New world note in Earth   作:YUKANE

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3泊4日で広島・岡山・高松を回る旅行をしていたので、更新が遅れました。
本当であれば日本と東和の交渉まで持っていく気でしたが、色々書いてたらそれだけで4000字いったので急遽次回へ持っていきました。

あとUA1500ありがとうございます。


Episode.9 初見の諸島

東和国とのファーストコンタクトに成功した海上自衛隊第2機動部隊は、同国とより本格的な交渉をすべく海軍第4艦隊の先導で彼らの母港へと向かっていた。

日本がこの星へ転移してから3日が経過しているが、まだ未知の陸地を1つも発見出来てない為に出会ったばかりの彼らについて行くのはやむを得なかったが、石見や滝沢ら艦隊司令部の面々は万が一の事態を不安視していた。

 

第2機動部隊はレーダーに映らない音速戦闘機を配備している上に、艦や飛行機・潜水艦の迎撃にそれぞれ特化したミサイルも搭載している為に第4艦隊を圧勝出来る様に見えるが、第2機動部隊へと向けられた主砲類がその思惑を打ち破っていた。

遠距離からの戦闘が基本となる護衛艦に対して、固い装甲を打ち砕く事を目的とした戦艦の大口径砲による砲撃が当たれば致命傷になるのは間違いなく、両艦隊の距離が余り離れていない現状なら下手すれば駆逐艦の連装砲ですらも致命傷になりかねなかった。

 

護衛艦は疎か300m超えの「あまぎ」ですら轟沈しかねない武器を向けられた第2機動部隊は朱雀戦争の様な極度の緊張感が漂っていたが、そんな緊張感を知る由もない第4艦隊は手が空いている乗組員が第2機動部隊を興味津々(きょうみしんしん)に見ているのだった。

 

第4艦隊の先導開始から数時間が経ち、極度の緊張感で体力を削がれた艦隊司令部の面々にハッキリと疲れが見える様になる中、全周を見渡せるPRIスコープ方式の画面に張り付いていたレーダー員から久方(ひさかた)ぶりとなる報告が入った。

 

OPS-24(対空レーダー)に感あり! 12時の方向より大型機 1機と小型機6機の編隊が来てます!!」

「位置的に東和国の機体だろうな·····」

「そう見て間違いないでしょうが、万が一を考慮して東和海軍第4艦隊(あちら方)にも連絡しましょう。」

 

世界初の艦載型アクティブ・フェーズドアレイ(AESA)レーダーが捉えた情報から石見と滝沢は短い会話で意見を合わせ、滝沢の発言を聞いた長瀬は艦橋にいる照山へ届くインカムへ話しかけた。

 

「副艦長、先程対空レーダーが航空機の編隊を捕捉した。恐らく東和国の機体だろうが、万が一の可能性もあるから第4艦隊に発光信号で確認してくれ。」

『それに関してですが、先程「ナツキ」から“我ガ拠点ナンエイ諸島カラ()()機ガ歓迎ニ出向ク。撃チ落サヌヨウニ”との発光信号が送られて来ました。』

了解(ラジャー)···もう一度確認するが空軍機って言ったのか?」

『えぇ、間違いなく空軍と言ってました。』

「そうか、伝えておく。真正面の編隊はナンエイ諸島とやらから来た空軍機で、我々への歓迎とのこと。」

 

照山との会話を終えた長瀬が会話内容を話すと戦闘指揮所(CIC)内に若干のどよめきが起きる。大半の者は直ぐに納得して受け入れていたが、航空司令の渡島だけは大いに驚いていた。

 

「本当に空軍って言ったんだな? 米軍ですら戦後に陸軍航空隊から独立した空軍を?」

「照山にも確認したが間違いないらしい。意外と先進的な考えをしているもんだ。」

 

渡島は長瀬との会話を経て取り敢えず納得するしかなかったが、視認可能になるまで近づいた編隊が写し出されると再度驚く事になった。

 

「真ん中のは百式重爆撃機だな。周りのは零戦········じゃない隼だ!!」

「隼·····確か陸軍の主力戦闘機だった機体だったか?」

「正式名称は一式戦闘機。開戦時の陸軍主力戦闘機だ。見た感じ陸軍航空隊がそのまま空軍になったという感じか?」

 

渡島が断片的な情報から考察している間にも中心の重爆を戦闘機で囲んだ7機の編隊は、第2機動部隊の上空を優雅に飛び回る。

そんな中、第4艦隊と航空隊の歓迎を受けていた第2機動部隊の進路上に陸地が姿を現す。地球であれば対馬から見える朝鮮半島を通り越した先の陸地はユーラシア大陸の何処かだが、現在いるのは地球では無い星である為に日本にとっては未知の領域でもあった。

 

