New world note in Earth   作:YUKANE

11 / 70
東和国&この世界についての説明回です。

一人暮らし先への帰還や大学の学祭が重なって更新出来てなかった間にUA2000行っててビビりました·······
今回は設定を見ながらやらないといけないから更新どころか執筆すらもかなり停滞してました。


Episode.10 それぞれの紹介

擬洋風建築の暮田外交派遣局前にて異例の初対面を果たした園田姉妹と(はざま)局長は、そのまま建物の中へ入っていく。

建物の中には外装に似通った内装が広がっており、園田姉妹らは博物館にいるかの様な錯覚を味わうが、ここに勤めているスーツ姿の職員や警備を担っているであろう軍服姿の兵士の存在が現役の建物だと証明していた。

 

先導していた文月が案内した部屋は天井から吊るされたガス灯式のシャンデリアによって照らされ、床に敷かれた絨毯やその上に置かれた大テーブルと椅子は一目で高級品だと分かる装飾が施されていた。

 

園田姉妹ら日本側の外交官が室内で待機していた兵士によって引かれた椅子に座り、彼女らと対面する反対側に間ら東和側の外交官が座った。

 

真後ろにボトルアクション式の小銃を持っている兵士がいる事実が園田姉妹らを緊張させたが、その様子に気づいた間がその緊張を和らげようと話しかけた。

 

「そんなに緊張しなくても大丈夫ですよ。彼らは万が一に備えているだけで、銃の引き金も貴女方に向けられているのでご安心下さい。」

「確かにそうですね。背後に銃を持った兵士がいる状態で会談するのは初めてですので、より緊張してしまいます。」

「なるほど····我々は物騒な連中と交渉する可能性もあるので、こうなっているのですが貴国には要らなかったかもしれませんな。」

 

凜音は間と会話するが、何も進んでいない事を察した麗音がこの状況を解消すべく凜音へ肘打ちした。

妹からの肘打ちを右の脇腹に受けた凜音は麗音の意図を直ぐに察し、持ってきたバックからホッチキスで纏められた紙束を取り出した。

 

「これから我が日本国について説明させて頂きます。説明に際して我が国と貴国の言語が同じという事なので我々が製作した資料を配らせて頂きます。

あ、説明前に確認したいのですが、貴国は距離の単位としてどの様な物を使っているでしょうか?」

「確かに確認しないと齟齬が生まれますね。東和国(我々)(メートル)法という物を使っているのですが、日本国はどうなのでしょうか?」

「な、何と!?·····我が国も同じくメートル法を使っています!

まさかここまで一緒なんて!」

「姉上、早く配った方が良いと思います。」

 

日本と東和の両国が言葉と文字だけでなく距離の単位まで同じものを使っている事に、凜音は驚きと感動を述べたが麗音の素早いツッコミで直ぐに仕事モードへと戻って、手に持っていた資料を間らへ手渡す。

凜音が「あまぎ」艦内で急いで製作した資料を手渡す間に、麗音は説明に使う日本地図をテーブルの上に広げた。

 

「では日本国について地図を交えながら軽く説明させて頂きます。

日本国はここから南東へ約1000kmの海域に位置する1万4000近くの島々で構成された島国で、首都である東京は一番大きな島である本州の東端 関東平野に位置しています。陸地の総面積は約37万8000km²にもなり、海洋面積はその12倍にもなります。

人口は1億3000人で、1/3にあたる4000万人は関東平野に住んでおります。我が日本は国民主権の民主国家で、君主として天皇陛下もおりますが直接的な政治権を持たない象徴的な存在になっています。

元の星である地球にいた頃には世界3位の経済力を持っておりますが、国土から化石燃料や鉱石類が殆ど採れない無資源国家でもあります。

加えて国土の7割以上が山地か丘陵地で平野が少ない事もあって食料自給率が37%と低く、化石燃料や鉱石類と一緒に諸外国から輸入していました。」

 

凜音はテーブル上の日本地図を指を差しながら説明し、間らは手元の資料を見ながら彼女の説明を真剣に聞いていた。説明が終わると彼女へ向けた拍手をし、拍手が終わるとそれぞれが抱いた感想を話し出す。

 

