※NTR、BSSに耐性のない方閲覧注意
高校2年生初日の自己紹介の時間。俺は一目惚れをした。
燕谷「燕谷千春です。生徒会に入ってます。
よろしくお願いします」
彼女の多くを語らないスタンス。
心情を決して悟らせない眼差し。
そして口を大きく開かずぽつぽつと話す
可愛らしいしぐさに心を掴まれてしまったのだ…
俺(燕谷さんか…仲良くなりたいな)
5月初旬
元々同じクラスだった人達や、
気が合うもの同士で仲良しグループが出来つつあった。
俺もそれなりに友達が増えたり、グループに加わることが出来ていた。
そんな中、燕谷さんは一人で昼食を食べていたり、
グループ学習でも最後まで残っていたりと
クラスにまだ馴染めてないように見えた。
よし…勇気を出して今日の昼休み、一緒に食べないかと誘ってみよう。
俺はいつも一緒に食べているグループに断りを入れ、
燕谷さんの席へ向かった。
俺「つ、燕谷さん…
よかったらお昼一緒に食べていい?」
燕谷「お昼…どうしてですか?」
俺「い、一緒に食べたいから…?」
理由を聞かれて困ってしまった。
変な返事になっていないだろうか…
燕谷「わかりました。いいですよ」
そういって燕谷さんは机をもう一つ用意してくれた。
俺「あ、ありがとう!」
食事中の会話は弾まなかったが、
俺にとっては大収穫の昼休みとなった。
6月
あれから燕谷さんと
一緒に昼休みを過ごすことが増えた。
学食に行ったり、屋上で食べたりと
結構充実した昼休みを
過ごせているのではないだろうか。
俺「生徒会の仕事って大変?」
燕谷「仕事…そうでもないです」
俺「どんな仕事があるの?」
燕谷「書類の束をホチキスで止めたりとか、
雑用が多いですよ」
俺「そ、そっか」
内容はこんな感じだが、会話は増えてるし、
こちらを見て話してくれることが増えた。
…相変わらず何を考えてるかわからない眼差しだけど。
このままでも楽しいけど仲は進展しない気がする…
そろそろ遊びに誘ってみようかな。
放課後、燕谷さんに声をかけた。
俺「あ、燕谷さん。ちょっといい?」
燕谷「なんですか?」
そういって振り向く燕谷さん。う、緊張する…
俺「今週末さ、もし暇だったら遊びに行かない?
いやだったら全然いいんだけど」
燕谷「遊び…いいですよ。何時集合にします?」
俺は飛び上がるほど嬉しかったが何とか抑えた。
ここは教室だからな。
俺「えーと…」
友「楽しそうだな、何の話?」
どうしようかと悩んでいると俺の友人が声をかけてきた
俺「うん! 週末燕谷さんと遊ぶことになったんだ」
友「そうか!
最近お前と燕谷仲よさそうだったもんな」
周りからもそう見えてたのか、よかった。
友「それ、俺も行ってもいい?」
俺「俺はいいけど…」
本当は2人で遊びたかったが、
燕谷さんのコミュニティを広げるのも大切なはずだ。
それに俺たちは恋人でもなんでもないしな。
俺「燕谷さんは?」
そう言って燕谷さんを見ると、
俺の友人をじっと見つめていた。
警戒しているのだろうか…?よくわからない。
燕谷「あ…はい、いいですよ」
友「よっしゃ、ありがとな!燕谷可愛いし
前から仲良くなりたかったんだ!」
友「それじゃ、
1時に駅前集合で、飯は集合してから食うから」
俺「わかった、燕谷さんもそれでいい?」
燕谷「…はい、大丈夫です」
燕谷さんは終始俺の友人を見つめている…
無理させちゃったかな。
何はともあれ、週末は燕谷さんと遊べる!
そのことに満足していた。
週末
友「あれっ早く来たつもりだったんだけど
待たせちゃったかな」
俺の友人は待ち合わせ時間5分前に到着した
燕谷「いえ、こちらが早く来ただけですので…」
燕谷さんフォローしてくれてる、
優しいところもあるんだな。
俺「じゃあ、行こうか」
それから少し遅めの昼食を済ませ、
駅前のショッピングモールへと向かった。
友「これ燕谷に似合いそうだな、どうだ」
そういって友人はネックレスを燕谷さんにあてがった
ちょっと距離が近すぎじゃないか…?
燕谷「は…はい、素敵だと思います」
燕谷さんは満更でもなさそうだ、俺の気にしすぎかな。
友「じゃあプレゼントするよ」
燕谷「え…でもこれ結構高いですよ」
友「俺バイトしてるから大丈夫!
それに燕谷にはもっと可愛くなってほしいんだ」
燕谷「あ、ありがとうございます」
いつも無表情の燕谷さんが戸惑っているような、
少し嬉しそうな…あんな顔するんだな。
俺も何かプレゼントしてあげたいが…
昼食代が思ったより高くついたので、
帰りの電車賃くらいしか残っていなかった。
そんなこんなでショッピングモールを
一通りぶらついた。
燕谷「あの…そろそろ失礼します。
いろいろありがとうございました。」
俺「燕谷さんそろそろ帰る時間か。
それじゃ解散にしよっか」
友「あ、ちょっと待って燕谷。連絡先交換しようぜ」
燕谷「…いいですよ」
そういって2人は連絡先を交換した。
友「また遊ぼうな!」
燕谷「…! はい」
燕谷さんは帰っていった。
俺も連絡先を交換しておけばよかったな…
まあ機会はいくらでもあるしな。
今度の昼休みにでも交換してもらおう。
友「燕谷可愛いよな」
俺「え、うん」
友「前から話したかったんだけど、中々タイミングなくてさー。
今日はありがとな! それじゃ」
俺「うん、じゃあね」
その日は解散となった。
7月
最近、燕谷さんと昼休みに会えない。
理由を聞いてみると『生徒会活動が忙しくて、
すみません』とのことだった。
理由が理由なので仕方ないけど…
中々話せないのは憂鬱だな…
そんなことを考えていると友人から声をかけられた。
友「よお! 元気なさそうだな!」
俺「ああ、ちょっとね…」
友「俺は最近絶好調だ!
