【急募】勇者トークンです マスターがヤンデレ精霊達に襲われない方法探してます 作:アラメシア
大丈夫なのかしら。
「むぅ……!」
「なんだ、むっとされても俺は何もせんぞ」
「それもわかってるからこそ腹立たしいんです!」
ええ……。
レスバに負けたからってそんな、お前なぁ。
仕掛けたのはお前だし、諦めろ。
「変わんねぇなほんと」
「精霊ですからね」
「見た目からは想像できん幼さがだよ」
「……はあぁ!? 誰が子供ですか!」
「子供の方がよっぽどマシだろうが!」
こいつ、攻めっ気が高過ぎて常に攻撃表示だからな……一緒に戦った時、
「相手の体力は早く削るべきじゃないですか、マスター様は採用テーマ以外のカードで攻撃することを嫌うお方なんですから!」
「俺とグリフォンとローガーディアンで基本足りてんだろうが!」
「ドローの途中で回復する魔法をお使いになられたら足りなくなるじゃないですか!」
「それを加味しても絶対お前は攻撃しなくて良い、もやしだし」
お前の攻撃でリーサルに2ターンかかるのか、3ターンかかるのか変わるのであれば必要だろうが。
攻撃力50でできるのはダイノルフィアの息の根を止めることくらいだ、ほとんど要らん。
「あーっ! またもやし……って……」
「ん、どうした?」
急に固まる粛声のうるさいの。
俺の方……じゃない、ちょっとズレてるから俺の後ろか。
そこに何があるんだよ、精々水属性……あっ。
「……」
「……」
……エリア?
「どうしたよ」
「……いえ」
「お二人、仲が良いんですね?」
「言ったろ、腐れ縁だって。マスターの意向で割とよく組まされてたんだ」
「へえ、そうだったんですか」
「ああ」
ただのエリアじゃねえか、さっきのでトラウマにでもなったのか?
「……この水遣いさん似の女の人は結局誰なんですか?」
「水遣いさん?」
「俺の上司みてぇな存在、言うほど似てねぇだろ」
「こいつは霊使いってとこのエリア、水属性担当だよ」
「……よろしくお願いします、えっと……」
「そのうるさいのはロー。粛声っていうところの過保護愛されお嬢様」
「悪意だらけの紹介文に断固抗議の意を表明します!」
「棄却だバーカ」
「なあぁ……!」
うるさいのも過保護にされてんのも間違いねぇだろうが。
「勇者パーティで一番の無能のくせに!」
「所詮トークンに能力求めんじゃねぇよ」
「むむ、む……」
「……そういえば、他の皆さんはどうされたんですか? ドラコバックさんとグリフォンさんは見かけましたけど」
「知らん」
「え?」
「……他の奴らが暴れ始めるちょっと前から行方不明だよ。俺もどこに行ったのかわからん」
「え、それ大丈夫なんですか!?」
「少なくともゲートの向こう側には行かせてねぇ。お前らの心配する様なことはねぇよ」
「そうじゃなくって! 何か、大変な目に遭われているんじゃ……!」
「って言われても、ここから離れる気はねぇぞ」
「俺はここから先に誰も行かせん。それがトークンとしての俺の意地だ」
「……わからず屋」
「うっせぇ」
「心配じゃないんですか?」
「俺があいつらのためを思うんなら、ここで己の使命を果たすことこそ報いだよ」
「はぁ?」
「……?」
……あん? なんか言ったか俺。
ちょっと頭に血が上り過ぎたかね。
「ちょっと外に出てくる。……変なとこ見せて悪かったな、エリア」
「えっ、いえ……」
「トークンさん」
「ん?」
「大丈夫ですか?」
「ああ、大丈夫だよ」
☆
「……もうっ! あの頑固者! わからず屋! 石頭!」
「エリアさん!」
「何ですか?」
「お茶ありがとうございます! あの岩鉄男が淹れたのよりすごく美味しいです!」
「えっ、あ、どういたしまして……?」
「ぐ、ぬぬぬ悔しいです!」
「え、ええ?」
そう言って、突っ伏してしまう……ローさん?
なんだか、感情豊かな人ですね?
最初のイメージとは全然違う印象。
「公私で公を優先して、勇者さんに何になるってんですか……」
「使い潰れるだけじゃないですか、ばーか」
「……」
……この人、もしかして……?
「ふふ」
「……何で、笑うんですか」
「素直じゃないなあって思ったら、何だか面白くなっちゃって」
「嫌なんですね、トークンさんが傷付いてるのが」
「嫌に決まってますよ! あのおばかさんは昔からそうなので!」
「責任感に押し固められたおばかさんです、少しは私たちを見習って自由に生きたらどうなんですか!」
「あーもう! あの人のこと考えてたら怒りが収まりません!」
「あはは……」
……さっきのしおらしい所を見せるのが、トークンさんの前でなくて良かったなと思う。
でもその反面、こんな素直な人を悲しませてどうするんですかと突き付けて問い詰めたくなる私がいる。
ダメですね、こんな感情。
「しっかりしなきゃ……」
「エリアさんはどうしてここにいるんですか?」
「?」
「勇者さんの為に結界像を置いたり……マスターさんのこと、好きじゃないんですか?」
「好きですよ?」
別に、今でもマスターさんの意中の人が私になって欲しいと言う気持ちは変わりません。
「え、じゃあ何で……」
「トークンさんに勝てないからですね」
「……」
「勝てないから、現状維持に甘んじるしかなくて。それだったらもう、皆勝てない今が、私たちにできる最善なんです」
「まあ、最初は出し抜こうとか諦めてもらおうとか皆で考えたりしてたんですけど、トークンさんなので無理でした!」
「……なんか、素直じゃない人ですねぇ」
「え?」
「何でもないです。中途半端に自覚してない様な感じですけど、何かあったんでしょうか……」