ちょっと休憩
時系列気にしないでね
①テスト勝負
「はいはーい!今から抜き打ちテストを始めますっ!」
突然教室のドアから現れた、何故か伊達メガネを掛けて登場するユメパイセン。なんだなんだどした急に。
「テスト、ですか」
「うんうん!そろそろ入学して一ヶ月経つでしょ?だから今学期最初のテストをしようと思って!」
「参考書片手に徹夜で作ったんだ〜」と紙の束を封筒から取り出す。
チラっとホシノを見ると見るからに嫌そうな顔。さてはこいつ、勉強得意ではないのか?意外だな。」
「聞こえてますよ、アスカ」
「おっと、すまん」
「随分と私の事下に見てますが、アスカも自分のこと言えないんじゃないですか?見るからに脳筋っぽいですし」
ほぉん、言ってくれんじゃねえの?*1
「んじゃ、テストの点で勝負しようじゃねえか。勝った方柴関満足するまで奢りな」
「良いでしょう*2。受けて立ってやりますよ」
「ユメパイセン、科目は?」
「へっ?えっと、普通の五科目だよ?」
「じゃあ五科目全ての合計点で勝負だ。なんだったら得意科目の点数勝負でも良いぜ?」
「そんなことする筈ないでしょう。五科目、全ての点でそれぞれ大差を付けてやりますよ…!」
「……まぁやる気があるならなおよし!だね!*3」
翌日。
テストの日から一日が経過し、大きな紙を持ったユメパイセンが登校してくる。
「はい!ではテストの結果発表をします!昨日の時点で、ルールは5科目の合計点が相手より上回ったら勝利!敗者の罰ゲームは柴関ラーメンで勝者が満足するまで奢ること!」
「ふっ、アスカの吠え面が楽しみです」
「ククッ…」
オイオイホシノ、お前のその勝利の確信はどこから来てるんだよ?
「発表しまーす!」
そして、ゆっくりと大きな紙が黒板に貼られていく。
そして一番最初に見える、ホシノの欄。
小鳥遊ホシノ__398点。
「よしっ…!」
ガッツポーズするホシノ。さてはこれが人生の最高点数ってか?ククッ。
こちらを見ながらドヤ顔で見下してくるホシノを尻目に、俺はまだ開かれていく紙を眺める。
小さくユメパイセンが「ホシノちゃん…御愁傷様」と呟いたのを俺の耳は聞き逃さなかった。
つまり、この勝負…。
そして出てくる、俺の名前と点数。
東雲アスカ___500点。
俺の勝ちだ。
「ハァッッ!!?」
「クハハハハァ!!!!」
勝利!圧倒的勝利ィッ!!!
「んな、そんなバカな!」
「残念だったなァホシノォ!?どうだ、頭の出来が下だと思っていた奴に負けるのはァ!?ほらどうした?さっきのドヤ顔を見せてみろよ?なんだやり方がわからないのか?こうやるんだぜ?*4」
「う…うわぁ…」
「カッ…コッ……この野郎…ッッ!!!」
ほらほらどうしたそんな顔真っ赤にしちゃってマー?そんなに負けたのが悔しいんですkってっぶな!?
「おまっ、椅子は投げるもんじゃねえだろ!?」*5
「うるさい!お前なんか椅子の脚で【ピーッ!】!!!!!」*6
なんつーこと口走ってんだお前ェ!?