前から狙ってた娘と付き合えたんだよねー」
俺「マジかよ! いいなぁー」
友「めっちゃ可愛くてさー。もう毎日やりまくりよ」
そう言って友人は腰を振るジェスチャーをした。
友「話聞くと初対面の頃から
俺のこと気になってたんだってさ~」
確かにこいつの顔はイケメンだ。
クラスの女子からも結構人気がある。
俺「付き合えた人って誰なの?」
友「ごめん、それは言えないんだ。
内緒にしてくれって頼まれててさ」
俺「そうなんだ、それなら仕方ないね」
俺「実は俺も好きな人いるんだけど、
中々うまくいってなくてさ…」
友「マジ!? だれだれ?」
俺「いや、さすがに言えないけど…
あんまり会話できてないんだ」
友「そうなのか。まあとにかく連絡先交換して
遊んだり、話す回数増やすのが大事だな」
友「あとは好きとか可愛いとか伝えることだな、
そうしてたら余裕で付き合えたぜ」
俺「そうか…よし! 今日の放課後告白してみるよ!」
友「おう! ガンバレ!」
友人は席に戻っていった。
俺は今まで奥手すぎだったのかもしれない…
友人の話を聞いてそう感じた。
アイツ彼女と付き合えて
めちゃめちゃ楽しそうだったな。
俺も燕谷さんと付き合えたら、
手つないだり、デートしたり…
き、キスとかその先もしちゃったりして!
俺(よ、よし! がんばるぞ!)
燕谷さんに声をかけた。
俺「つ、燕谷さん、今日の放課後、
時間あるかな…伝えたいことがあるんだけど」
燕谷「放課後……生徒会があるので、すみません」
俺「そ、そっか。忙しいのにごめんね」
燕谷「いえ、こちらこそ…これから夏休みまで
忙しいので、中々時間が取れないかもしれません」
俺「そ、そうなんだ…それじゃ」
燕谷「はい」
生徒会ってやっぱり忙しいんだな…
仕事の内容はよくわからないけど…
俺は残念に思う気持ちと告白を
先延ばしに出来て楽になった気持ちが混在していた。
放課後
燕谷さんのことは気になるけどそろそろ期末テストだ。
心を切り替えて勉強しよう。
そう思いながら昇降口で靴を履き替えていると、
生徒会長の虎視虎子さんを見かけた。
あれ…今日って生徒会活動が
あるんじゃなかったっけか。
俺は思わず虎視先輩に声をかけてしまっていた。
俺「あ、あのっ突然すいません!
今日って生徒会活動ないんですか?」
虎視「…? 今日…というかテストが
近いからしばらく生徒会活動はないわよ?」
虎視先輩は少し驚いた様子だったが、
笑顔を浮かべながら返事をしてくれた。
そんな……燕谷さんは生徒会があるって言ってたのに…
俺はもう1つ疑問が浮かんだ…浮かんでしまった…
俺「き、今日の昼休みに生徒会活動ってありました?」
頼む…あってくれ…
虎視「昼休みに生徒会活動を行う日は、忙しいときは
まれにあるけど…少なくとも今学期はなかったわね」
俺「そ、そうですか…呼び止めてしまってすみません」
虎視「…? ぼーっとしてるようだけど
帰り道気をつけなさいね」
俺はうなだれてしまった。嘘をつかれるなんて
燕谷さんに嫌われているのだろうか…
とぼとぼ歩いているとクラクションを鳴らされた。
赤信号なのに渡ろうとしていたようだ。危ない危ない…
顔を上げると、俺の友人の声が近くで聞こえた。
そうだ、アイツに相談に乗ってもらおう…
そう思って声がした方に俺は視線を向けた。
俺「そ、そんな……」
コンビニから出てきたアイツの隣で…
燕谷さんが腕を組んで歩いていた。
こちらに向かって歩いてくるようで、
俺は慌てて顔を伏せた。
友「今日俺の家で勉強しよーぜ」
燕谷「…そう言って、毎回勉強しないじゃないですか」
燕谷「コンビニで何買ったか見せてください…」
友「まーまーまー、今日は絶対勉強するから、な?」
燕谷「やんっ♡ ちょ、ちょっとここ外ですよ…!
だめですってば♡」
友「勉強勉強言って、毎回拒否らないくせに。
おい、ウチ行くぞ」
燕谷「…はい♡」
そんなやり取りをしてカップルは通り過ぎていった。
あ、朝アイツが言ってた彼女って
燕谷さんのことだったのかよ…
それにあの感じ…毎日家で……
アイツより俺の方が先に燕谷さんと
仲良くなったはずだ、な、なんで…
お、俺が悪いのか? 俺が行動を起こさなかったから…
いや、どう行動しても燕谷さんと
付き合うのは無理だっただろう。
だってあんなに一緒に過ごした時間があったのに、
アイツに向けるじっと見るような視線を
ただの一度も俺に向けられたことはなかったのだから…