れて……振動してるチョコ。

 

その人は僕よりも頭1個半くらい上にあった視線を、屈んでおまんじゅうたちに合わせようとして……モンスターだって気が付いたのか、やっぱりちょっと距離取ってる。

 

そうだよねぇ、モンスターだもん。

 

見た感じはただのでっかいぬいぐるみ……と、その上に載ってる銀色の……アクセ?だけども、近づけば生きてるモンスターだって分かる。

 

僕が抱っこしてる時点でテイムされてて安全とは分かるはずだけども、それでも警戒はするだろう。

 

実際、抱っこしてて怖がる人もそれなりに居るし、明らかに嫌そうな視線を浴びたりもするもん。

 

……あんまり人の多いとこ、連れてかない方が良いかもね。

 

「……ねぇかわい子ちゃん」

「柚希って言います」

「じゃあ柚希ちゃん」

 

あー、やっぱ女の子って思われてる……まぁ今もスカートだし……。

 

「オレと一緒に、ちょっと良いとこでご飯食べたりしない? オレ、そっちに車止めてるから好きなお店とかあれば出すよ?」

 

「え、結構です」

 

「おやおや、警戒されちゃったかな? じゃあ電車なら」

「いえ、僕、お家で食べたいので」

 

ちっちゃいころからみんなに言われてる台詞――「知らない人に着いてっちゃいけません! 特にご飯あげる系!!」。

 

僕がちっちゃく見えるのか、年に何回か……知らない人からそう言われるから、さすがの僕でも着いて行ったりはしない。

 

でも、なんでだろうね?

 

こういう人たちって、ヒマだから一緒に食べる人探してるだけなのにね。

 

僕的にはOKだけども、あの田中君までしつこく言うもんだからその通りにしとかないと。

 

もし、こうやって着いてっておいしいものたくさん食べさせてもらって……まるまるしたお腹抱えて帰ったらすぐバレて怒られるもん。

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