【急募】勇者トークンです マスターがヤンデレ精霊達に襲われない方法探してます   作:アラメシア

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お前、強いだろ(震え声)

「……大丈夫そうですね」

 

「おう、今日はお前一人か水属性」

 

 

 キョロキョロと、周りを見回し、一息。

 いつにも増して苦労が多そうなエリアである、まともって報われねぇな。

 

 

「……今回の苦労はあなたの所為でもあるんですからね」

 

「心当たりがないな」

 

「……むぅ」

 

「そうむくれんなよ。俺はいつもいつも、お前らに苦労させられてんだからな」

 

「私達は悪くないです」

 

 

 こいつ……。

 ま、それもそう、って言える面もあるんだけどな。

 俺が優先したのがマスターの想いで、こいつらが優先したのは純粋な己の気持ち。

 

 少数派云々は抜きにしても、俺の方が異端であるのは間違いない。

 だからって諦めるつもりもないんだけど、辛い。

 

 

「……まぁ、今日はおそらく大丈夫です。行き道に結界像を置いて来たので」

 

「水属性の、ねぇ……」

 

「……なんですか、何か文句があるんですか」

 

 

 さっきからずっとムスッとしているエリア、怒んなよ。

 

 

「いや、水属性には常習犯がな」

 

「……?」

 

「こっちの話だよ」

 

 

 難敵であるルルカロス様のことなんだが。

 あの方強いし復活するしでただひたすらに強いんだわ、なんだよノーコスト蘇生って。

 

 烙印世界の氷水(ヒスイ)に、海晶乙女(マリンセス)……あいつらは穏健な方だが、油断してたら痛い目を見る、マジで。

 

 

「で、何の用だ」

 

「……何か用事がなきゃ、来ちゃダメなんですか?」

 

「あ? そういうことじゃねぇけど、お前一人で会話に来るなんてよっぽどだろ、だからだ」

 

「……」

 

 

 基本的にいつも団体行動だろう、お前らは。

 ……最近は妙にバラバラ行動な気がしなくもないが、気の所為だろう、うん。

 

 

「ウィンちゃんのことです」

 

「風属性?」

 

「そうです。あんなことになっちゃったのはトークンさんの所為ですよ」

 

「俺何かしたか? てか調子悪いのかあいつ」

 

やっぱり自覚無し……じゃなくて、ウィンちゃんらしいと言うべきなのかも……? いえ、そう言う訳じゃないですよ」

 

「取り敢えず、ここにはその文句とお礼を言いに来ました」

 

「……そうか」

 

 

 謂れのない気がしなくもないが、誰よりもウィンのことを知っているであろう奴らのエリアがそう言ってるんだし、間違いではないんだろう、うん。

 

 

「まぁ、ゆっくりしてけよ。敵にならなきゃ基本的には歓迎する」

 

「ありがとうございます」

 

「……そういや他の奴らは?」

 

「ウィンちゃんとライナちゃん、ヒータちゃんはいつも通りわちゃわちゃしてると思います、アウスちゃんは……部屋で実験、ですかね?」

 

「平和だねぇ……その日常の一欠片でも、こっちに分けて欲しいもんだが」

 

 

 一に戦い、二に戦い、三四に戦い五に戦い、だからな、割と真面目に。

 最近は霊使い達が来る時に結界像を置いて来るから、その合間だけ暇な時間が増えているが、平和とは偉大だな。

 

 

「敵視される様なことをしているトークンさんが悪いんじゃないんですか?」

 

「そりゃ、そうだがね」

 

「……というか、どうしてこんなことしてるんですか?」

 

「こんなこと、ねぇ」

 

「どうしたって、トークンさんがボロボロになるだけですよね、この繰り返しって」

 

 

 ごもっとも。

 あっちは負けた後に休憩する時間を取るなんてのは造作もないが、こっちは日ごとに違う奴を相手しなきゃならないからなぁ。

 

 正直、霊使い達との交流、と言う名の休憩がなきゃもうそろやばかったかもしれん、敵に塩を送ったな霊使い、言葉にはしないが。

 

 

「ふぅむ」

 

「今日まで、少なからず敵であるトークンさんと交友して来ましたから、悪い人ではないのも、他人の気持ちも……まぁ、例外はあっても尊重してくれる人だって、なんとなく分かります」

 

「……」

 

「でも、だからこそ理解できないんです、今あなたが門番として、この世界の精霊達の敵になろうとしている事実が」

 

 

 賢くて、他人を見ているエリアだからこそ、ってか。

 まあ至極当然の疑問ではあるしなぁ……まぁ、こっちもこう答えるしかないんだが。

 

 

「今、マスターにお前らを巡り合わせるのは危険だと判断したからだ」

 

「……襲うから、ですか?」

 

「そうだ」

 

「それの、何がダメなんですか?」

 

「それで悲しむ奴がいるからな」

 

「……じゃあ、負けたくないって気持ちは、間違いだって言うんですか」

 

「それは……」

 

 

 ……間違いじゃ、ないんだけどなぁ。

 

 

「マスターと触れ合いたい、好きになって欲しい、他の人より私を観て欲しい、そう思うのは間違いなんですか?」

 

「……違ぇよ」

 

「っ……じゃあ、なんでこんなことするんですか……!」

 

「誰もが、お前程真面目に考えてる訳じゃねぇんだ」

 

「……どういう、ことですか」

 

 

 その目に、はっきりと怒りを浮かべてこちらを見つめるエリア。

 

 

「夢は、夢だから美しいんだよ」

 

「……?」

 

「だからこそ、なんだよ」

 

「……」

 

 

 いや、俺だってこの役職を放り出せるのなら放り出したいけどさ。

 それで不幸になる奴だっているんだし……ねぇ。

 

 

「俺達は、人間じゃないだろう、()()()

 

「……そう、ですね」

 

「おそらくだが、お前らはマスターに願われたら、嫌なことでも許容する」

 

「……」

 

「それが、精霊って存在だし、しゃーない」

 

 

 転生とは言え、精霊である以上俺ですら、おそらく断らない、断れない。

 少なくともこの世界の精霊なんてのは、言ってしまえばマスターの為の存在だ。

 

 

「ま、だから俺はあそこに立ってんだよ」

 

「……一体、何を想定しているんですか」

 

「さて、ね」

 

「……」

 

 

 悪いな、お前にそんな顔をさせたくて言ってる訳じゃないんだが。

 

 

「……今日は、帰ります」

 

「おう、文句はまた今度受け取ってやるよ」

 

「っ……酷い人です、トークンさんは」

 

「はは、自覚はしてるぜ」

 

 

 ここまで、理不尽な理由で邪魔されてるってのに、怒らないのか。

 ……強いな、あいつ。




感想欄に新たな敵(美少女テーマ)を提唱する方が多い()
いつも笑わせてもらってありがとうございます(勇者トークン君の心労とか考えたことないんですか?)

提唱していない感想もわかりみが深かったりはえーってなることが多くて読んでて楽しいです、ほんとありがてぇ……アリガテェ。

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