「1万以上の島があるとは驚きました·····そんなにあるのなら海洋面積が国土の12倍なのも納得ですな。」

「確かに地図を見ただけで山が多いのが分かる。これじゃあ大きな耕作地も作れないでしょう。」

「それだとしても37%の食料自給率は異常ですよ。1億の人口を抱えているのに、半分以下も養えないなんて信じられません·····」

「私としては世界3位の経済大国でありながら無資源国家なのも驚きです。国内だけで賄える資源が石灰だけとは大変ですな·····」

 

それぞれが日本について抱いた感想を述べる中、間は黙ったまま思考する。他の面々と話していた連月は彼の様子に気づいて話しかけた。

 

「局長、どうしましたか? 何か納得出来ない事もありましたか?」

「ええ、そもそもの話として国が転移してきたなど御伽噺(おとぎばなし)でも信じられませんが、あの様な艦隊や先程のすまーとふぉんとやらを見た後では国がいきなり現れたと言われても納得出来る気がします。」

「現にここから東と南に国家は疎か土地すら確認されていませんね。1000kmの近場にずっと国家があったよりもいきなりやって来た方が説明だけはつきますね。」

 

間と連月の会話は他のメンツも抱いた疑問だったらしく、全員が2人の意見に納得する様に頷く。その様子を黙って見ていた園田姉妹らは自らの説明が無事伝わっていた事に安心する。

一通りの意見を交換し終えた間らは園田姉妹へと向き直り、彼女らへ一礼する。

 

「非常に分かりやすいご説明ありがとうございます。これから我が東和国について説明させて頂きますが連月君、頼んだ資料は集めてくれたか?」

「頼まれた資料は全て書庫から集めてきました。使えそうな物もついでに持ってきてあります。」

 

連月は間に返事しながら自らが座っていた椅子の脇に置いていた紙束をテーブルへと置く。大会議室で行う会議の参加者へ配る資料の如く厚い紙束を見た園田姉妹は疎か間すらも驚くしか無かった。

 

「この量をあの短時間で集めたのか·······にしても多すぎないか?」

「局長の依頼は地図だけでしたが、地図だけで会議が終わるとは思えなかったので独断で色々持ってきました。」

「そういう事か、流石本庁でも優秀で知られていただけある。」

 

間は連月の優秀さを褒めつつ、持ってきた資料類から使えそうな物を選別した。東和側が資料を選別している(あいだ)に園田姉妹らはテーブル上の日本地図を片付け、東和側の説明開始を静かに待っていた。

10分もしない内に東和側の資料選別は終わり、連月がテーブルの上に2つの大陸と複数の諸島が記載された地図が広げられた。

 

「それでは我が国について説明させて頂きますが、その前にこちらの地図をご覧ください。

こちらの地図は東和が国交を結んでいる国々を記した地図で楕円形の大陸が東和大陸、T字の大陸が冷軽(レヴィンガル)大陸、冷軽大陸の南西にあるのがフィルラント諸島となっており、私達がいる南瑛諸島は一番右端のここです。

これら全てを纏めて東冷共栄圏、通称TRMと呼ばれており、加盟国への技術供与や現地の自然と文化の保護を行っています。」

 

園田姉妹らは間の説明を聞きながら、指が差された地図の先を見る。麗音は10インチのタブレットを開き、間の説明を一言一句逃さずにタブレット内のメモ帳へと記した。

 

「まさか大陸国家とは······大陸の大きさはどのくらいですか?」

「東和大陸は大まかに東西2000km・南北1000kmとなっており、総面積は約200万km²となっております。」

「200万km²となると········グリーンランド並か。冷軽大陸も一つの国家が収めているのですか?」

「冷軽大陸の上側は我々と並ぶ大国 チャルネス共和国が、突き出た半島の部分はカリス王国が全域を収めていますが、下側からフィルラント諸島にかけては小国が乱立しています。」

「複数の国家があるのですね! これら国家の総称であるTRMのMって何ですか?」

「TRMのMは共栄圏を意味する“Mutual prosperity sphere”から取っております。」

「この地図の範囲外にも東和国が国交を結んでいる国家はあるのですか?」

「いえ、地図に記載されている国だけです。海の先にも国こそあるでしょうが、まだ接触すら出ていません。」

 

今直ぐにでも交渉を行いなかった日本と違って、未知の国家に対する警戒心が強かった東和は説明に用いる資料の製作が間に合わなかった為に、日本側の質問を間がわざわざ一つずつ返事するしかなかったが、同じ言語を使っている為にすんなりと理解する事が出来た。

 

