非日常的で日常的な青春の記録を刻む物語   作:よるくろ

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ヘルメット団

 

 

 

 ヘルメット団。

 

 キヴォトスのどこにでもいる武装不良集団で、名前の通り構成員は様々な形のヘルメットを着用している。

 

 派閥や分派が多く、そういった団では頭に“カタカタ”やら“ワンワン”やらが付く。

 

 その派閥数、なんとネットで調べても不明。何やら一人や二人といった少人数でも派閥扱いとなるらしく、どれだけの派閥があるのか分からない為だそうだ。

 

 昔から存在するその団による被害は、一日一回一ヶ所で見れば微々たる物。

 

 しかしチリも積もればなんとやら。一年の被害総額だけで見ると約数億円と、かなりの被害額となる。

 

 さて、何故俺がヘルメット団について説明しているか。

 

 それは今そのヘルメット団がアビドス高校に攻めて来やがってるからだ。

 

 

 

 

 

 

「行け!行け!校門を越えりゃ私達の勝ちも同然だ!」

 

「チッ、面倒臭えな…」

 

 手榴弾のピンを抜いて、遮蔽物から投げつける。

 

 数秒後に響く爆発音と悲鳴。しかしまだ気配がある。

 

 ダダダッ!

 

「ッチィ!マジで面倒臭えな!なんたってこんなボロ校舎に攻め入るんだクソが!」

 

 数にして127人。気絶したやつ含めりゃ194か。確かカタカタヘルメット団っつってたか。思い出せば原作のヘルメット団もそんな名前だったな。

 

 それにしても、なんたって今なんだ?原作じゃカイザーだとかの依頼で攻めてくる流れの筈だろ。…いや、まさか原作前からこの侵攻は続いてんのか?

 

 そういえば、カイザーの野郎はこの砂漠に宝探しかなんかをしに来た筈だ。その宝と言えば、この砂漠で活動するビナーか、もしかしたら存在するかもしれない、廃墟と同じようなオーパーツや遺産があるのかもしれない。

 

 しかし、マジであるかもわからんもん探す為にこんな手法でアビドスを攻撃するとはよ…無性に腹が立って来たぜ。

 

 まぁ、よォく分かったぜ。

 

 こいつらは、俺らの青春をぶっ壊しに来た悪だってことがな。

 

「こっちだ!このやろう、手こずらせやがって!だがもう囲まれたら何もできn___」

 

うるせえな

 

 バキッ!!!

 

「あっ…がっ…?」

 

 思わず神秘を込めて裏拳しちまった。まぁヘルメットに当たっただけだし、対してダメージはないだろ。

 

 地面に倒れ伏したヘルメット団を無視して、俺は神秘を激らせる。

 

 あぁ、暫くぶりだな。入学式以来戦闘っつー戦闘がなかったからよ、ここ最近は不燃焼気味だったんだ。

 

 でも、こうして向こうから喧嘩を売ってくれたんだ。

 

 なら高値で買ってやらねえと失礼だなァ? 

 

「折角遠いとこから来てくれたんだ、手厚い歓迎でもしてやるよ。…生きていたらの話だがなァ!!!

 

「う、うわぁぁあああ!!?」

 

 近くにいた奴から神秘を纏った拳をぶつけていく。ヘルメットだけに当てるように加減し、ヘルメットを粉砕させながら次々とぶっ倒す。

 

 飛び交う銃弾は完全に避けて弾き、銃床で殴りかかってくるやつはカウンターでヘルメットを殴りぶっ壊し、固まって攻撃してくる奴らは烈波でぶっ飛ばす。

 

「オラオラァ!ちっと気合いがたんねえんじゃねえかァ!?ウチ(アビドス)を堕とすならこの千倍は連れてこォい!」

 

「ば、化け物だァァアア!!?」

 

 誰が化け物じゃボケェ!ヘルメット粉々にすんぞコラァ!*1

 

「ひ、怯むな!距離をとって蜂の巣にしてやれ!あの着物野郎を倒せばあの学校は私達のもんだぞ!」

 

「俺を倒したきゃミサイルでも引っ張って来なァ!オラァ!」

 

「ぶごぁっ!?」「うごぁぁ!」

 

 銃をぶっ放す一人に腹パンをかまし、すかさず近くにいるもう一人に前蹴りを放つ。

 

 嵐のような銃弾が絶え間なく襲ってくるが、今の俺の身体が神秘で覆われている上に銃弾を目視で確認して避けているため、大したダメージにならない。

 

 マガジンを撃ち尽くして、漸くわかったのだろうか。ヘルメット団の一人が声をあげた。

 

「に、逃げろ!退却だ!アイツに銃は効かない!」

 

「クソチートが!なんたってあんな廃校にこんなバケモンがいるんだよ!」

 

「やってられっか!」

 

「んだァ?逃げんのか…()()()()()()()?」

 

 俺の横を通り過ぎて逃げようとするヘルメット団のヘルメットを掴んで、地面に叩きつける。

 

 その行動を見た一人のお仲間が、俺を責め立てる。

 

「な、何してんだよ!?私達は降参するって言ってんだろ!」

 

「なんか勘違いしてっけどよォ」

 

 最近会得した一点集中の烈波を指先から放ち、今にも逃げようとしていたお仲間をぶっ飛ばす。

 

