非日常的で日常的な青春の記録を刻む物語   作:よるくろ

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修正進化(グレード・シフト)

 

 

 うーむ…だんだん飽きて来たな。

 

 アビドスへの入学が待っている二ヶ月前に差し差し掛かろうとしている頃に、そんな感情が芽生え始めた。

 

 目の前には神秘を込めずともぶっ壊れていくオートマタの群れ。

 

 神秘を纏っていないただの拳や蹴りですら、コイツらは簡単に壊れていく。

 

 正直修行にもならん。精々朝の準備体操の方が有意義なくらいだ。

 

 確かに、コイツらは射撃精度や複数体での戦術練度、装甲の硬さなど…戦う度に少しずつ強化はされている。それはコイツらを操るAIの存在がそうしているのか、コイツら自身がそうしているのかはわからない。

 

 しかし、俺の前ではただただ無意味なのだ。

 

 どれだけ射撃精度を上げようが弾丸は目に見えるので簡単に避けることができる。どれだけ武器の威力を高めようが避けれる。どれだけ戦術を強化しようが、行動する前に叩き潰せる。装甲を硬くしようが、結局は破壊できる。

 

 そろそろ、本腰を上げてコイツらを殲滅するとするか?今まで世話になった分、俺の持つ力を全て使ってコイツらを皆殺しにしようか。

 

 …アリだな。結局コイツらはどれだけ行こうとも、近い未来に“先生”を、生徒を害する敵モブなんだ。ならば尚更壊す方が手っ取り早い。

 

 お、銃を降ろし出した。そろそろ数が減って来た頃合いか。

 

 目の前のオートマタが銃を下ろし、地べたで伏せる仲間の残骸を持ち始めるのを見届けて___。

 

 ガシャァンッ!

 

 神秘を纏った拳を叩き込んだ。

 

『ギ』

 

 その瞬間、他に動いていたオートマタの動きが止まる。なんだ、一丁前にこれしきのことで驚く感情があるのか?

 

「お前らとのお遊びはもう飽きた。これ以上の修行は意味がない。そろそろ俺の住処の掃除をしようと思っていたんでな。だから…」

 

「大人しくスクラップになっておくれ?」*1

 

 今になってまた戦闘モードに切り替え始めたオートマタ達を、地面に落ちている瓦礫を投げつけることで破壊する。

 

 上を見上げれば、残骸を回収しようと飛行していたドローンが、一斉に同じ方向へと飛んでいく姿が見える。

 

 あれについていけば、このオートマタ共の巣に辿り着けるのかな?

 

 口を歪ませながら、俺は廃墟の街並みを跳躍して飛んで行きながら、ドローンの後を追った。

 

 

 

 

 

 

 

「あ、アレ?彼なんか“廃墟”のオートマタ残さなくなっちゃったよ?」

 

「ずび…へっ?な、何故…」

 

「なんで泣いてんの?」

 

「原作ブルアカの三章の後半を見たら感動してしまい…私も、こんな青春を送ってみたいです…」

 

「あぁー、まぁ、こんな存在に産まれちゃったんだし、仕方ないよ。私も頑張るから、最後まで頑張ろ?」

 

「うぅ…はい…」

 

 

 

 

 

 

 

 ドローンの高度が下がって来た。ここら辺か。

 

 俺は一度立ち止まり、ドローンの行く末を見る。

 

 段々と降下するドローンは、一つの建物の入り口へと入っていく。

 

 やがて視界に映る全てのドローンが建物に入った後、俺はその建物へと近づいた。

 

 中へ入ると、そこには先程まで少なくはない数のドローンが入っていったにも関わらず、オートマタの気配すらない空っぽなワンルームがあった。

 

「…どういうことだ?」

 

 排気口はあるが、あそこにドローンが入るとは考えにくい。アイツらの役割は残骸の回収。あんなデカいのを持ってあんな狭い場所に入って移動するのは無理だ。

 

 天井には何もなく、四方の壁にもあるのは俺が入ってきた入り口だけ。したらば…

 

「下か」

 

 脚に神秘を迷い、力強く踏み込む。

 

 すると、硬い金属音が鳴り響くと共に地面が崩れ落ち、俺の身体もそのまま周りの瓦礫と共に下へと落下していく。

 

 数十mは落下しただろうか。落下時特有の風切り音の中で瓦礫が地面と衝突する音を聞いた俺は、すぐさま着地の体制へと入り、着地した。

 

「…地下にこんな空間があったのか」

 

 まるで“廃墟”一帯丸々覆えるようなパイプだらけの天井に、壁を駆け巡る溶岩の如く赤々とした液体。多分本当に溶岩。

 

 遠くに見える稼働中の巨大な機械からは、次々とオートマタが生産されていく様子が見える。

 

 そして見たくもなかった、俺の眼前に控える…大量のオートマタ共。既に臨戦体制だ。

 

『侵入者を検知』

 

「おん?」

 

 突然、メカメカしい*2声が鳴り響いた。

 

『特級戦力を検知。防衛プロトコルを強制解除。生産停止。全てのリソースを防衛プロトコルの制御下に移行。これより___』

 

『現時刻を以て、修正進化(グレード・シフト)を稼働します』

 

 機械音が、重い音を立てて停止する。

 

 オートマタを運ぶベルトコンベアが動きを止めて、何やら小さなモーター音のみがこの空間に鳴り響いている。

 

 何かが来る。そう思った俺は、全身に神秘を纏った。

 

『プロセスの全工程を完了。現在の特級戦力のデータを元に、()()()()を生産完了。解放します』

 

 すると、大量のオートマタが控えるその前方に、床がスライドして、一体のオートマタが床と共に迫り上がってきた。

 

 青を貴重とした装甲は見る影もなく、メタリックな銀色を纏うそのオートマタ。

 

 手にはハンドガンのみを所持しており、どんな闘い方をするのか予想が付かない。

 

 しかし、()()()()()()だ。

 

『ギ、ギギ』

 

 無銘の兵っつったか。ソイツは俺に向けてハンドガンをゆっくりと向ける。

 

 ___パスッ。

 

「っが!?」

 

 額に衝撃が走る。

 

 神秘を纏っていたのに…っつーより、()()()()()()()()んだが!?

 

 まさか武器の威力を上げた上に弾速まで強化してんのか!それも俺が目視できないレベルで!

 

 コイツァやべえな。雑魚とは圧倒的にレベルが違ェ。

 

 …?、笑ってんのか、俺。

 

「…ックク」

 

「クククッ」

 

「クハハハハハハ!!!」

 

 良いな!良いぞオマエ!初手で相手を強者と認めたのは、お前が初めてだ!

 

 口が裂けるほど口角が上がるのが分かる。あぁ、ダメだろ、俺ァ密かに他のやつ怖がらせるようなことしねえって決めてんのによ。多分今の俺の顔見たら、ぜってー泣いちまうよ。

 

 でも…今は関係ねェか!

 

「行くぜェ!?挑戦者(チャレンジャー)!俺を殺してみなァ!」

 

 荒ぶる感情のせいか、俺は神秘を過剰に纏い、ヤツへと突撃していった。

 

 

 

 

*1
お前本当に主人公か?

*2
ロボットっぽい声






 なんか主人公が段々と悪役になっていってる気がする。

 最近悪役もの読みすぎたかなぁ。
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