非日常的で日常的な青春の記録を刻む物語   作:よるくろ

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閑話 ①頼もしい後輩 ②やはり力こそ全て

 

 

 

 ①頼もしい後輩

 

 

 

 一年、という時間は案外あっという間に過ぎて行くもんだな。

 

 もう二年生でいられる時間も残り半分という折り返し地点に到達している。

 

 金も順調に溜まり、借金も滞りなく返し、後輩達の勉学に少し手を貸し、ほぼ機能していない生徒会の面倒臭い仕事も熟し、まぁなんだかんだで暇ではない日はあまりなかった日々だ。

 

 ユメパイセンも色々やらかしはしながらも順調に仕事をしているとの報せも来る。着実に、アビドスは良い方向に向かって行ってる。

 

 現に今日はなんだかやる気が出ない俺は、教室で机に脚を乗せながら腕をぶら下げて全力でだらけている。確か今日は自由登校な筈だからホシノや後輩達は気が向いた時に来るだろう。

 

「…ふー…」

 

 ァー…こうしてだらけていると、いつもの俺は働き者の部類に入るんだなァ…って思っちまう。実際そんな事はないと思うがな。

 

「ん、アスカ()()

 

「ォァ…シロコか、おはよーさん」

 

「ん、おはよう」

 

 時間も気にせずぼーっとだらけていると、いつのまにかシロコが横にいた。扉普通に開いているので、ただ俺が聞き逃しただけだろう。

 

「何してるの?」

 

「…なんか今日は全てに於いてやる気が出ねえから全力でダラけてる」

 

「…生乾きの洗濯物みたい」

 

 …あん?え?今の俺に対しての感想か?生乾きの洗濯物???

 

 ………生乾きの洗濯物???

 

 いや、いいか、理解しようとすればするほど分からなくなるやつだ。考えるのをやめよう。

 

「おめーは…なんで学校来たんだ?今日は自由登校だぞ」

 

「今日はなんだかんだでやってなかった学校探検。隅々まで見て売れる物がないか探す」

 

「おーう…まぁ頑張れや。ぜってーなんもねえと思うけど」

 

「ん、行ってくる」

 

 シロコが教室を出て、俺が残る。

 

 さて、また暇になったな。…暇つぶしにシロコの足音でも聞いておくか。

 

 アイツマジで隅から探すつもりなんだな、一階の端の教室まで行ってやがる。確かそこにあったもの既に全部売っ払った記憶があるんだが。

 

 あ、隣行った。確かそこも何もねえぞ。残念だったな。

 

 また隣に、また隣に。

 

「ん“ん”ん“ッッ!」

 

 イライラしてる。草。

 

 一階の全教室にある金目のものは去年で大体売ったからなぁ。あるとすれば三階の教室か二階の端っことかだろうが…あら、シロコが戻ってきた。

 

「ん”!何もない!」

 

「一階の金目のものは去年殆ど売っ払ったからなぁ」

 

「先に言って!」

 

「すまんな。でもウキウキしながら探しているお前の情緒が荒れていく様は聞いてて面白かったぜ」

 

「ん“ん”ん“ッッ!!!」

 

 地団駄踏むな、床が壊れる。

 

「うへ、なんか騒がしいねぇ」

 

 あ、ホシノ。

 

「はよ」

 

「おはよーアスカ。なんでシロコちゃん荒れてんの?」

 

「この学校に金目のもんがねえから」

 

「あ、なるほど…去年殆ど売ったからねぇ。アスカがいない間もちょくちょく学校全体を探して売ってたし、もうこの学校には無いんじゃないかなぁ」

 

「あるとしても廃材だろォしなぁ…ま、諦めて砂漠ん中のお宝でも探すんだな」

 

「…砂漠の中にあるの?」

 

「それ初耳なんだけど」

 

 あ?お前ら知らねえのか。

 

「パイセン見つけ出す時とかに偶に砂の中に…こう、なんだ?前衛的な小さいオブジェみてえのがあんのよ。それオーパーツの部類らしくてよ、ちゃんとしたとこに売れば…運が良けりゃ一個三十万とかで売れたぜ」

 

「三十万!?」

 

「なんでもっと早く言ってくんなかったのさ?」

 

「それ言ったらまたスコップ片手に水着で砂漠徘徊するだろ。ありゃもうゴメンだぜ俺」

 

「そりゃ…まぁ、私もだけど」

 

「あとオーパーツ見つけ出すんならオーパーツが出す雰囲気みてえなのを感じ取らなきゃならん。お前出来ねえだろ?自分のが邪魔して」

 

「あーうー…まぁ、確かに。感じ取れるようになってからは余計に気配の察知が難しくなったっていうか…」

 

「だから気配の消し方は身に付けとけって言ったんだ。盾持ちの前衛だからってあれこれ理由付けてサボりやがったんだから俺ァもう知らねえぞ」

 

 そう言うとホシノがバツが悪そうに頰を掻く。

 

「まぁどっちにしろ、私は盾持って前で暴れるだけだからねぇ」

 

「俺だってそうなんだがな…憖俺らで対処できるばっかりだから連携もできねえし。やっぱ戦闘は基本的に後輩共に任せた方が良いのかねえ」

 

「できる事ならそうしたいけど…うーん」

 

 そうなると並の生徒より毛の生えた程度の後輩共じゃ負ける可能性があるからなぁ…まぁそんときゃ俺らが出張りゃいいんだが…。

 

「ん、先輩達は私達に任せておけばいい」

 

「…」

 

「…」

 

「…ん、ん?な、なに?」

 

「いや、なんでも」

 

「私達の後輩は頼もしいなぁってねぇ」

 

 二人でシロコの頭を撫でる。

 

 シロコは戸惑いながらもくすぐったそうに受け入れている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ②やはり力こそ全て

 

 

「身体測定?」

 

「うん、連邦生徒会から来たんだけど、一応学校として成り立ってる学校だからウチにも来たんだよね」

 

 ぴらぴらと紙を揺らして、ホシノが説明する。

 

 どうやらどの学校でもやっている事らしく、アビドスも一応出せや的な書類が届いたらしい。

 

「どうすんだ?」

 

 お前は本気でやるのか?