「あれがナンエイ諸島か·····我々日本人からすると小笠原諸島みたいなものか?」

「海自の人間なら旧海軍の根拠地だったチューク(トラック)諸島じゃないのか?」

「そこは柱島というのが日本人だろ。」

 

石見と滝沢・長瀬らの意見がそれぞれ食い違っている事に笑っていると、長瀬のインカム越しに照山からの声が入って来た。

 

『「ナツキ」より発光信号! “第2機動部隊ハダグボードノ先導デ誘導サレタ場所デノ停泊ヲ望厶”とのこと!』

了解(ラジャー)、こんな大きな艦でも泊まれるって事ですかね?」

「護衛艦ならまだしも、海自の中でもデカい「あまぎ」(こいつ)を泊められるなんて中々の規模だな·····」

「日本ですらも停泊出来る港が少ないですからね···何か、スゲェ黒煙上げてるダグボードが来ましたよ。」

 

第4艦隊の先導でナンエイ諸島へと入った第2機動部隊に、炭の如く真っ黒な煤煙を上げながら近づいてきた。近くによるだけで汚れてしまいそうな曳船(ダグボード)は数艇ずつ護衛艦へと繋がれ、第2機動部隊を先導する役割を引き継いだ。

 

第4艦隊が泊まった埠頭の脇へ誘導された第2機動部隊は、潮に流されない様にそれぞれ錨を下ろして停泊する。

編隊を構成していた重爆と戦闘機も埠頭脇の滑走路へ次々と降り立っていく中、取り敢えずの目的地へと到着出来た為にCICに安堵の溜息が次々と溢れる。

 

「東和国側からモールス通信です。“外交官はあちら方が用意する連絡艇に乗って頂きたい。また貴艦隊の見学を望みたい”だそうです。」

「見学か、まあ見るからに全く違う本艦隊を見学したいのは当たり前と言えば当たり前か。」

「でしたら、こちらも送らないと対等じゃ無いからな。それに現役の戦艦とか見学してみたいだろ?」

 

CIC内に石見の発言に首を横へ降る者はいなかった。

 

 

「これがクレタですか·····正しく戦前の様な街並みですね。」

「でも戦前ってあんな高層ビルありましたかね?」

「各地の動く黒煙は何だ?······まさか蒸気機関車!?」

「港に泊まっている船がみんな氷川丸みたい姿をしてるな·····」

 

園田姉妹ら外交官は「あまぎ」が持ち運んでいる階段を使って停泊した埠頭へと降り立とうとするが、遠目に見えるクレタの街並みに目線を奪われる。

戦前らしくタイルを貼り付けた外観をしながらも、戦前には不釣り合いな高層ビルが点在し、所々から動く黒煙が立ち昇っている様子を見せる街並みは超高層ビルが立ち並ぶ東京に慣れしたんだ者にとっては新鮮に写っていた。

 

彼女らが降り立つ埠頭にはボルトアクション式の銃を携えて白い軍服を着た儀仗隊の兵士が整列しており、音楽隊が奏でる演奏の音色が響き渡っていた。

園田姉妹が埠頭へ降り立つと、儀仗隊の前に立っていた軍服姿の男とグレーのスーツを着た女が近づいてくる。

 

「日本国の皆さん!! ようこそ我が東和の最東端南瑛(なんえい)諸島へ! そして東和で5番目の都市、暮田(くれた)へ!

皆様の案内を任された暮田外交派遣局の文月(ふみづき) 夢明(ゆめあ)です! 宜しくお願いします!!」

「日本国の皆様、暮田海軍基地へようこそ。私は当基地で司令官を務める錫先(すずさき) 天鬼(あまき)海軍大将です。」

 

凜音はハイテンションで語りかけてきた案内役 文月と、麗音は冷静沈着な雰囲気を醸し出す壮年の軍人 錫先と握手を交わす。

 

「急なご訪問にも関わらず音楽隊や儀仗隊の出迎えありがとうございます!!」

「とんでもありません! 未だ未知の海域から来た国々を歓迎するのも暮田外交派遣局の重要な役目ですから!!」

 

凜音の社交辞令に満面の笑みで返す文月の姿に、日本側の外交官らは緊張が少しながらも緩んだ。

園田姉妹らと文月らは挨拶をそこそこで切り上げて、対談の場となる暮田外交派遣局へと歩き出す。

 

「外交派遣局は歩ける範囲にあるんですか?」

「えぇ、貴国の様に現れた国家へ迅速に対応するべく出来るだけ港の近くに建てたんです。」

「なるほど〜ん、この鐘は何だ?」

 

文月を先頭に歩く園田姉妹ら外交官の耳に連続して鳴り響く鐘の音が聞こえてくる。五月蝿く鳴り続ける音の元を探す園田姉妹らだったが、文月はその場で静止して彼女らの歩みを止める。

