【急募】勇者トークンです マスターがヤンデレ精霊達に襲われない方法探してます   作:アラメシア

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作者より面白い発想してる読者がいることに悔しさと笑いを堪え切れません。

落ちていた何かの角って所から、どうやったらあの選ばれし種族しか使えない伝説の装備魔法を思い浮かべられるんですかね。


醒めない悪夢

     虚無、だ。

 

 何をするでもなく、天井(こくう)を眺める男が1人。

 

 与えられた役目すら放棄して、ただ日々を過ごすだけの生物。

 

 ……ああ、全くもって度し難いね。

 

 

「……」

 

 

 これについて、俺が言及するならば。

 

 無意味で陳腐な回想である、ということ。

 

 伏線なんてものは無く。

 

 たった1人の愚者が見たつまらない景色、その一端だ。

 

 

「……○○さん……」

 

 

 ……本当に、つまらなくて、度し難い奴だったんだ。

 

 

 


 

 

 

「……悪夢しか見ねぇな、最近は」

 

 

 誰か『醒めない悪夢』でもパカっと開いたのか?

 良いよなアレ、永続魔罠かフィールドか、はたまたテキストの暴力(ペンデュラム)が強くなった時に忍ばせとけば地味に仕事をしてくれる。

 

 使い過ぎたら野生の通り魔(バーン)に消し炭にされるけど。

 

 相剣はなんでバーンをするのだろうか?

 

 

「あったま痛えなぁほんと」

 

 

 なんて考えを巡らせるのは、俺がカードを握っていた時のお話であって、今じゃあない。

 今は剣を握るお時間なのである、思考を正そう。

 

 

「なんだっけか……ああ、角だ角」

 

 

 なんか炎属性(ヒータ)が見つけた拾った、とかのアレ。

 んー……。

 

 

「どっからどう見ても角、角だよな」

 

 

 かなり角だよこれ……じゃなくってね。

 

 ふぅむ、角付きについて心当たりがない訳じゃねぇけども。

 探しに行くほど暇がない、いや現在進行形であるんだけど油断できねぇってのが現状。

 

 

「持ち主見つからなくても、俺がやる事に実害ねぇしなぁ……」

 

 

 マスターのところに行かせない、ってのとこの角の持ち主が見つからない、ってのは別に関係ないし、特筆して探そうとする必要はない。

 

 

「クエッ!」

 

「ん? どうしたグリフォン」

 

 

 なんか咥えてる……手紙かこれ?

 

 

「……?」

 

 

 うちの頼もしきマスコット、グリフォン君を使いっ走りにするとは……いや、いつもの俺だわありがとね、助かってる。

 

 

「……げ、あいつからかよ」

 

「クエ」

 

「最近は音信不通だった癖に、今更何の用なんだか……」

 

 

 まあ要件に心当たりがないってことでもない、だって奴も精霊だし、性別は見ての通りお察しの通りだし。

 伝書鳩ならぬ、伝書グリフォン君が持ち込んだ手紙の差出人は。

 

 

「……アレの相手はめんどくせぇなぁ……」

 

 

 差出人はともかく、周りが強いんだよな。

 

 

「……まぁ中身読むか」

 

 

 

  拝啓、勇者様へ

 

 本日はお日柄も良く、心地の良い風が吹き抜けておりますが、いかがお過ごしでしょうか?

 このたびは  

 

 待て待て待て。

 

 

「誰だこいつ?」

 

 

 差出人から思い浮かぶ奴と手紙の字面の丁寧さが噛み合わん。

 この世界に季節なんてねぇから、手紙の書き出しの正しさとかはないし気にするだけ無駄だが。

 

 ……ちょっと歩けば気候(フィールド)変わるしな、うん。

 

 

「いや、想像はつくか……つくか……?」

 

 

 祈る者だし、細かい設定は知らねぇけど聖職者もどきなんだろうし。

 

 

「うーむ」

 

 

 ……この際違和感は無視してサッと読むことにしよう。

 文法だって詳しい訳じゃないし、というか日本文化に詳しそうなの絵描きのあいつらくらいしか思い浮かばねぇし。

 

 

 このたびは、そちらに向かう趣旨のご連絡をと思い至り、取り急ぎ文をしたため手紙を送ることにいたしました。

 

 

 ……なんであいつはそれをこのやり方で送ろうと思ったのか。

 別の意味で頭痛くなってきたな。

 

 ……うん?

 

 

「は? これだけか?」

 

 

 力尽きてんじゃねぇかあいつ、だーから慣れねぇことはほどほどにしておけって何度も何度も……。

 

 

「うちに来るってんなら、さっさと言いにくれば良いものを……」

 

 

 そう言う年頃か? 若いねぇ。

 ……あとで絶対恥ずかしくなる奴だろ、一思いに捨ててやるべきかこれ。

 

 

「日本文化を教えるなり、辞書的な何かを与えたのはあいつらとして……そっちは良いか」

 

 

 今回の件だと穏健派だし……てか、力尽きたあいつと言い、懐かしい奴ら揃い踏みか?

 

 

「……」

 

 

 あいつらが敵に、かぁ。

 ……色恋ってのは怖いねぇ。

 

 

「ま、俺には関係ねぇ話だが」

 

 

 憎まれこそすれ愛されることはなし。

 昨日の味方は今日の敵だ、それが戦友であれ、な。

 

 

「クエエ」

 

「……あ、そういやグリフォンも面識あったな、どっちとも」

 

 

 色んな意味で、こうなる前は面白いもんだったが。

 こうなるとも思ってなかった、ってのはそう。

 

 

「……待てよ?」

 

 

 今考えると。

 

 

「もう一つの方はともかく、なんで粛声(あいつ)勇者(俺たち)組み合わせてんだマスター」

 

 

 エクストラ使わないのに、組み合わせる利点どこよ。

 通常召喚できねぇとなると儀式に必要なカード素引き前提……ああいやそうだ、アレがあったわ。

 

 

「……『ワン・フォー・ワン』……ああ、そうだったな」

 

 

 壺やら施しやらで無理矢理両方のギミックを成立させるごり押し構築だったか、流石マスター……パワーカードを惜しみなく使うねぇ。

 

 

「……まぁどっちにせよ、今は昔のお話だよな」

 

 

 何が目的かはあいつのみぞ知る、俺は何が起こったとしてもそれに対応する……それだけだ。

 

 

「クエ……」

 

「ん? 俺は大丈夫だぜ、心配すんな」

 

 

 どことなく不安そうなグリフォン君を撫でる。

 うむ、今日もいい毛並みだ。




説明しよう、粛声勇者とは。

本来であれば祈り手ローちゃんを通常召喚したりして、儀式に必要なパーツを集めたりする粛声側のあれこれを、手札のモンスターと引き換えにレベル1モンスターを特殊召喚できる『ワン・フォー・ワン』と言う魔法を使って通常召喚せずに揃える、というコンセプトの構築である、正気の沙汰じゃないな()

当然ながら上記の魔法は3積み(本来なら制限指定の魔法)であり、他にも壺やら施しなどの禁じられたパワーカードを大量に振るうことで粛声と勇者、両方の展開をする為割と強かったりする、だからどうしたって話ではある。
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