身を乗り出して地図を興味津々に眺めていた園田姉妹が、抱いた疑問の答えを一通り聞き終えて自らの席に座ると連月が広げていた世界地図を畳んで、代わりに拡大された東和国が書かれた地図を広げた。

 

「周辺国についての説明が終わったので、我が国に対する説明へと写らせて貰います。

我が東和国の人口は6700万人で、首都の東和は大陸南西の湾内に位置しています。政治体制としては日本と同じく国民主権の民主国家ですが、君主は疎か王族すら存在しておりません。

TRM加盟国では最大規模の経済力と技術力・軍事力を有しており、周辺国を発展させるべく各種技術の供与を行っております。無資源国の日本とは異なって国内に複数の油田や大規模な鉱山があり、食料自給率は100%を超えています。」

 

間の丁寧な説明を黙って聞いていた園田姉妹らは、話が終わると直ぐに拍手で彼を労った。拍手が終わると直ぐに間への質問攻めが始まった。

 

「王族が存在していないという事ですが元から無かったのか、途中で君主制廃止が行われたのですか?」

「建国当時は王族がいましたが、国内の安定化に合わせて君主制の廃止が行われました。それ以降は一度も王族が存在していません。」

「共和制なのですね。国内に大規模な鉱山を複数持っていると言ってましたが、鉱山で採れる資源の種類は分かりますでしょうか?」

「国内最大の鉱山都市では化石燃料の石炭や鉄・銅・金等の金属類が露天掘りで採掘されています。他にも国内最大の火山では硫黄が採掘されていました。」

「露天掘りなんてオーストラリアかよ······食料自給率が100%を超えていると言ってましたが、他国への輸出は行っているのでしょうか?」

「他国への食料輸出は行われていますが、もし貴国への輸出も行う事になると他国と共同で行った方が問題が少ないだろうと思います。」

「やっぱりいきなりは食料輸出は厳しいか······」

 

日本を存続させる為に最優先となる食料を確保出来る先があるにも関わらず、確保する前に大きな壁が立ち塞がっている事に凜音は思わず溜息をつく。

無意識の内に溜息をついた事に気づいた凜音は直ぐに謝罪するが、その様子を見ていた間も同じ様に溜息をついた。

 

「いえ、食料自給率が少ない貴国の気持ちも分かります。私も出来れば直ぐに輸出して欲しいのですが、上の方は未だに分かっていない貴国への輸出を躊躇うでしょうね。」

「それは我が国も同じ判断をするでしょう。出来れば使節団を派遣して貴国をより詳しく知ってから判断するでしょう。」

「偶然ですね。私も同じく貴国へ使節団を派遣するのが最善の答えだと思います。

両国で使節団をそれぞれ送るというのはどうでしょうか?」

「それでしたら最短の期間でそれぞれの国を知れますね。提案してみるだけしてみますか?」

「やってみましょう。我が政府も新たな国家を追い返すなんて真似はしないでしょう。」

 

長いながらも中身のある話で意見が一致した凜音と間が握手して、日本と東和の初会談は一区切りとして終わりを告げた。

両者はそれぞれ自らの政府へ会談の内容と使節団の派遣提案を送り、日本側は東和側の意見が出るまで南瑛諸島へ留まる事となった。




・擬洋風建築の暮田外交派遣局
建物の外見や内装に関しては何一つ考えてなかったので、書いている際に追加しました。
大戦時の兵器を使っているのに明治の建物を使っているのは違和感かもしれませんが、古い建物を補修して使っているという事にします。

・間局長
正直言って文章だと使っちゃいけない名前だった。気を抜くと“あいだ”や“ま”と読んでしまうし、“あいだ”と読んでほしい場面にはわざわざ振り仮名をつけるという·····

(メートル)
もう······コッテコテの伏線ですね。TRMの命名も伏線なので下手に色々言えない。

・「あまぎ」艦内で急いで製作した資料
第4艦隊と接触して南瑛諸島へ到着する間に製作出来るのかとも思いますが、元から作っていたのであれば印刷するだけなんで簡単に出来るかと思ってます。
元から作っていた事に関してもアルファベットを使っていた事から、日本語を含む複数の言語で作っていたのであれば納得出来ると思います。

・未知の国家に対する警戒心が強かった東和は説明に用いる資料の製作が間に合わなかった
東和からすれば先制攻撃での接触になる可能性が高すぎた為に、準備が出来ていなかったという事です。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。