ろくに使ってない愛銃を片手に、俺は砂漠の中を歩く。
肩に引っ提げたカバンの中には
だから、今の俺はいつも身につけている紺色の着物だけだ。
そう、今日はアビドス高等学校の入学式。
去年にユメパイセンから勧誘され、それから一年が経ったが、結局俺の心は変わらずに、砂に塗れた青春を送ろうとしている。
それにしても、やっぱりここは暑いな。神秘で熱を防いでいるが、メンタル的にこんな灼熱な光景を見ていたら動かずとも汗を流しそうだ。
さて、俺の記憶通りだとあと少しでユメパイセンと戦りあった場所について、もう少し歩きゃアビドスに辿り着く筈だな。
まさか昨日買った携帯端末にアビドスのマップが載っていないとは思っていなかった為、前回の記憶通りに行くしかないとは思いもしなかった。もしかしたらクソほど遠回りしてるかもしれないが、まぁ致し方なし。
んで、ここがユメパイセンと出会った場所だろ?
過去のアビドスの地図はネットで調べたら出て来た。その時のアビドス高校は確か…あっちだな?
いやまどろっこしいな、屋根の上に登りゃ早えじゃねえか。
「…ほっ」
その場から跳躍して、屋根の上に昇る。
スタッ。
ん?今誰か隣に…
「…誰ですか?」
「___」
ホシおじィ!?なんで!?
いややまままて、ここれは冷静に行こう冷静に。ふぅ…お茶でも飲みてえな。*1
「俺ァ東雲アスカ。アビドスに行こうとしてんだけど迷い中」
…若干警戒されてるか?まぁ俺アビドスの制服着ずに着物来てっからなぁ。一応カバンの中見せてやると警戒を解いてくれたが。
「…貴方もですか。…それにしても、男子生徒なんて珍しいですね」
「そうか?」
「はい。少なくとも、今学期にはどの学校にもいないと思います」
ほーん。あれか、原作でも男子生徒がいないのはただ単に偶然在学しているヤツがいなかっただけなんかね。先生以外男がいない訳ではないんだな。
「…まぁいいわ。それより、なんかお客さんが来てるみたいだけどよ、お前のダチか?」
「…?、何の話___」
「ッチ!バレたぞ!囲め!」
「!?」
バカが、シンプルに気配がダダ漏れなんだよ。
ばれているのに気づいたヘルメット団の一人の合図とともに、周囲からヘルメット団がわらわらと俺らを囲おうとしている。
…黙って待ってやるのは流石にな。
ドパンッ!
「ぎゃんっ!?」
「悪いな、俺ら急いでるんだ」
片手に持ったショットガンを背後に回って来たヘルメット団の一人のヘッドに放つ。
コイツらに気付いていなかったホシおじも、とっくに臨戦体制に入っている。おぉ、とんでもねえ神秘。沸るねえ。
「全部で43…半々でやるか?」
「そうですね。その方が手っ取り早そうです」
「んじゃ…やりますか」
「行け!行け!コイツらをぶちのめしてやれ!」
その号令で一斉に襲いかかってくるヘルメット団。
それに俺とホシおじは…獰猛な笑みを返して地を蹴った。
「そういやお前の名前聞いてなかったな」
「…あ、そういえばそうですね。私は小鳥遊ホシノと言います」
「ホシノね、了解。…遅刻は確定か」
「入学式に遅刻してしまうとは…やっぱり一人残らずぶちのめした方がよかったのでは?」
「いや、あれはあれでちったぁ役に立つだろ。それに、ちょっと資源を残してやった方がまだ根付く。他の奴らがここを勝手に奪い合って争うよりかマシだろ」
「…確かに」
特に苦もなくヘルメット団をぶちのめした後、俺らは残党の一人に聞いて、アビドス高校へと足を進めていた。
それにしても、やっぱりホシおじ…ホシノは強かったな。
原作のように盾は無いにしろ、ショットガン一丁でようやるわ。その上徒手空拳も結構な上澄みと来た。こら頼もしいわ。対策委員が強さを信頼する理由もわかる。
「さて、そろそろ辿り着く頃だが…あん?」
「ん?何か……え?」
俺は前方の方から土煙をあげて走ってくる人物に気づいた。
「ふぅたりともぉ〜〜〜!!!」
ユメパイセンじゃん。めっちゃ涙出てんだけど、草。
そのままユメパイセンは走って来て、そのまま減速…減速…減速しねぇ!?突っ込んでくる気か!?
「避けろホシノ!」
「え?え?」
「あーもう!こっちこい!」
グイッとホシノの上を引っ張って、もうすぐそこまで来ているユメパイセンの斜線上から逃れる…筈だったのだが。
グンッ!
軌道を変えた!?拙いっ、避けれな___
「じんばいじだよぉ”ぉ“ぉ”ぉ“ぉ”!!!!!」
「ぐぉおお!?」
「うへぇええ!?」
ふ、二人まとめてのベアハッグ*2だとぉ!?
ど、どんな怪力してやがる!?抜け出せねえ!神秘を…やめだこんなんで神秘使うのアホらしいわ!
てか俺とユメパイセンの間で挟まってるホシノの声が全然聞こえねえんだけど?どうなって…
「うぶへぇ…」*3
ゆ、ユメパイセンの胸に顔埋めて死んでやがる…!?*4
「二人とも入学式の時間になっても来ないしさァ!探しに行ってもいないしさァ!もしかしたら入学してくれないのかと思ってそこら中探し回ってさァ!そしたらどっかからか銃撃戦の音が聞こえるしもしかしたら二人が巻き込まれてるかと思って心配になってェ〜!!!」
「ま、待ってくれ…待てオラァ!?」
ゴッツンッ!
「うぎゃんっ!?」
渾身の頭突き!
ベアハッグから解放された俺は、ホシノを抱き抱えてユメパイセンから一歩距離を取る。
「な“に”ずる“の”ぉ“〜!」
「追撃するな!?ホシノが今度こそ死んじまうだろ!」
「だっで、だっでぇ〜!」
「ええい面倒くさい!話は後だ!今はアビドスに向かうことが大事だろうが!」
こんなとこで道草食っとる場合ちゃうやろがい!
「ゔん…ごめんなさい…」
「…はぁ…いつまでもみっともなく泣いてんじゃねえよ、先輩。ほら、チーン」
懐から取り出したポケットティッシュ一枚を取り出し、ユメパイセンの鼻に宛てがう。
「ヂーン”!」
………勢いよく鼻をかんだのを確認してから、ティッシュを離す。
うえぇ、すんげえ伸びる鼻水だなオイ。とりあえずゴミを捨てる場所が無いからホシノのポケットん中入れとこ。
「ごめんね、毎度毎度迷惑かけちゃって…」
泣き止んだユメパイセンが、目を腫らしながら謝ってくる。
「ホンマだよ。俺まだ顔面ショットガンの件忘れてねえからな?」
「う“っ」
残当だよこのヤロー。
さて、状況が落ち着いたことだ。ぼちぼちアビドスに向かうとしよう。
はてさて、これからどうなることやら。俺の砂に塗れた青春は。
近いうちにヘルメット団には酷い目にあってもらおうかと思ってます。