「…なんで、俺ァ生きてんだ?」
間違いなく致命傷レベルの爆撃を喰らったはずなんだが…意識がハッキリとしてやがる。
気絶して夢見てる訳でもねえ、現に倒れた視界からは爆撃による砂塵が見えるし、その向こうにビナーのでっけー影が見える。追撃が来ないとなると、向こうは俺の姿を確認できていないんだろう。
身体中が痛ェ。致命傷では無くとも、少なからず俺はミサイルの攻撃を食らったんだろう。耳鳴りもするし、視界も少しぼやける。でも、まだ動ける。
正直、ここで逃げれば原作も乖離しない…いや、パイセン逃した時点でもう原作からは乖離しているか。どっちにしろ、ここで逃げりゃ俺は助かるし、なんなら救助と合流して協力しながらアイツをぶっ倒してもいい。
でも、なんだろうな…それじゃ納得いかねえ。
アイツから生き延びて、パイセン逃して、アイツの攻撃を受けながらもこうやって生きてて、それで充分だと感じてる自分がいる筈なのに…ちょっとした俺の気持ちが、沸々とその考えを押し込んでいる。
アイツは突然現れたくせに俺らを狙った。俺の大事な奴を狙った。俺に危害を加えた。俺をこんな状態に陥らせた。俺に逃げという選択肢を取らせようとした。俺に恥を掻かせようとした。俺を不快にさせた。
それらの感情を、一言で表すとしたら…。
「全くもって“腹立たしい”」
あーあ、逃げりゃ良かったのに。そんな気持ちを抱く自分を心の中で掻き消す。
今すぐにでもアイツをぶん殴りたい。
ぶん殴って吹っ飛ばしたい。悠々とこっちを見ているアイツの顔面をベッコベコにしたい。
そう思えば、力が湧いてきた。
「覚悟しろやクソ蛇…目に物見せてやらァ」
頭上が光る。恐らくヘイローだ。
力が漲る。恐らく神秘だ。
アイツをぶん殴るイメージが明確になってくる。恐らくできる。
恐らくゥ?違ェ、絶対できる!
砂塵が晴れ、立ち上がっている俺の姿を見つけたアイツが動き出す。
今度は巨大な身体をうねらせた影響で発生する、砂による物量攻撃だ。
俺の目の前に砂の壁が迫るが…。
手を突き出し、
「烈波」
ドンっ!と俺の前方が円形に開き、俺の道を作る。
攻撃をいなされたと理解したビナーは次の攻撃に移ろうと身体を動かした瞬間。
俺の身体が既にビナーの顔面の前にいた。
『___』
「___死ねオラァッ!!!」
思っきし神秘を込めた一撃。
その一撃を放った俺ですら鼓膜が潰れそうな轟音が鳴り響き、ビナーの頭は砂の大地に倒れ伏した。
追撃。簡単に言えばアイツは戦闘用ロボットだ。攻撃のキャパオーバーなどで多少の硬直はするものの、恐らくものの数秒でそれは回復するだろう。
だから、回復から攻撃に移転するまでの約15秒か?そのくらいは追撃が出来るだろ!
更に頭上のヘイローが輝きを増す。
それに呼応するように身体から力が湧き上がる。
残り14秒。地面に着地するまでの時間が勿体無い。
残り13秒。周囲を素早く見渡し、後方に空間に違和感があるのを感じる。
残り12秒。
残り11秒。蹴りを放った脚に衝撃が走ると同時に、俺はビナーに向かって勢いよく射出された。
残り10秒。ビナーの横っ面に足から着弾した。
残り7秒。両手で頭部にラッシュを繰り出す。
残り4秒。普段使わないような量の神秘を使い、烈波を連続でぶっ放す。
残り1秒。最後の一撃として神秘を枯渇寸前にまで使い拳に溜め込み、全力で頭のど真ん中に叩きつけた。
今の間の攻撃でいくらか余裕ができたかもしれないが、15秒を想定とした攻撃の数々で神秘が枯渇気味になっている。早く離脱しねえと。
なけなしの神秘を足に回し、その場から跳躍する。
___目の前から、光が突如として発生した。
「なっ、マズ___っ!?」
アツィルトの光