さて、色々とゴタゴタがあったが、あの戦いから早三日が経った頃には既に落ち着きを取り戻していた。
順に話せば、あの後に神秘枯渇やら肉体疲労やらダメージやらで流石に倒れて気を失いかけた後、すぐにヴァルキューレを連れたホシノとパイセンが現場に来て俺を見つけてくれた。
『アスカッッ!!アスカ!大丈夫ですか!』
『アスカ君!』
何故か二人ともゲロ臭かったが、パイセンの無事を確認できただけでも僥倖だった。正直助けに来てくれなかったら多分死んでいただろうが、俺の思い通りに救助が来てくれて助かった。
俺の状態だが、全身の骨折に内出血、加えて僅かに脳の出血が確認されたらしい。
恐らくだが、脳の出血は呪術廻戦の原作同様、
つまり、俺には
まぁ、それは後で追々検証するとしよう。
要約すれば、俺は死闘の末に大怪我をしたが生還した。そして術式の存在を確認できた。そんなとこだ。
まぁしかしあの怪我を反転術式によって二日で完治させた時にはお見舞いに来た奴らは唖然としてたな。一番荒ぶってたのは俺の担当医だった。完治したってのにメスで解剖してくるとは思わなかったぜ。
そういうわけで、俺は三日目である今日が退院日だ。消費しきれなかった見舞い品を看護婦が持ってきてくれた紙袋に入れて手に引っ提げ、俺は受付前で医者との別れを済ませている。
「んじゃ、世話になった」
「いえいえ、とんでもない。我々は何もしていないも同然ですので、対したことは…」
「まぁ、医者顔負けだしな、俺の力。でも俺がマジでピンチの時は、そんときゃ助けてくれ」
「医者の誇りにかけて誓いましょう。では、お大事に」
「おう。世話になった。じゃあな」
深々と頭を下げる医者を背に、俺は病院の入り口へと向かう。あれで俺を解剖しようとしてきたんだから一瞬誰かと思っちまった。
何はともあれ、俺はこうして生き延び、アビドスへ帰ることができる。
さて…帰るか、
「ア“ズガグゥ”ゥ“ゥ”ゥ“ン”!!!!!」
「待って待て待て待て待て前に見たことあるぞこのシチュエ__うぐおぉぉおおお!?」
帰って早々にベアハッグだとォォ!!?*1
「やっと帰ってきましたか…」
「ほ、ホシノ…この状況をどうにか「嫌です」」
「アスカが帰ってくるまでの三日間、ユメ先輩ずっとこんなだったんですから諦めて責任とってください」
「マジかよ」
「マジです。というか二日で完治したって聞いたんですけど、なんで昨日帰って来なかったんです?」
「いや、許可もらってねえからだが…もしかしてお前も心配してたり?」
「___! だ、誰が!ふざけたこと抜かすとぶち殺しますよ!」
「んなブチ切れるか…?」
この会話の間俺はパイセンに抱きしめられながら持ち上げられている。なんだこの状況。
それから数分後、落ち着いたパイセンから解放された俺はようやく自分の席に座ることができた。
「あ“ーしんど、アイツの攻撃よりパイセンのベアハッグの方がダメージデカかったんだが?」
「ご、ごめんね?あの後から急に力の加減ができなくなっちゃって…」
「昨日一昨日はドアノブ笑顔で捻り千切ってましたもんね」
「だ、だって偶然だと思ってぇ!」
「ほーん………まさかねぇ」
それは多分、黒閃…の影響だろうなぁ。そらあんだけ神秘込めた上に格上の存在に向かって遠慮なくぶち込んだんだ、神秘の操作性とかその他諸々の上がり幅は半端ねえだろ。
見た感じ
あの戦いは望んだものではなかったが、同時に無駄ではなかった。ユメパイセンは強くなり、俺も劇的に強くなった。これでようやく原作キヴォトスでの強者の一角レベルには慣れたんじゃないだろうか。
術式、反転術式、神域展開…なんか最終編パックみたいな盛り合わせだが、今はまだスタートにすらなっていない。
原作へ向けた根回しや鍛錬、他にもやることが大量だ。
だが…。
「よぉーっし!アスカ君の退院祝いでラーメン食べ行こー!」
「ラーメン…アスカ…うっ頭が!」
「今日は私の奢りだから大丈夫だよ!絶対支払い切れるくらい財布に詰めてきたからね!」
「ほお?じゃあ加減せずに思いっきり食っていいんだな?」
「え?待って?アレ加減してたの?」
「四割くらい抑えて食ってたが」
「___」
「あぁ!ホシノちゃんがトラウマとか情報過多を引き起こして宇宙猫みたいになってる!」
「マジじゃん、おもろ」
そんな慌てなくとも、今はこの幸せな青春を味わってからゆっくりやればいいか…。
「なぁ」
「「?」」
口にするにはちょっとありきたり過ぎるが…
「ただいま」
これくらいが丁度いいだろ?
二人は笑い合い。
「おかえり、アスカ君」
「おかえりなさい。アスカ」