 

「うーん…まぁ八割かなぁ」

 

 情報は漏らさない方がいいしねぇ…って感じか?

 

「俺を隠れ藁にしてもいいが?」

 

「それでも、でしょ」

 

「…ま、俺ァ全力でやらさせて頂きますっと。後輩らにももう話してんだろ?」

 

「うん、もう校庭で線引いてるよ」

 

「よっしゃ、いくか」

 

 

 

 

 

 

 

 

「よーい、どん!」

 

「ふっ!」

 

 ホシノの合図でシロコが飛び出す。

 

 絵面的には狩猟の場面だが、実は今50m走の最中だったりする。

 

 というかそもそもシロコに待ては出来ない。

 

「ふむ…まぁ分かってはいたが脚はシロコ、力はノノミか」

 

 見るからにデカいし小さいしな。

 

 あ、失礼な事考えちまったの察したのか笑顔でノノミがこっちを見ている。

 

 ホシノはまぁ…八割とか言ってたのに参考にならん記録ばっか出しとるしなアイツ。

 

 50m走3秒は程々じゃねえんだよ、握力も153kgとか舐めてんのか。そこまで行くんなら全力で行っても誤差の範囲じゃねえか。

 

 ったく、まぁ楽に塗り替えられる範囲だから問題じゃねえけどよ。

 

 さて、シロコが終わったし準備するか。

 

「さて…ダイジェストだ」

 

 

 ①上体起こし

 

「ホシノ、しっかり抑えとけよ」

 

「う、うん」

 

「うっし…いいぞ、ノノミ」

 

「は、はい(ホシノ先輩…顔真っ赤ですね…)」

 

「(うー、アスカの力だとしっかり掴まなきゃダメだろうけど…てかアスカってあんな怪力なのになんでこんな美脚なのさ…?産毛もあんま見えないし、触り心地良いし…っうわ!?)」

 

「(ちょ、ホシノしっかり支えてくれよ!?完全に上体にしか意識してねえんだから脚の支えがなくなると飛んでっちまうぞ!?いやだぜそんな物理現象起こすの!)」

 

「(…早過ぎて数え切れてるか不安ですねぇ)」

 

 記録 102回

 

 

 

 ②反復横跳び

 

 

「ぶわっぷ!」

 

「うっ!」

 

「きゃ!?」

 

「(だからもうちょい離れろって言ったんだよ)」

 

 記録 116回

 

 

 ③立ち幅跳び

 

 

「これってどう記録すんだ?」

 

「あー…確かに、それがあったらどこまでも行けちゃうもんねぇ?」

 

「…何もない。何を蹴ってるの?」

 

「まさか…(空気とか言いませんよね…???)」

 

「…まぁ測定不能でいいか。なんか文句言われりゃ直接見せにいきゃ良いだろ」

 

「じゃ、そうしよっか」

 

 記録 測定不能

 

 

 ④長座体前屈

 

「ほい」

 

「うっわ、やわらか」

 

「胸と太腿がくっついてる…」

 

「…」←一番悲惨だった人(部位)

 

 記録 56cm

 

 

 ⑤50走

 

「よーい…どん!」

 

「ふっ…っと、記録は?」

 

「…えっ!?え、あ、は、止めれませんでした!」

 

「…ん、目で見えない」

 

「マジか、良い切り出しだった感じしたんだがな」

 

 

 記録 (4回のやり直し)0.7秒

 

 

 ⑥握力

 

「…あー」

 

「これは…どうしたものかな」

 

「ん、廃品」

 

「スクラップですねぇ…見事に」

 

 

 記録 (装置の耐久不足の為)測定不能

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 とある日の連邦生徒会

 

 

「…んん?」

 

「どうしたんですか?リン行政官」

 

「いえ、以前連邦生徒会で発足した体力測定なのですが、不正疑惑、及び虚偽報告の可能性…というかそれにしか思えないものがありまして」

 

「どれどれ…アビドス?あぁ、あの砂漠化した学園ですか。…えぇ?」

 

「どうしますか?一度やり直しをさせてから連邦生徒会の施設で測定し直す事もできますが」

 

「うーん…まぁ、良いんじゃないですか?見栄を張るのも結構。逆にそれほどの強者が二人もアビドスという土地で引き篭もるのも結構。どちらにしろこっちに不利益があるわけじゃないので、それで通しましょう」

 

「…そうですか。分かりました」

 

「…小鳥遊ホシノさんの異例の記録に付随する、()()したことのない、現れるはずのない男子生徒。そしてその能力。…ふふ、もしかすると、この世界はより良い結末を迎える事が出来そうですね…」

 

 

 

 

 







 ???「お前のミスでした」m9(^Д^)

 
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