 

「これは踏切の音です。暮田海軍基地(ここ)には砲弾とかを運ぶ専用線が敷かれているので。ほら、来ましたよ!」

 

文月が指差す先から独立した炭水車を持たないタンク式蒸気機関車に引かれた貨物列車が通っていく。タンク式蒸気機関車は文月らに汽笛を鳴らし、基地内に敷かれた線路を通って10両近い有蓋車を倉庫らしき建物が並ぶエリアへと運んでいく。

 

「本当にSLがいるなんて······あれは海軍のSLですか?」

「海軍も機関車を持ってはいますが、あれは暮田鉄道の列車です。この暮田島に南瑛諸島唯一の鉄道として()()の路線を張り巡らしています。

随分驚かれているようですが、日本国にSLは無いのですか?」

「我が国で蒸気機関車は観光用でしか見れなくなっている珍しい物で、差も当然の様に走っていて思わず驚いてしまいました。」

「そうでしたか。我が国では都市部以外の鉄道が蒸気機関車での運行なので、沢山見れますよ。」

 

話しながら線路を越えて暫く歩くと、広い庭に囲まれた2階建ての建物が姿を現す。和風と洋風が入り混じった擬洋風建築を連想させる建物に園田姉妹らの興味関心が湧いた。

 

「何だか赤坂の迎賓館みたいな外見ですね。」

「今の日本にこんな建物が残っていたら間違いなく重要文化財になっているかな?

写真取っても良いですか?」

「えぇ、勿論!! やはりこういう建物も日本には······写真機(カメラ)ってその黒い板ですか?」

 

興味津々な様子の園田姉妹に対して自慢げに話していた文月だったが、麗音が写真を撮るべくズボンのポケットからスマートフォンを取り出すと、今度は文月がそれに対して興味津々な目を向ける様になった。

 

「これはスマートフォンって言ってカメラでもあるんですが、電話や調べ物・電卓での計算等も出来る汎用性に優れた道具なんです。」

写真機(カメラ)だけじゃなくて、電話と辞書と電卓がこんな薄い板に入ってるんですか!?」

「えぇ、一応······さっき撮った写真もこんな感じで。」

「こんな高画質で色付き(カラー)!? しかも撮って直ぐに見えるって事はフィルムじゃない······確かにこれは別世界から来たと言われても納得できますね。」

 

文月が自らの常識を遥かに上回る美しさの写真を軽々と撮れてしまうスマートフォンに魅了されていると、その様子を眺めていた凜音が彼女へと話しかけた。

 

「私が言うのも何ですが、ここで立ち止まってて良いのですか?」

「や、やらかした!? 中で局長が待ってると言うのに!! と、取り敢えず中に入りましょう!!」

「その必要はありません。」

 

思い出したかのように焦り出す文月に声がかけられる。声の先には園田姉妹と同じくらいの年齢だと思えるスーツ姿の青年と女性が立っていた。2人を見た文月は顔を青ざめさせ、冷や汗をかく。

 

「わたくし、暮田外交派遣局局長の(はざま) 藤吉(とうきち)です。こちらは補佐官の連月(れんづき) マナハです。」

「きょ、局長申し訳ありません!! 私がすまーとふぉんとやらに気を奪われてしまいまして!!」

「それは君の()()()()()()()()ですから大丈夫ですよ。それにそれについて質問してる貴女の姿は凄く楽しそうでしたので、思わず出てしまいました。」

「は、はい! ありがとうございます!!」

 

文月からの謝罪を良い感じになだめた間は、スーツの胸ポケットから出した名刺を園田姉妹へ渡す。園田姉妹も直ぐに取り出した名刺を渡し、間から渡された名刺を見て驚きの声を上げる。

 

「平仮名に片仮名に漢字まで!! 言葉どころか文字まで同じで安心しました!!」

「ここまで言語が一緒ですと、我が国と日本には何かしらの繋がりがあるのかもしれませんね。既に会談場所は用意してあるので、貴国について色んな事を教えて頂きたいです。」

「我々も東和国について知りたいので、是非お願いしたいです。」

 

間らに導かれた園田姉妹は会談場所でもある擬洋風建築の暮田外交派遣局へと入っていった。




・護衛艦の装甲
現在の軍艦は薄いと言われている巡洋戦艦よりも装甲が薄いので、戦艦クラスの砲弾なんか食らったら間違いなく爆沈しますよね······
下手すりゃ巡洋艦クラスでも轟沈しそう

・文字上の点々
今話で付けた場所は全て回収がいつになるか分からない伏線だと思ってください。前話でもこれをつけていましたが、まんますぎて直ぐに勘付かれそう···
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