ユニコーンに懐かれたのでダンジョン配信します……女装しないと言うこと聞いてくれないので、女装して。   作:あずももも

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9話 下見に来てみたダンジョン前

「わぁ……すごいねぇ」

「きゅい!」

 

動画サイトでおすすめに上がってくるダンジョン配信とかで観たことある光景。

 

ダンジョン前のショッピングストリート。

田舎なのに、ここだけ都会みたい。

 

そこに、僕たちは現実にいるらしい。

実感はないけどね。

 

ダンジョンの名前が付いたバス停からは、左右がお店で埋め尽くされてる繁華街。

 

この国の町なかで普通に武器がショーケースに飾られてる物騒さと一緒に、普通においしそうなレストランとかスイーツのお店とか、コンビニとかチェーンのブティックとかがぎっしり。

 

「こんなの、バスで1時間のモールくらいじゃないと無いのに……」

「きゅい?」

 

なんか駅前とかよりもずっと綺麗でおしゃれなんだけど……そっか、これ、都会だけじゃなくってこんなド田舎でもなんだ……。

 

周りの人たちのほとんどは何人かのグループ。

 

お昼前だって言うのに、まるでテレビのインタビューで出て来る都会の繁華街みたいにたくさんの人が居る。

 

しかも……若い人がたくさん。

 

いや、若いって言っても僕よりも上……高校生から20代くらいの社会人っぽい人たちだけどね。

 

それでも田舎じゃ貴重すぎる光景なんだ……だって基本、そのへん歩いてるのってお年寄りだもん。

 

「……ダンジョンに潜れないからって来たことなかったの損してたなぁ……普通に行きたかったお店とかあるし……」

 

まぁそのお店も、お金がないから見るだけなんだけどね。

良いんだ、見て楽しむお買い物だってあるんだから。

 

「見て見て、あの子かわいー!」

「本当だ……小学生……迷子?」

「ぬいぐるみを抱きしめた幼女……?」

 

ざわざわとうるさいのだけが困ったところだけども、繁華街ってのはこういうもの。

 

普段が静かすぎる田舎育ちだから、こういうのはガマンしなきゃね。

 

けどすごいなぁ……みんな、普通に武器とか装備して歩いてる。

 

良いなぁ、じゃあ僕も格好いいのを……あれ?

 

「……テイマーって……何するの……?」

「きゅい」

 

武器とか……使うの?

 

そう言えば詳しいこと知らなかった……だっててっきり今日教えてもらえると思ったから。

 

でも考えてみたら当然か、だってあの人たちはただのお役所の人たちだし。

 

けどテイマー……テイマー。

確か、懐いてきたモンスターに戦ってもらうスキル。

 

だからテイマー自身はそこまでの戦闘力無くても良いし、安全だからって「レアな神スキル集」に載ってた気がする。

 

「……じゃあ軽装備で良いのかな。 そうじゃないと歩くだけで疲れそうだし……」

「きゅいっ」

 

武器とか防具とかを売ってるお店を見て歩きながら考える。

 

「……でも高いよね……」

「きゅい……」

 

ディスプレイのは普通の服でも高いのがよくあるけど、それにしたって……ケタが違わない?

 

まぁ戦闘用だからって考えると、命の値段にしてみたら安いんだけどね……基本、死にはしないとは言ってもさ。

 

 

 

 

「わぁ……これがダンジョン……!」

「きゅい……!」

 

商店街……って言うよりは何回か行ったことある大都会の綺麗な大通りみたいなところを進んだ先には「ここから先は許可証のある方のみ」って書いてあるゲート。

 

その先にはでっかい洞窟みたいなのが見える。

 

どうやらあれがダンジョン……で、手前のは確か、手続きとかしたり荷物預けたりするところだっけ。

 

「今度、ここに来ようね」

「きゅい!」

 

今の僕は、その許可自体はあっても戦い方も知らないほぼ一般人。

 

それにこの子だってまだ赤ちゃん……幼体なんだ、どうせすぐには戦えない。

 

「早く大きくなって一緒に潜ろうね」

「きゅい!」

「あはは、なんだか返事してるみたい」

 

分からないなりに、僕の言葉に反応してそれっぽい鳴き声を返してくれる、かわいいおまんじゅう。

 

「んー、このふわふわが気持ちいー……」

「きゅいー」

 

もふっと背筋に顔をうずめると、顔がふわふわした毛と香ばしい匂いに包まれる。

 

「んー……」

「きゅいー……」

 

動物の毛って良いよね……あー、幸せー。

 

「やだ、あの子見て!」

「かわいい……」

「でもあの子、泣いてる……?」

「お人形さんと話してるだけじゃない?」

 

「こ、声かけた方が良いのかな……?」

「でもここダンジョン関係者しか来ないし……知り合いが出て来るの待ってるんじゃないか?」

「誰かとはぐれての迷子とか……」

 

「……きゅい」

「あ、ごめんごめん。 そろそろ行こっか……午後のシフトだし」

 

モフり続けて嫌われても困るから、もぞもぞしだしたおまんじゅうから顔を離してくるりとUターン。

 

「え、待ってかわいくない?」

「どっちが?」

「どっちも! って言うかあれ……何?」

「ぬいぐるみじゃね?」

 

「それにしては大きいような……」

「中型犬並みの大きさだし、ぬいぐるみでしょ。 じゃないとあんな小さな子が抱っこして歩けないよ」

 

「それもそうか。 しかしあのぬいぐるみの見た目、なんか気になるな……」

「ちょっとリスナーさんたちに聞いてみよっか」

 

けど……ちょっと居心地悪い。

だってみんなから見られるんだもん……ひそひそされてるし……。

 

これってあれだよね、僕のカッコがダサいからだよね……ここに居る人たちは格好いい装備か、僕が都会に行くときの格好より格好良いもん……。

 

「うう……」

「きゅい?」

 

ただでさえ背が低い上に成長してない顔つきで「お前、ほんっとうに女子みたいだよな」とか「人目の無い場所とか夜とかは必ず男と歩けよな」とか言われるし……。

 

「……もっと格好良くなりたい……」

「ぎゅい」

「ん?」

 

なんかおまんじゅうが不機嫌?

なんでだろ。

 

「おなか空いた?」

「きゅいっ」

「あ、戻ってる」

 

よく分かんないけど機嫌は直ったらしい。

 

「よいしょ」

 

多分抱っこし続けて居心地悪かったんだろうって理解して、ちょっと抱き加減を変えてみる。

 

「……あ、でも思ったより広かったから、バイトの時間……」

 

ずっと抱っこしてたから時計見るヒマ無かったんだけど、休憩ついでに膝に乗せて確認したところ……このままバイト先に急いでもぎりぎりだ。

 

しまった、楽しすぎて忘れてたよ……。

 

「……ま、まぁ、許可証あるし、懐いたモンスターなら悪さしないって受付の人も言ってくれたし……」

「きゅいっ」

 

しょうがない、連れて行こう。

 

ダメなら……バックヤードの外に繋いでおけばいいでしょ。

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