「今逃したら、お前らはまた性懲りも無くここに攻めてくるだろ?俺も身は一つだ。俺がいない時にここを攻められりゃぁ万が一負けるかもしれん。だから…お前らを()()()()とする」

 

「見せ…しめ?」

 

 俺が逃さないと悟ったのだろうか、一人が声をあげて銃で殴り掛かってくる。

 

 振りかぶる銃を裏拳で弾いて、腹を蹴り飛ばした。

 

「お前らを再起不能に追い込み、色んなところに届けるんだ。お前らとは違う派閥だったり、他の武装集団だったり。良かったな、お前らが有名で、数が多くて。お陰で良い宣伝になりそうだ」

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()ってな」

 

「___う、うう、撃て!殴り掛かれ!アイツを倒さないと逃げられねえぞ!」

 

 ご丁寧に説明して、漸く俺の思惑に気付いたらしいリーダー格は、ヘルメット越しでも分かりやすく顔を青くさせて部下に命令していた。

 

 しかし、まぁ、あれだけボコボコにした上にこの宣言だ。アイツが命令したとこで、士気もなく消耗品もほぼ使った現状じゃ、俺に攻撃する余裕もないらしい。

 

 好都合だ。アイツらが動かねえうちに残りを潰せる。

 

 俺が地を蹴ると同時に動き出すヘルメット団。

 

 その数秒後には、喧しいくらいの悲鳴がアビドス高校に響いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 夜の帳が降りてくる時間帯。

 

 ()()()()()をアビドスの前に立てた俺は、校門の前でホシノとユメパイセンを待っていた。

 

 他の団員は僅かに生き残らせた*2残党に命令して持ち帰らせ、この話を他の不良集団や派閥に伝えるように命じた。

 

 俺がこの旗と十字架を立て始めた時は、まるで悪魔を見るような目で俺を見ていたな。ククッ。

 

 一応殺しはしないように緩めに縛ってあるし、餓死しないように保存食はある。

 

 見せしめだしな、()()()()()()()()()()()

 

 お、遠くで話し声。ホシノとユメパイセンか。

 

 俺は十字架の前から歩き出し、ホシノとパイセンを迎えに行く。

 

 向こうも俺に気付いたのか、俺に向かって小走りで来た。

 

「アスカ、まだいたんですね。遅くなってしまったので帰ってしまったんじゃないかと話してたんです」

 

「ごめんねぇ。電車の時間に間に合わなかったの!」

 

「気にしてねえよ。それより、二人が居ない間に中隊規模のヘルメット団が攻めて来たぞ」

 

「!?」

 

「が、学校は!?学校は無事なの!?」

 

 慌てて俺を問いただす二人。俺がここにいる時点で分かっているだろうに。

 

「中隊規模でもアイツら程度なら問題ねえよ。それより、校門の前に()()()を三日位作っておくからよ、俺が忘れてたら世話頼むわ」

 

「虫除け?」

 

「アスカくん、アビドスに虫はあんまり出ないと思うけど?三日ってどういうこと?」

 

「見りゃ分かる。んじゃあ俺ァ帰るぜ、また明日」

 

「は、はい。また…」

 

「う、うん。ばいばい、アスカくん」

 

 そう言って、俺は学校から帰る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《side ホシノ》

 

 

 どういうことでしょうか…?

 

「なんか、この辺りボロボロだね。ホシノちゃん」

 

「そうですね…中隊規模と言っていましたし、相当な激戦だったと思いますけど…」

 

 でも、アスカの服は少しヨレていただけでダメージを受けていた様子はなかった。

 

 それほどまでにアスカが強かったのか、もしくはヘルメット団が雑魚しかいなかったのか…。

 

 初めて会った日、確かアスカは私と一緒に襲撃して来たヘルメット団と戦った。その時は武器を持っていたけど、今日は持って来ていないった筈。まぁ持って来ていないのは異常なんですけど。*3

 

 だとしたら素手で立ち向かったということになるが…この辺りの惨状を見れば、とても素手で立ち向かったとは思えない。

 

 まるで手榴弾をやたらめったらに投げ散らかしたような…そんなクレーターが幾つもある。もう砂でほぼ埋まっているが。

 

「…あれ、学校の前になんかある」

 

 ユメ先輩の隣でこの惨状を眺めながら歩いていると、先輩が立ち止まって前方を見ている。

 

 私も立ち止まり、先輩のいう()()()を探す。

 

 …確かに、何かがある。夜風ではためく旗のような物と…十字架?それも大きい。

 

 先輩と一緒にそれに近づく。

 

 暗い視界に慣れて来たのと、上から照らされる月の光で、漸くそれの全貌が分かり…息を呑んだ。

 

「なに…これ…!?」

 

「___」

 

 その旗は、私達が最近よく見かけるヘルメット団の物だった。

 

 その十字架には、私達がよく見かけるヘルメットと___一人のヘルメット団が磔にされていた。

 

 下にはビニール袋がある。恐らく、アスカの言っていた()()の道具が入っているのだろうか。

 

 ダメだ、見たものが衝撃的過ぎて目の前の事に集中できない。

 

 とにかく、降ろしてあげなければ。

 

 隣で絶句していたユメ先輩を置いて、私は十字架の元へと駆け寄った。

 

 明日、説明してもらいますからね。アスカ…!

*1
不良

*2
誰一人として殺してないが?

*3
キヴォトスでは銃の未所持の人の数<全裸で徘徊する変態の数という方程式が成り立つ程銃が必需品となる






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