「あ、一応御科目それぞれの点数も書いてあるけど」
「今言うことか!?」
「ガルルルルッ!!…はっ、無効!無効です!」
「ハァン?」
何言ってんだコイツ。
「五科目の合計点じゃなく、私の得意科目で勝負です!」
「……お、おう。まぁそれで良いが…」
「私の得意科目は…これです!」
小鳥遊ホシノ・数学___98点。
「実は私は数学が得意なんで___」
「ほらよ」
東雲アスカ・数学___100点。
「なんっ!?」
「…あの、ホシノちゃん。アスカ君5教科で500点なんだから、当然全教科100点取ってるんだけど…」
「あ“っ」
………あー…うん。まぁキレ散らかしてたしな?冷静な判断ができねえのはしょうがねえよ。
「…まぁ、なんだ。今度勉強教えてやるからよ。ラーメンも奢ってやる」
「こ、今度一緒に勉強会しよっか?」
「ぐ…ぐぎぎ…そ、そんな惨めな事がありますか…っ!!?」
放課後。
結局己のプライドが許せないのか敗者として罰ゲームを受けたホシノは、例に漏れず柴関でラーメンわんこ蕎麦を繰り広げた俺の怒涛の勢いで増える金額に顔を青くさせ、財布の中身を空っぽにした。
翌日からホシノは真面目に勉強し出したという。
②豆知識
ユメパイセンが罰ゲームによって買い出しに行っている頃。
教室には机に足を上げながらルービックキューブで暇を潰している俺と、一応決められている一学期の範囲学習をしているホシノだけがいた。
カチャカチャ、カキカキ。キューブの動く音とペンの走る音が静寂を破る中、その空間に僅かな変化が起きた。
「…ん?」
「みゃお」
「お、黒猫」
教室の窓の縁に、黒猫が登って来た。
尻尾をゆらゆらと揺らしながら俺を見つめている。
ここの教室2階なんだけどな。まぁ気にすることも無いか。
「みゃん」
黒猫が窓の縁から降りて、教室を歩く。
歩いて歩いて、一回伸びをしたかと思えば、また練り歩く。
そして最終的に行き着いた場所は…俺の膝の上だった。あー、今足下ろそうと思ってんだが…まあええか。
「迷子か?」
「みゃ」
返事とも取れるような鳴き声を発して、この黒猫は完全に俺の上で丸くなる。
腹と腿に当たる体温が心地良いな。
一旦ルービックキューブから手を離して、黒猫に触る。
耳をちょいちょい、鼻をツンツン、背中を撫でる。意外とデリケートな場所を触っても気にしないのか、特に反応も示さずにゆったりとしている。
しばらく猫で戯れていると、ホシノが声を発した。
「…人懐っこいですね」
「誰かの飼い猫かもな。鈴はねえけど、ここまで人に懐く野良猫は見たことねえ。まぁそもそもこの砂漠地帯で猫なんて滅多に見らんが。どっから来たんだコイツ」
「一応、飼い主を探しますか?あまり居座られても、不幸を呼ぶっていう噂もありますし」
「それ迷信だぞ。そもそも黒猫が不幸っていう風潮は過去の人間が作り出したホラ話だ。色んな国では黒猫は幸運の象徴として扱われてんだよ」
黒猫は魔女とセットっつー固定観念のせいで一緒に狩られていただけのただの巻き込まれだ。
こんな可愛いらしい生物をどうして殺せるのかね。俺には昔の人間の感性がよくわからん。
「猫好きなんですか?」
「人並みにはな。あ、砂漠と猫と言えば、お前エジプトって知ってるか?」
「? いいえ、聞いたことないですね」
「古代の文献なんだがな。エジプトは大昔に存在した砂漠に存在する都市で、そこでは猫を神聖視する風潮があったそうだ。猫を模した巨大な石像や、猫の神様なんかもいたらしい」
「猫の神様…へぇ、物知りですね、アスカ」
「無駄な事は人一倍覚えるのが得意だぞ。例えばお前が偶に飲むいちごミルクとか抹茶ラテあるだろ。あれの着色料の材料虫らしいぞ」
「…え?」
「まぁ。虫っつっても毒もない安全なもんだけど」
「虫ってだけでゾワっとするんですが!?なんてこと教えてくるんですか!私さっきいちごミルク頼んじゃったんですけど!?」
「クハハ!どういう流れで言ってやろうかと思ったけどちょうど良い会話の流れがあって助かったぜ!最悪お前が飲んでる途中で言ってやろうかと思ってたんだがな!」
「死ぃねぇぇえええッッ!!!」*7